アブドッラー皇太子殿下日本ご訪問特集 9


日本とサウディアラビアとの間の21世紀に向けた協力に関する共同声明(仮訳)

日サ協力共同声明に署名する両首脳
天皇陛下、皇居にてアブドッラー皇太子殿下を歓迎
(Photo: Saudi Press Agency “SPA”)

1. アブドッラー ビン アブドルアジーズ サウディアラビア王国皇太子による1998年10月21日から23日までの訪日の機会に、小渕日本国総理大臣及びアブドッラー サウディアラビア王国皇太子兼副首相兼国家警備隊司令官は、二国間関係の現状につきレビューするとともに、21世紀における将来の二国間関係のあり方につき討議した。両首脳は、日本国皇室とサウディアラビア王室との間の緊密な関係から両国国民の幅広い絆に至るまで、長きに亘り両国にとり伝統となっている友好、親善及び協力関係を再確認し、21世紀の諸課題に対処すべく両国関係をより包括的なものにすることを目的として、この声明を作成することとした。
2. 両首脳は、これまでのすぐれた二国間関係を高く評価するとともに、政治対話の促進、貿易・投資の慫慂につながる幅広い基礎に立つ経済関係の構築、及びこれまで対象とされていなかった新たな分野での協力の促進により、現在の二国間関係を更に強固なものとするとの共通の決意を表明した。
3. 両首脳は、湾岸地域とその周辺地域、更には中東地域全体の安全保障が、両国間の関係のみならず世界全体にとって種々の意味合い及び影響を有することに留意し、地域の安全及び平和の促進に貢献すべく、幅広い情報交換及び協力を政治対話を通じて行うことで意見の一致をみた。
4. 両首脳は、中東地域において安定を促進する際に中東和平プロセスが有する枢要な重要性に留意し、国連の関連決議を基礎とする公平で持続的な包括的和平の達成に基づき、かつ、既存の合意と土地と平和の交換の原則に沿った形でこの目標を達成することに向けて協力を持続することを確認した。さらに、両首脳は、すべての合意の誠実な実施を求め、特にエルサレムに関連し、最終的な交渉の結果を予断するような一方的な行動を控えるよう求めた。
5. 両首脳は、あらゆる形態のテロリズムに対しその淵源にかかわらず、強く非難を行った。
6. 両首脳は、湾岸地域を含む中東において大量破壊兵器を除去するよう求めるために現在行われている努力に強い関心を示した。
7. 両首脳は、地域はもとより世界全体における平和、安定及び繁栄のために国連が果たす役割の重要性に留意し、国連の諸般の活動において一層緊密に連携していくとの共通のコミットメントを改めて強調した。両首脳は、また、国連が21世紀においてその目的を最も良く果たし得るよう、国連改革を早急に実現すべく協力するとの決意を表明した。特に国連安保理改革については、両首脳は、提案されている諸改革が国連憲章の規定に従い、国連安保理の機能に影響を及ぼさないような方法で達成されるべきであるとの点で意見の一致をみた。サウディ側は、常任理事国及び非常任理事国双方の議席数の拡大に関し、日本の常任理事国入りに対する支持を表明した。
8. 本日、両首脳は、環境、保健、科学技術、文化・スポーツ及び投資・合弁事業といった人的資源の開発に係わる諸分野における具体的な協力プロジェクトを実行するための新たな枠組みを提供するために作成された「日・サウディ協力アジェンダ」の署名に立ち会った。この新たな協力の枠組みの下、両首脳は、この「協力アジェンダ」の実施に向け最大限の努力を傾注するとともに、両国間の協力を円滑に進めるために物理的、法的及び制度的な諸般の基盤を整備すべく作業することに対するコミットメントを再確認した。
9. 両首脳は、両国の民間部門が相互の経済関係を拡大していく上で果たす役割が極めて重要であるとの点で意見が一致した。両首脳は、両国の民間部門の間での協力を慫慂し、かつ、円滑に進めていくことでも一致した。
10. 両国は、世界経済に対する安定した石油市場の重要性につき意見の一致を見た。日本側は、この点に関してサウディアラビアが果たしている均衡のとれた役割を評価するとともに、同国を日本を含む世界市場への石油の安定した、信頼できる供給者とみなした。両首脳は、両国において石油に係わる貿易・投資関係を高めるための更なる協力の重要性を強調した。
11. 上記の共通の目標及びコミットメントの追求に当たり、両首脳は、両国にとってのより大きな利益のために更に協力関係を強化したい、との希望を表明した。
1998年10月21日
小渕 恵三
日本国内閣総理大臣
アブドッラー ビン アブドルアジーズ
アール サウード
サウディアラビア王国皇太子


日本・サウディアラビア協力アジェンダ報告書(序文のみ)

序文:日サ協力アジェンダの沿革と意義
(1) 1997年11月の橋本総理訪サの際、橋本総理よりファハド国王及びアブドッラー皇太子に対し、日サ関係をこれまでの石油を中心とした経済関係から拡大すべく、「政治」、「経済」及び「新たな分野」の3つの柱から成る「21世紀に向けた包括的パートナーシップ」を構築することを提案する。
日サ間の現在の友好関係に基づき、その努力は、両国の共同協力(joint cooperation)の増進、拡大を進めることとなり、また、サウディアラビアとしては、日本による先端科学技術の発展を有効活用することを強く希望している。このゴール達成に向けた努力は、様々分野での情報・経験の交換、専門家派遣やサウディ人への研修・訓練受け入れ等の人的交流、サウディでのジョイント・ベンチャー・プログラムの立ち上げ、共同研究、技術移転、及び両国の文化協力等を通じたものとなる。
(2) この包括的パートナーシップの「新たな分野」における協力として、橋本総理は「日本・サウディアラビア協力アジェンダ」(以下、「協力アジェンダ」と略)の構想を提案し、サウディ側首脳から全面的な賛同を得た。この「協力アジェンダ」は、21世紀に向けてますます重要となる諸課題につき、両国が共同で取り組むものである。
(3) 右両国首脳間の会談の結果、協力アジェンダは、人造り(教育・職業訓練)、環境、医療・科学技術、文化・スポーツ、投資の5つの分野から構成され、各分野毎に両国の関係省庁より構成されるワーキング・グループ(WG)が設置されることとなった。更に、設置半年後を目途に各分野の報告が一括して取り纏められることとされた。本報告書は、この両国首脳間の会談結果に基づくものである。
(4) 本報告書は、協力アジェンダ構想に基づく、各分野毎の二国間協力に関するこれまでの10ヶ月間の検討を取り纏め、今後の協力の方向性を明らかにし、以って両国の友好協力関係の発展の方途を具体的に明らかにすることを目指している。
(5) 本報告書に基づいて、両国首脳は、両国間の5つの分野における協力関係の促進のため、事務レベルへの支持を含めた必要な措置をとることとなっている。その具体的協力拡大の方途については、この両国首脳による指示を踏まえ、今後日本・サウディアラビア合同委員会、及びワーキング・グループ(GW)を通じて、検討乃至実施されていくこととなる。



(※役職名等は、すべて当時のものです)
転載:「日本サウディアラビア協会報」
No.199 February1999













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