マスジド関係用語集

マスジド

 


執筆:アミーン水谷
アラブ イスラーム学院研究員

アクド(عقد)    アーチのこと。現存するマスジドでは最古の、ダマスカスのアルジャーミゥ・アルウマウィーでも、盛んに駆使されている。どのようなデザインにするかは、特段の定めはなく、大別しても12種類ほどに区分される。
アーザーン(آذان)    1日5回の礼拝への呼びかけ。ムスリムにとって、この声を聞くのは安堵感をもたらし、心和む一時である。聞きながら、自分の口の中で復唱するのが、良いたしなみであるとされる。
イマーム(إمام)    礼拝指導者で、最前列中央に一人で座る。礼拝の所作を導くとともに、所要のコーランの部分を読誦する場合もある。一つのマスジドに何人も居て、交代制を取ることることも多い。
イーワーン(ايوان)    ペルシア語起源で、中庭に面した回廊に接続した大部屋。その使途は様々。典型的にはイラン様式は、4ケのイーワーンを持ち、それらが中庭を取り巻く形となる。イスラーム以前のササーン朝由来との説もある。
キブラ(قبلة)    メッカへの方向で、礼拝の方向。磁石でその方向を示す道具もあり、旅行中でもキブラは正確に確かめられる。ヒジュラの後、しばらくしてから預言者ムハンマドに、ジェルサレムからメッカに変更するように啓示が下ろされた。
クルシー(كرسي)    椅子の意味だが、イマームなどが講義の際などに座る。コーランを置く台(ルハラ رُحْلَة )のことを指すこともある。
コールニーシュ(كورنيش)    壁と天井の接触部分を指す。そこに何もないと、部屋はただの箱型になるので、花文様や幾何学文様を入れて、飾るのが普通である。大別して、そのパターンは8種類ほどに区分される。
コッバ(قبة)    ドームのこと。内面は通常、天空を思わせるデザインで飾られる。キリスト教会から取り入れられた造作物の一つだが、設けるかどうか、その数、形状なども自由。華美を戒める対象になっている。
ザーウィヤ(زاوية)    元来は特別の目的に使用されるコーナーの意味、その後特に神秘主義者スーフィーたちの修業場や合宿所をさすようになった。また彼らの合宿所を指しては、フジュラ(حجرة )の用語が使われることも多い。
サハン(صحن)    礼拝堂の前に広がる中庭のこと。更に一般には、玄関口の受け付け広間(バフウ بهو )も含む。特に信仰上の意義は与えられていなくて、インドでは芝生の庭と池などが多い。
サラー(صلاة)    礼拝。集団礼拝、特に金曜日のそれは重視されるところから、マスジド建設に力が入れられてきた。
ジヤーダ(زيادة)    外周壁とマスジド本体の間の空き地で、様々な物置や兵士の休憩所、旅人の宿泊所などに使用された。サーマルラーのような広いジヤーダもあれば、都会型で全くそのスペースがない場合もある。
シュルファ(شرفة)    ミイザナの展望台、あるいは見晴台で、昔はそこに上り、礼拝への呼び掛け、アーザーンが行われた。いくつ設けるかなどの定めはなく、その形状は大別して10種類ほどある。シュラファが宿泊所に使用されることもあった。
ダリーフ(ضريح)    墓廟のこと。墓そのものも指す。イランから中央アジア、そしてインドの至っては、墓廟が建造物の中心となるケースも少なくなかった。シーア派では、マシュハド・マシャッド( مشهد )と呼ばれることが多い。
デッカ(دكة)    トルコ語起源、元々腰掛の意味。礼拝堂の中でイマームの所作を後ろの人にも分かるようにするため、その所作通りにデッカの上で他の人が礼拝する。礼拝堂が大きくなるに従い、デッカも高いものにならざるを得なかった。
バラート(بلاط)    タイルのこと。ひいては宮廷の意味にもなる。種々の宝石や石材とともにモザイクの材料となる。一つ一つ異なる色、形で作ったものを組あわせるのと、あらかじめ文様を描いた四角のタイルを張り合わせる、二つの方式がある。
ハラム(حرم)    聖域のこと。メッカの聖マスジド、メディーナの預言者マスジド及びジェルサレムのマスジド・アルアクサーの三つを指すのが、第一義。次いでは、一般には、マスジドの中庭や回廊などを除いて、礼拝堂以内を指すこともある。
フサイフサー(فسيفساء)    モザイク模様。当初ビザンチンから導入、マスジドの装飾として幾何学文様や植物文様が主。宇宙や天空の無限の広がり、つまりアッラーの存在を思わせることを意識していたとも推測される。
マクスーラ(مقصورة)    礼拝中カリフなどの身を守るために設けられた個室、囲い部屋。ただ歴史の中で、マクスーラと呼ばれるスペースは色々に利用され、コーランをしまう部屋になったり、あるいは女性の礼拝室になったりもした。
マクバラ(مقبرة)    墓地のこと。民衆の墓も含む。イスラームでは本来遺体は砂漠に埋めるだけで、墓碑など地上の工作物は作らないことになっている。今でもサウジの諸王に墓はない。ただ歴史上は聖人はもとより、一般人用にも作られた。
マジャーズ(مجاز)    礼拝堂入り口からミフラーブまでの通路。ミフラーブのある壁面とは直角に交わることになる。このスペースにカリフなどの個室であるマクスーラが設けられることも少なくなかった。
マスジド(مسجِد)    礼拝する場所であり、建物を指す。マスジャド( مسجَد )と受身形になると、その人個人が礼拝するその時々の特定の場所のこと。日々の礼拝こそはイスラームの勤めの中核である以上、その場所は当然最も重視される。
マドラサ(مدرسة)    学校の意味だが、教育機関や墓廟とマスジドなどが組み合わされる施設がエジプトのマムルーク朝時代に発達し、その全体もマドラサと呼ばれた。この形式は北アフリカにも普及した。
マナーラ(منارة)    明かりが灯されるので、光塔と言われ、ミイザナと同じ。ただマスジドをあまりにライト・アップするのは、疑問視する向きもある。ムスリムの存在の象徴のようにも受け止められる。
ミイザナ(مئذنة)    アーザ−ンの場所で、マナーラと同義。形状は四角(シリアから北アフリカ)、丸型(イラン)、尖り形(トルコ)、縦縞文様(インド)などあり。本数や塔に設けられる見晴台の数も自由。キブラと反対側に置かれることが多い。
ミシュカー(مشكاة)    礼拝堂内のガラス製のランプ容器で、その中に灯明を立てる。ミシュカー自体は天井から長い鎖などでぶら下げられる。やはり天井からぶら下がっている、円弧を描く大型のロウソク立ては、スラヤー( ثريا )と呼ばれる。
ミーダア(ميضأ ة)    水洗い場のことで、洗浄は礼拝前の規定の所作である。中庭にあったり、マスジドの入り口近く、あるいは表通りに面して設けられる。現在は水道が普及したが、20世紀初め頃その導入に当たっては反対意見もあった。
ミフラーブ(محراب)    キブラを示すための、壁の窪み。種々その内側や近辺を装飾することが多い。北アフリカでは大きな部屋くらいの窪みになり、その中にミンバルをしまい込んだりすることもある。語源については、確定されていない。
ミンバル(منبر)    説教台のことで、ミフラーブの横、しかも向かって右側に置かれることが多い。あるいはミフラーブの両側にあるマスジドもある。階段の数には決まりはない。螺鈿や宝石で飾られることもあるが、華美を戒める声も多い。
ムアッジン(مؤذّن)    礼拝への呼びかけ人で、今では多くの場合、ミイザナの拡声器などから呼びかけを行う。最初期は道を歩いて呼びかけたとか、マスジドの屋上に上って呼びかけたとかの話も残っている。
ムカルナス(مقرنص)    トルコ語起源で、マスジド表玄関上部の天井装飾のこと。鍾乳石が上から垂れ下がったような形状が多い。丸い形がトルコ人の帽子の内側の形をしているところから、この用語が生まれた。一般に壁装飾のことも指す。
ムサルラー(مصلّى)    礼拝堂のこと。マスジドは礼拝堂の他にも、ミイザナや中庭、回廊などを含んだ全体を指す。飛行場やホテルなどの中の、簡単な礼拝所のこともムサルラーと言う。
リワーク(رواق)    日よけのついた回廊、あるいは礼拝堂の中の、アーチ柱の列のこと。この回廊が3辺を作り、もう1辺に礼拝堂があり、マスジド本体の計4辺を構成。アズハルでは、出身地ごとに分けられた学生寮のことを、この名前で呼んでいる。

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