アラブを見つめて
 

【おしゃべり】



 女はよくおしゃべりに没頭し、その中で新たな夢がやってくるかのように、話 に夢中になります。おしゃべりは女にとって、それまでの人生の中で失ってきた 香りのようなものです。しゃべることにより、過ぎ去った言葉や以前理解できな かった事柄のすべてをつかまんとするかのように。

 女は子供であれ、思春期の少女であれ、若い娘であれ、中年女性であれ、40 代であれ、60代であれ……、最後まで、おしゃべりを好みます。年齢や関心に よってそのおしゃべりの意味合いは違えども。

 私たちは現世で気苦労があると、久しく会うことのなかった友人の許へ行くの です。その瞬間こそ不可欠なものであり、それで私たちはおしゃべりをします。 閉ざされたすべての扉を開け放って。そして相手は友情や関心によってそれを聞 き、理解することで、私たちを助けくれるのです。

 人はおしゃべりをする時、「胸に持っていたものをすべて出して、楽になった わ。」と言います。それが悲しい話であれ、嬉しい話であれ。私たちの他にも一 緒に聞いてくれる人を必要とする話であれ。

 私たちはおしゃべりをする時に、話の内容を種類別に分けたり、それに基づい て構成したりする必要はなく、ただただ話すこと自体が必要なのです。聞き手の 方が、自分に投げかけられたその雑多な話を整理すればいいのですから。

 現代のおしゃべりについて重要なことは、それが、自分の背負う問題や悩みを 他の人に投げかけようと、無心に隣人や友人や同僚に語る場合だけに留まらない ということです。

 それどころか現代におけるおしゃべりは多くの意味合いを持ち、「おしゃべり による治療」と名づけられています。暮らし方のペースが速まったことで、人々 の距離が離れ、近所付き合いの大事さが消え、友人同士の付き合いが薄れていっ て以来、精神医の存在がその代わりとなりました。

 かつておしゃべりは互いに好きあう人同士、また安心できる相手に向けられた ものですが、今は精神医が聞き手となったのです。

 カイロ大学心理学の教授、アハマド・ハイリー・ハーフィズ博士は、2週間 前、アル=アハラーム新聞に掲載された話の中で、おしゃべりの概念についてこ のように話しています:

「おしゃべりは、過ちや秘密や問題からなる、人間の内面の余剰エネルギーで す。

 それは押し込められて溜まった蒸気のようなもので、容器内が安定した状態を 保つためには、外に出て行かなければならないものなのです。そうでなければ、 それは大変な危険の源となるのですから。」

 そしておそらくその最も重要な条件は、そのようなおしゃべりが、互いに好き あう者同士でなされることでしょう。なぜなら、おしゃべりには自分自身をさら け出す要素があり、人は親しくない人の前で自分をさらけ出すことはないからで す。

 また、知恵や成熟した考えも必要です。私たちは自分の秘密を、興奮しやすい 者に明かすべきではありませんし、また、解決を求めるために自分の不安や恐れ や問題について話すのであって、他者の評判を落とすためであってはなりませ ん。

 そして、聞き手に求められる最低限のことは、理解することであり、それから 支え、助言することです。もしもこのようなプラスの要素を失ったとしたら、そ のおしゃべりには意味はなくなります。

 そして、私たちはどんな時でも、「危険地帯」の存在を知っていなければなり ません。私たちには完全に明かすことが禁じられている事柄が存在するのです。 いつの日か、それによって相手が自分を襲うかもしれない武器を、決して渡して はなりません。

 私たちは、おしゃべりに適した話題を意識しなければなりません。明かしては ならない事柄は心の中の墓場に埋めてしまい、決して出してはならないのです。

 また、知識のある者が自分より無知な者や、無能な者にはなすべきではありま せん。心理学の教授は次のように考えています。つまり、女性のおしゃべりは多 くの詳細に満ちていて、その傍流の話題の方が、主流よりも重要だと。

 それは、女の話の目的が問題解決にあるのではなく、できるだけ楽になること にあるからで、そのために、女のおしゃべりには涙がつきものなのです。

 男性の話はどちらかといえば知恵のある者への相談に近く、その目的は、解決 と安寧の岸辺へとたどり着くことにあります。

 また教授は次のようなことも示しています。
 大部分の精神病は不安や心配から始まり、鬱で終わり、その原因は「おしゃべ りをしないこと」です。人は、自分の殻にこもって共感者や支援者なく危機を過 ごすと、精神病の餌食になってしまいます。人間は心にあるものをその都度出し て暮らすときにこそ、健康的に生活できるのです。

 最後に、ハイリー博士は、「自分の秘密に圧迫される者は、他者の秘密にも圧 迫され、それを秘めておくことはできない。」という言葉には異を唱えていま す。

 なぜなら、自分の心を痛め、出口を求めるのは、自分の秘密だけである、と彼 は考えているからなのです。



筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年8月14日更新)

                

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