シンポジウム
「サウジアラビアと日本における情報通信技術(ICT)」
—現状と未来—


 2007年(平成19年)11月10日(土)、シンポジウム「サウジアラビアと日本における情報通信技術(ICT)」 —現状と未来—が、アラブ イスラーム学院で行われました。

 シンポジウムでは、岸田文雄内閣府特命担当大臣(祝辞代読山内 徹内閣官房情報通信技術担当室参事官)、駐日サウジアラビア王国ファイサル ビン トラード大使から御祝辞を賜りました。

 シンポジウムの最後に、ムハンマド ハサン アルジール、 アラブ イスラーム学院学院長から最終声明が発表されました。

左からアルジール学院長、山内参事官、トラード大使
左からアルジール学院長、山内参事官、トラード大使
シンポジウムの様子
シンポジウムの様子

シンポジウム趣旨

 現在,世界中の人々が恩恵を受けている情報通信技術(ICT)の質と量は計り知れません。

 ICTの発展は、教育、経済,産業、行政、政治、健康などあらゆる分野で革命的な役割を果たしています。その技術は、手段としての役割と共に、新たなグローバルシステム構築の根幹を占めています。これは明日の世界が、ICTがもたらす統一したシステムで結ばれる事を予見させます。

 翻って歴史を振り返れば、中世のアラブの科学者により世界に広められた、インドで発見されたゼロの概念、アラビア数字、アルジェブラ、アルゴリズム、などの科学は、統一されたシステムを残し、今日の情報革命時代へとつながり人類に繁栄をもたらす原動力となりました。

 日本は国家の新たな発展をICTに委ねていますがそれは明治維新後や、戦後の日本の発展を、技術革新を原動力として成し遂げた状況に類似しています。

 今日のサウジアラビアは、進んだ情報通信技術を教育、産業、ロジステック、など広範囲に活用し、国家の発展と国際協力に寄与しています。

 本シンポジウムでは、サウジアラビアと日本の工業、産業、教育分野等におけるICTの現状を考察します。

 そして、ICTが将来の日本とサウジアラビア、アラブ諸国、イスラーム諸国との関係強化に役立ち、発展と繁栄をもたらす新たな原動力としての役割を担うであろうことを展望します。


プログラム 当日は以下のプログラムで発表が行われました。

セッション1 『経済産業と情報通信技術』
議長:奥田 喜久男 株式会社BCN 代表取締役社長
  『日本企業におけるIT利活用の現状と今後の展望』  講師 元橋 一之先生 東京大学工学系研究科技術経営戦略専攻教授
  『石油化学産業におけるICTの利活用アラムコの事例』  講師 ズィヤド アルシャハラニ先生
   アジアIT リプレゼンタティブ、サウジぺトロリウムリミテッド 東京支社
セッション2 『情報通信技術の実情』
議長:奥田 喜久男 株式会社BCN 代表取締役社長
  『日本のIT産業の実情、教育、研究及び今後の展開』  講師 白石 洋一先生
   群馬大学大学院工学研究科生産システム専攻工学専攻教授
  『サウジアラビアにおけるICT産業化育成:現状と課題』  講師 ブカーリ イサム先生
   アラブ イスラーム学院副学院長、早稲田大学大学院博士後期課程
セッション3 『情報通信技術の活用と展望』
議長:ムハンマド ハサン アルジール アラブ イスラーム学院学院長
  『日本のICT活用教育の現状』  講師 清水 康敬先生
   独立行政法人メデイア教育開発センター理事長、東京工業大学名誉教授
  『巡礼(ハッジ)における情報通信技術の活用』  講師 ナビール コシュク先生 二大聖地守護者ハッジ・オムラ研究所教授
講師 アナス バサラマ先生 早稲田大学大学院博士後期課程
セッション4 最終セッション
議長:ムハンマド ハサン アルジール アラブ イスラーム学院学院長
  講評及び提言


各セッションの様子

第一セッション 左からアルシャハラニ先生、奥田議長、元橋先生
第一セッション 左からアルシャハラニ先生、奥田議長、元橋先生
第二セッション 左からブカーリ先生、奥田議長、白石先生
第二セッション 左からブカーリ先生、奥田議長、白石先生
第三セッション 左から清水先生、アルジール議長、バサラマ先生
第三セッション 左から清水先生、アルジール議長、バサラマ先生

最終声明 最終セッションでは以下の声明が発表されました

 2007年4月28-29日、サウジアラビア王国アブドッラー国王の招待により、安倍晋三前総理は同王国を訪問した際、経済、投資、文化、科学、教育など重層的な戦略的パートナーシップ強化への両友好国の願いを確認する旨の共同声明が出されました。

 これに従い、また双方協力関係の強化のため、2007年11月10日、イマーム大学所属在東京アラブ イスラーム学院において「サウジアラビアと日本における情報通信技術 —現状と未来—」と題するシンポジウムが開催され、岸田文雄内閣府特命担当大臣及び駐日サウジアラビア・ファイサル・トラード大使の後援の下、アラブ・イスラーム諸国他外交団関係者や日本側関係者の出席を得て行われました。

 双方の学者・研究者他の出席者は、以下の通り三点を中心に議論しました。
1.経済とICT産業
2.ICTの現状
3.ICTの活用と未来
 
 6件の発表・報告は、次の通りでした。
元橋 一之 教授 日本企業におけるIT活用—現状と今後の展望
アッシャハラーニー技師 アラムコ社のITと電子メールの活用
白井 洋一教授 日本のIT産業の事情、研究、及び今後の展開
アルブハーリー技師 サウジアラビアにおけるICT産業の発達—現状と今後の課題 
清水 康敬 教授 日本の教育におけるICT活用の現状
バーサラーマ技師 巡礼におけるICTの活用—現状と未来
   コシャック技師 同上

 多数の出席、建設的な報告、充実した議論に恵まれましたが、それはICTの今後を支え、アラブ・イスラーム世界と日本の科学的教育的な協力を強化するものでもありました。また将来実現できる事柄も明らかにされました。出席者の提言としては、次のとおりです。
 
1. グローバリズムと情報化時代において、ICTは諸文明の対話と諸国民の間の文化的な交流のために、重大な役割があることを確認した。
2. 電子政府や両国の知識社会にとって必要なインフラ準備のために関連する諸目標を実現する努力を増大させるように呼びかける。
3. ICT分野で双方に可能な協力のあり方を議論し、経験を交換するため、定期的にセミナーやワーク・ショップを行うよう勧奨する。
4. 両国の民間部門でパートナーシップと協力を強化し、双方の利益増進と持続的な経済成長を達成するよう呼びかける。
5. ICT活用による遠隔教育、特にアラビア語と日本語教育に関して、学術研究を支援する。
6. インターネット活用による講義、遠隔教育、共同研究などによる双方の諸大学協力のためのプログラムを設けるように呼びかける。
7. 国王の対日留学生派遣計画が始められたことを歓迎した。2007年には、200名以上のサウジ人男女学生が来日した。このプログラムが成功し、将来も発展することは互いの文化交流、科学・技術協力にとり重要である。
8. 両国における科学的研究の動向を支持するために、インターネットによる科学的学術的な図書館同士の連携が慫慂された。
9. 両国間の対話を深めまたそれを拡大して、アラブ・イスラーム世界全体の文明的な相互理解増進へ向けて、努力を継続することを確認した。
10. サウジアラビアと日本のパートナーシップを強化して、双方の安全、安定を強化するよう努めること。                                                                              

 最後に参加者は、イマーム大学アブー・アルハイル学長に対して、本シンポジウムを開催できたことにつき、アブドッラー国王並びにスルターン皇太子へ厚き謝意を伝達賜りたい旨表明しました。

 同大学は常々熱意あり継続した支援をあらゆる方面の活動で得てきている所ですが、なかでもアラブ イスラーム学院を含む分校においても言えます。それは日本とサウジアラビア、広くはアラブ・イスラーム世界との間で、アラビア語教育とイスラーム文化の紹介により、橋渡しの役割を果たしています。

 同様に参加者及び学院関係者はアルアンカリー高等教育大臣に対して、恒常的な支援を感謝している旨表明しました。同様にイマーム大学アブ・アルハイル学長に対しては、本シンポジウム実施に当たり、監督、指導頂だいたことに謝意を表明しました。また後援し、開会に出席し、また変わらぬ支援について、駐日トラード大使にも謝意を表明しました。

 更にイマーム大学、アラブ イスラーム学院—アルジール学院長他職員全員—にも参加者は謝意を表明しました。彼等の尽力無くしては、本シンポジウムは実現できませんでした。
 
2007年11月10日 東京
 






日本語トップ | リンクについて | サイトマップ | ヘルプ



2007年 アラブ イスラーム学院