2007年4月28-29日、サウジアラビア王国アブドッラー国王の招待により、安倍晋三前総理は同王国を訪問した際、経済、投資、文化、科学、教育など重層的な戦略的パートナーシップ強化への両友好国の願いを確認する旨の共同声明が出されました。
これに従い、また双方協力関係の強化のため、2007年11月10日、イマーム大学所属在東京アラブ イスラーム学院において「サウジアラビアと日本における情報通信技術 —現状と未来—」と題するシンポジウムが開催され、岸田文雄内閣府特命担当大臣及び駐日サウジアラビア・ファイサル・トラード大使の後援の下、アラブ・イスラーム諸国他外交団関係者や日本側関係者の出席を得て行われました。
双方の学者・研究者他の出席者は、以下の通り三点を中心に議論しました。 |
1.経済とICT産業
2.ICTの現状
3.ICTの活用と未来 |
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6件の発表・報告は、次の通りでした。
1 |
元橋 一之 教授 |
日本企業におけるIT活用—現状と今後の展望 |
2 |
アッシャハラーニー技師 |
アラムコ社のITと電子メールの活用 |
3 |
白井 洋一教授 |
日本のIT産業の事情、研究、及び今後の展開 |
4 |
アルブハーリー技師 |
サウジアラビアにおけるICT産業の発達—現状と今後の課題 |
5 |
清水 康敬 教授 |
日本の教育におけるICT活用の現状 |
6 |
バーサラーマ技師 |
巡礼におけるICTの活用—現状と未来 |
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コシャック技師 |
同上 |
多数の出席、建設的な報告、充実した議論に恵まれましたが、それはICTの今後を支え、アラブ・イスラーム世界と日本の科学的教育的な協力を強化するものでもありました。また将来実現できる事柄も明らかにされました。出席者の提言としては、次のとおりです。
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1. |
グローバリズムと情報化時代において、ICTは諸文明の対話と諸国民の間の文化的な交流のために、重大な役割があることを確認した。 |
2. |
電子政府や両国の知識社会にとって必要なインフラ準備のために関連する諸目標を実現する努力を増大させるように呼びかける。 |
3. |
ICT分野で双方に可能な協力のあり方を議論し、経験を交換するため、定期的にセミナーやワーク・ショップを行うよう勧奨する。 |
4. |
両国の民間部門でパートナーシップと協力を強化し、双方の利益増進と持続的な経済成長を達成するよう呼びかける。 |
5. |
ICT活用による遠隔教育、特にアラビア語と日本語教育に関して、学術研究を支援する。 |
6. |
インターネット活用による講義、遠隔教育、共同研究などによる双方の諸大学協力のためのプログラムを設けるように呼びかける。 |
7. |
国王の対日留学生派遣計画が始められたことを歓迎した。2007年には、200名以上のサウジ人男女学生が来日した。このプログラムが成功し、将来も発展することは互いの文化交流、科学・技術協力にとり重要である。 |
8. |
両国における科学的研究の動向を支持するために、インターネットによる科学的学術的な図書館同士の連携が慫慂された。 |
9. |
両国間の対話を深めまたそれを拡大して、アラブ・イスラーム世界全体の文明的な相互理解増進へ向けて、努力を継続することを確認した。 |
10. |
サウジアラビアと日本のパートナーシップを強化して、双方の安全、安定を強化するよう努めること。 |