アラブを見つめて
 

【灼熱の海を泳ぐ】



 このところ、私たちは暑さの海の中を泳いでいます。私たちは、自分たちが今 「炎の数ヶ月」を過ごしているのだと解説することはできるのですが、その恐ろ しい暑さから逃げ出す方法は見つけられないままです。ジッダはまるで熱した鉄 板にぶら下がっているかのようで、そんな暑さと共存して暮らしています。

 毎年同じ特徴をもってやってくるこの暑さの中、一体、人間にどんな仕事や偉 業ができるというのでしょうか?!

 あなたは、自分が何とか身を守っている家の中の涼しさのほんの欠片でもいい から、表で見出せるようアッラーに祈りながら家を出ます。車が置いてある場所 までの間、あなたを守ってくれるエアコンの涼しさのひとかけらでも持ち運べた ならば、と祈りながら。

 車まで距離はほんの限られたものであり、一見、そのような大層な祈りが必要 な距離ではないように思えるにもかかわらず……。

 真昼には、縦横無尽に灼熱の酷暑が襲い、あなたはまるで毒で焼かれているよ うに感じます。息ができないほど恐ろしい湿度と暑さ……。そしてあなたは車へ と逃げ込むのです。できることなら数分前からエアコンで冷やしておいてから入 るべき車内へと。

 しかし、あなたはその帰り、この殺人的な暑さの中で働く人々を見出します。 その頭をめがけて灼熱の太陽が襲う建設現場で、一体誰が働くことができるで しょうか? それを見てあなたは、彼らに助けがあるようアッラーに祈るので す。彼らを太陽の直撃から守ってくださるように、と。

 それからあなたは疑問に思うのです。彼らのような労働者の仕事や労働時間を 定める法律はないのだろうか? 彼らはこのような殺人的に暑い時間帯に、どう して働かなければならないのだろうか?

 たとえば最近クウェートで、真昼の12時からアスルの4時までの間、太陽の 下、工事現場で働く労働者を殺人的な暑さと太陽熱から守るため、彼らの仕事を 止めさせる規則が実施されたように。
 特に、7月と8月には気温が50度に達する日もあるのですから。

 今日、友人が私にこのように告げました。先週の火曜日に「おとめ座」の期間 が始まり、過ごしやすい場所を求めて人々が旅する、最も激しい暑さの「しし 座」の期間よりは、少しはましなのだ、と(*訳注)。

 この友人は、私が、「おとめ座」だの「しし座」だのに全く関心がないことを 忘れているのです。私の関心は、ただ、この恐ろしい熱波がいつまで続くのか、 ということなのです。

(*訳注:星占いの星座にはそれぞれ特定の期間があるので、そのことを指してい るように思われます。しかし、イスラームでは星占いを含めて占いそのものが禁 じられ、信じられてはいないので、筆者は友人が季節を星占いの区切りの名で表 現したことを、ここで揶揄しているようです。)

 夏に避暑地を求めて旅する旅行者が、猛暑から逃れて旅から戻り、飛行機から 降りると、そこには出かけた時と変わらない熱波が待っています。その熱波は、 彼らに本格的な不幸を与えんとし、また、差し迫った場合を除けば、彼らを強制 的に家に押し込めておくべく、彼らが戻るのを待ち受けているのです。

 数日前、私は退屈な番組や、いつもながらの災難を伝える番組を避けて、テレ ビのチャンネルを回していたのですが、やがて、ARTのスポーツ局のキャスター が、アル=アハリーとアル=ハズムの両チームの選手たちにインタビューをしてい るのが目に留まりました。

 キャスターは、その試合が全体的にレベルダウンしていたことについて彼らに 尋ねたのですが、選手たちはあまりの疲れのために、ちゃんと話すことさえでき ないでいたのです。大量の汗が流しながら。

 そして彼らは、気温も湿度も大変高いため、そのために、レベルを上げること ができないのだ、と答えました。それを聞き、このような気温や湿度の中では、 どんな試合も行われるべきではなく、せめて試合開始を日暮れまで待つべきだ、 と私は思いました。

 取材の中で選手たちは、ただただ、試合が終わって家へ帰れることだけで、 ホッとしているように見えました。試合の結果に関係なく。

 問題はこのような天気が、ラマダーン月の最初、あるいは中頃まで続くかもし れないことなのです。その頃には学生の新学期が始まるので、アッラーが彼のし もべたちに慈悲をおかけになり、彼らがきちんとした生活を送れるために、この 熱波を避けてくださることを願うばかりです。




筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年7月31日更新)

                

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