アラブ馬は美の結晶

美の結晶ともいえる純血アラブ馬。アブドッラー皇太子牧場にて
美の結晶ともいえる純血アラブ馬。アブドッラー皇太子牧場にて

 現代社会において「馬」と言えば、ほとんどの人が、先ず、第一に思い浮かべるのは「競馬」と答えるであろう。そして世界中の競馬場で走っている馬は「サラブレッド」と言う、人工的に作られた馬の一品種なのである。

 スピードとスタミナを特徴とする、この「サラブレッド」は、より早く、より強い馬を作るために、競馬での成績と血統が重視されているので、いかなる国において行われる競馬であっても、我々競馬関係者の興味を引かないものはない。

 今回、好運にもサウディアラビアの競馬事情を視察することができ、この国の「サラブレッド」の、質の高さ・立派な牧場・厩舎設備・素晴らしいスタンドを実際に見て、大変、感銘を受けた。競馬場のスタンドは全く極めてモダンなデザインでありながら、アラビアの人々が好む優雅な雰囲気が生かされており、競馬を楽しみ、社交の場として十分な設備で、大変羨ましく思った。


リヤードの競馬場でジャパン杯を渡す筆者。右側は阿部駐サ大使
リヤードの競馬場でジャパン杯を渡す筆者。右側は阿部駐サ大使

 ところで、競馬の世界の主役である「サラブレッド」という馬の、元の品種が何かと言うと、それはアラブ種の馬で、今回、私が訪問したサウディアラビアを含めて、汎くアラブ人が住んでいた地域で、古くから大事に大事に育てられていた土着の馬を指すのである。

 サウディアラビアでは、王族が、このアラブ種の馬の保存に極めて熱心に取り組んでおられる事を知り、大変感動した。

 アラブ種の馬は性格が温和で、デリケートな感情を持ち、姿・型がスマートで、品の良い顔立ちをしている。馬という生き物が、何故、古代より人々に愛され続けてきたのかという理由は、このアラブ種を見れば、誰でも理解できるであろう。

 今日のアラブ世界は、サウディアラビアのように、平和で繁栄した国ばかりでなく、パレスチナ問題やイラク戦争等の不幸な出来事も数多く抱えており、様々な意見の衝突もあるが、アラビア人の誇りであり、長い歴史と文化の象徴であるアラブ種の馬の保存が立派になされていることは、世界中の人々からの賞賛に値するであろう。

 また、競馬は本来、グローバルな関係を前提とするものであることから、サウディアラビアにおける競馬の発展は、世界各国との友好関係の強化に大きく寄与することであろう。


リヤードの新競馬場にて
リヤードの新競馬場にて

 私のサウディアラビア訪問は、私の仕事である競馬に関しての限られた側面しか見る事が出来なかったが、アラビア人が馬を大切にする良き伝統を今も受け継いでおり、お会いした人々が、皆、日本人である私に対して、極めて友好的で暖かいおもてなしをして下さったことに深く感謝している。

 もし、私に何か出来る事があれば、サウディアラビアと日本の友好関係を促進するために、ぜひお役に立ちたいと念じているこの頃である。


今野雄三(日本中央競馬会理事)

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5月11日にJRA東京競馬場で開催されたサウディアラビア ロイヤル・カップ・レースでのショット
レースを観戦するサウディアラビアの関係者   授与されたサウディアラビア ロイヤル・カップ
レースを観戦するサウディアラビアの関係者   授与されたサウディアラビア ロイヤル・カップ



(※役職名等は、すべて当時のものです)


転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.211 September2003

(2007年7月27日更新)













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