アラブを見つめて
 

【保護からはるか遠く】



 先日、私はある店に、―もっと正確に言えばある大型スーパー―にいました。 そこに私は親戚の女性と買い物に来て、店内でそれぞれ別々に買い物をして歩き ました。

 そしてレジの前で落ち合うと、彼女は私が買ったある商品を手に取り、その値 段を私に訊ねました。私がそれは29リヤルだと言うと、彼女はこう言いまし た。

「これ、返してきなさいよ。〇〇の市場では(それは庶民的な市場です)同じ材 質で17リヤルで売っているの。私がそこから買ってきてあげるわ。はっきりし た違いはないんだから。」

 そこで私は彼女に従い、その商品を元の場所に戻しました。そして実際に翌 日、彼女は彼女が言った値段で同じ商品を買って、私のところに届けてくれたの でした。

 私はその値段の差にとても驚きました。とりわけその大型スーパーは、最近、 宣伝している一部の商品についてのビッグバーゲンを売り物にしていたからで す。

 しかし、私は思い返しました。よく言われているように、一部の商品について ビッグバーゲンをしているということは、その代わりに他の商品で利益を上げる ということなのだ、と。

 店側としては消費者への愛や敬意ゆえに、一部の商品を半額で売るはずはあり ません。店はセールで利益を得るはずなのです。他の商品によってか、あるい は、セール品を大量に捌くことによって。

 バーゲン中、それらのバーゲン品を求めて、何千という客が押し寄せ、わずか な差額を得するために、恐ろしいほどの混雑の中、何時間もかけて買い物をする のですから。

 しかし最終的に、客たちはレジの前で見出すのです。そこで支払う金額が、 バーゲンをしていない店で支払う金額よりずっと高いことを。そして家へ戻って 戸惑いを感じます。

 あのスーパーではバーゲンをしているのではなかったのか? 何故自分はこん な大きな金額を支払ったのだろうか? 商品が多くて、以前よりも多く買いすぎ たのだろうか? そしてバーゲンの時期とそうでない時期との違いがはっきりせ ず、何だか心が痛むのです。

 実際、サウジアラビアの消費者は、全般的に、商品の値段をよく見ていないこ とが多く、ここ数ヶ月間、10リヤルだった食品が13リヤルか14リヤルに なっていても、値段が上がったことに気を配ることはあまりありません。
 値上げの理由を店に尋ねたり、消費者の権利を保護するためにクレームをつけ たりすることはないのです。

 問題は、給料アップが発表されると同時に、人々が物の値上げを予想してしま い、心理的に値上げに対する準備をしてしまうことにあります。

 しかし、人々の絶え間ない不満がその悪影響のいい例です。特に病気を抱えた 貧しい人々は、40パーセントもの薬の値上げに苦しんでいます。私はそのよう な情報を、多くの薬を服用する高齢の女性たちから聞きました。

 ある貧しい老婆は、それまで9リヤルで目薬を買っていましたが、それが15 リヤルに値上がりしてしまったとか。

 彼女は元々、9リヤルでも買うのが難しかったのに、どうやってそれ以上の節 約ができるでしょうか。しかし彼女は、どうしても自分に必要なその目薬を買う ために、これからはすべてのものを自分に禁じてその代金を確保するしかない、 と言うのです。

 物の値上げが静かになされることや、給料アップに伴って物の値段が上がり、 それが、システム化された給料アップの前で、何もできない消費者の絶対的無力 さによって諦めとなって消えていくことに関し、さまざまな疑問があります。

 このような諦めは、消費者が疑問を投げかけ、まず売り手に値上げの理由を問 う正当なる権利についての意識が欠如していることから来ているのです。売り手 の答えはみな同じで、輸入元の値上げによるものだから、自分たちには何の裁量 も作為もないのだ、というだけかもしれないけれど。

 また、消費者の諦めは、通常の値段であろうが、給料アップに便乗して上げら れた値段であろうが、消費者の権利を求めることなく、いつでも物を買う習慣が ついていることからも来ています。それらの商品の必要性によるものかもしれま せんが。

 アミール、ナーイフ・ビン・アブディルアズィーズは、消費者の権利を保護 し、給料アップに便乗しないように、指導しているのですが。

 庶民層の公務員や会社勤めの人たちは、15パーセントの給料アップの恩寵を 費やそうと急ぎ、通常の値段であろうと、給料アップに伴って値上げされた値段 であろうと、あまり気に留めません。

 物を買うことに慣れた古いタイプの消費者は、お金が手に入ってきた以上、値 上げを気にすることはなく、消費者の権利を保護する法律やら場所やら団体やら について調べようという関心は全くないのですから。


筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年11月20日更新)

                

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