ハディース学習
 

40のハディース(16)
『腹を立てないことと天国の付与』

 


単語の意味

ラジュラン ここではアブッダルダーのことを指していると言われています。アッタバラーニーは伝えています。「私は言った。預言者さま、天国に入るための行為を教えてください。」すると預言者は「腹を立てないことだ。そうすれば天国へ入るだろう。」と言いました。
またアハマドはこれはイブン クダーマの奴隷を指すといっています。伝承によると、「私は預言者に質問して言った。「預言者さま、私にアドバイスをしてください。そして理解できるよう、簡潔にアドバイスしてください。」すると預言者は「腹を立てぬことだ」と言った。私は同じ質問を繰り返したが、預言者は同じ言葉を繰り返した。」
アウサーニー 私に役立つ行為を私に示した。
ラー タグダブ 腹を立てる原因となることを避けなさい、という意味。
怒りとは復讐などを望ませる感情。
ファ ラッダダ ミラーラン 一回以上アドバイスを求め、繰り返した。




ハディースの理解とそれが導くこと

1 ムスリムの人格

ムスリムは素晴らしい人格をそなえた人間であるべきです。つまり、優しさと羞恥心、謙虚さをもち、人々を愛し、人々に害を与えず、できれば赦し、困難な時にはよく耐え、誰かが腹立たしいことをしてもそれを我慢し、常に微笑を浮かべている人です。

 

2 天国への切望とそのための道の追求

預言者は天国への道を求めた質問者に対してハディースに書かれているとおりにアドバイスしました。そしてそのアドバイスを非常に短い言葉で与えました。これは質問者がこの答えを覚え、簡単に理解するためです。

 

 寛容であることと、自己を抑制することが勝利と満足(天国)への道
もしも人間の本質である怒りの感情が湧き上がってきても、救いを求めるムスリムは自分にその本質に従うことを許してはなりませんし、怒りの感情が自分に命令を下し、あるいは物事を禁止することをゆるしてはなりません。
敬虔なムスリムは次のような人格を身につけているとアルクルアーンには述べられています。

アーリ イムラーン章133−134節『あなたがたの主の御赦しを得るため、競いなさい。天と地程の広い楽園に(入るために)。それは主を畏れる者のために、準備されている。順境においてもまた逆境にあっても、(主の贈物を施しに)使う者、怒りを押さえて人々を寛容するもの、本当にアッラーは、善い行いをなす者を愛でられる。』

アルハサヌルバスリーは言いました。「つぎの4つのことがある者はアッラーが彼をシャイターンから守り、地獄の業火から彼を救って下さる。それは、切望・恐怖・欲望・怒りを感じた時に自己を押さえることが出来る者である。」

 

4 怒りの感情は悪の根源で、それを遠ざけることが善へつながる。

質問者がこの預言者のアドバイスを受けた時、彼は2,3回、そしておそらくそれ以上同じ質問を繰り返しました。というのも、この質問者はよりアドバイスを得ようとしていた、あるいは、この短い言葉だけでは不十分だと考えたからです。ですが、預言者は同じ答えを言い続けました。つまり、このアドバイスをきちんと理解し、それを実行に移すことが出来たのならば十分だ、と考えていたからです。
みなさん、よく考えてみてください。多くの悪が怒りからうまれてくるとすれば、逆に、それ(怒り)を押さえれば、あなたは善いものだけを得ることができるはずですよね?!

 

5 怒りは弱さの表れであり、寛容さは強さの表れである。

怒りっぽいことと、怒りの感情に流される者は、たとえ強靭な、健康な肉体をもっていたとしても弱い人間です。

アルブハ―リとムスリムの伝承によると、アブーフライラは言いました。預言者は次のように言いました。「強いものとはけんかに強い者ではない。本当に強い者とは怒った時に自分を押さえることが出来る者である。」

 

6 怒りの影響

怒りとは悪い性質の一つで、もし人間がそれに従えばその悪い影響はすぐに個人にそして社会へと出てきます。

  1. 個人への害:肉体・人格・信仰においてその影響はでてきます。みなさん怒っている人を想像してみてください。その人の顔色は変わり、青筋をたて、身体は震え、言葉もどもったり舌がもつれたりします。そして悪口をいい、それはおそらくハラームの言葉であったり、あるいはそれがイスラームへの背信行為につながるものであったりします。またその者は財産を投げ捨てたり、自分を傷つけたりします。

  2. 社会への害:心に憎しみを生み、また悪が広まります。友人間に敵意と憎悪が広がり、親類においてはその関係が断ち切られ社会が崩壊します。

 

7 怒りを避ける方法、または治療法

怒る事は人間の本質の一つですが、ムスリムは怒りの感情に身を任せることはしません。怒る事の原因となることを避け、もしもそれが起こったらすぐに治療し、怒りを静めます。

  1. 怒りの原因:人々に対する高慢さ、自慢、ひとを馬鹿にすること、嘲ること、冗談の言い過ぎ、論争、干渉と介入、財産と地位の追求などがあげられます。これらの悪い人格はムスリムには相応しくありません。

  2. 治療:

    * 優しさ・気の長さ・忍耐などのよい人格を身につけることです。

    あるサハーバは彼がムスリムになる前、預言者ムハンマドの預言者性を確かめるためにムハンマドに質問をした。このとき彼は本物の預言者であるならば、彼の気の長さは怒りに優るという性質を持っているということを知っていた。そのため、わざと彼は預言者ムハンマドにもっともひどい方法でイスラームについて尋ねた。同席していたウマルは彼を脅かしたがそれに対し預言者は私たちも彼と同様にイスラームを必要としていたと言い、ウマルとこの男に礼儀を教えた。


    * 怒った後の結果を考えて怒りを押さえます。あるいは次のクルアーンの節を思い出して怒りを押さえる事の徳を思い出します。

    アルクルアーン アーリ イムラーン章134節『怒りを押さえて人々を寛容する者、本当にアッラーは、善い行いをなす者を愛でられる。』

    * イスティアーザ(アッラーに悪魔よけを願うこと)を行います。つまり「アウーズ ビッラーヒ ミナッシャイターニッラジーム」と言います。

    アルクルアーン アルアアラーフ章200節『また悪魔からの中傷があなたを悩ました時は、アッラーの加護を求めなさい。』

    * そのときの状態を変えます。つまり立っていた人は座り、座っていた人は横になるのです。

    アハマドの伝承によると預言者は言った。「あなたがたが怒った時に、立っていたら座りなさい。おそらく怒りは消えるでしょう。あるいは横になりなさい。」

    * 黙ります。

    アハマドは伝えています。「怒った時には黙りなさい。」

    * ウドゥーを行います。

      アハマドの伝承によると預言者は言いました。「怒りはシャイターンから来るものである。シャイターンは火からつくられている。ですから怒った時には水でウドゥーをしなさい。」

 

8 アッラーのための怒り

自分のため、または復讐のため、あるいはアッラー以外のための怒りは非難されるべき性質ですが、宗教・信仰の神聖さを汚すもの、またはムスリムの権利を守るため、アッラーの創造物を守るために怒ることは善い性質であり、命じられていることです。

アッタウバ章14−15節『かれらと戦え。アッラーはあなたがたの手によって、かれらを罰して屈辱を与える。かれらに対し、(うち勝つよう)あなたがたを助け、信者の人々の胸を癒される。またアッラーはかれらの心中の激怒を除き、御心に適う者の悔悟を赦されるであろう。アッラーは全知にして英明であられる。』

ムスリムとアルブハーリーの伝承によると、預言者はアッラーの禁じられたことが破られた時のみ怒り、その怒りの前では誰も何もすることはできなかったとつたえられています。

 

9 怒っているものの行動は責任あるものとみなされる

つまり、怒っているものが怒りに任せて価値あるものを破壊・紛失させた場合、彼はその損害に責任を持たなければならず、相当額を支払わなければならなりません。また犯罪を犯した場合、背信を意味する言葉を口にした場合、またアッラーに誓約した場合、離婚を宣告したばあいは、これらの行為に責任をもちます。

 

10 ほかにハディースから得られること

他人のアドバイスをよく聞く、いろいろな善行を知る、役立つ知識を求める、余計な言葉を話さないようにする、行動を重んじる(口だけでなく、実行するようにする)、良い模範から学ぶ姿勢などです。





前にもどる




 


日本語トップ | リンクについて | サイトマップ | ヘルプ



2003年 アラブ イスラーム学院