アラブを見つめて
 

【夜を味わう……そして時に眠りも】



詩人オマル・アル=ハイヤームはこのように詠いました:

「眠ることが人生を永らえるわけではないし
        眠らないことが人生を短くするわけでもないのに」

 この詩片についての解釈や理解は人それぞれではありますが、夜を愛する者た ちは、今尚この詩を好みます。彼らは眠らない夜に飽きることがなく、早寝とは 相性が合わない人々……、彼らは夜型人間です。夜型人間は、夜の移り変わりを よく知っており、夜の素晴らしさを広めるために自分の経験を役立てるのです。

 夜は眠りに溶けてしまうべきではないと彼らは考えます。ファジュル(黎明)に おいて夜は美しく、しかしまた、人々が愛やロマンスを語る夜の始まりは、それ 以上に美しい……。昼間の喧騒や慌しい日中の時間は彼らを疲れさせるばかり。 昼間、人々は苛立ちとあせりと共に糧を求めて他者と争うからです。

 また、夜には自分を見出せない人々もいます。彼らは、夜に眠りとリラックス 以外の意味を認めず、翌日の昼間のためのエネルギーを求めます。

 中には、自分の仕事や休みのスケジュールに応じて、夜の時間と眠りとの両方 を楽しむ中庸の人々もいて、彼らはすべてのことを経験します。早く眠りを取 り、昼間の活力を楽しむこともできるし、また、眠らない夜を楽しむこともでき るのです。

 早寝をする人々は、おそらく人生の3分の1を眠りの中で過ごします。地球上 の人々の多くは早寝に努めており、彼らはある統計に表れているように、早寝は 脳の活性に役立つと考えています。彼らの体の中では体内時計がきちんと機能 し、それによって朝決まった時間に起きることができるのです。

 彼らは、寝不足は記憶や脳の活性に影響を及ぼし、頭の働きを弱めると思って います。それは、充分に睡眠を取らない人々に対して行われた実験でも明らかに されました。

 しかし中には、問題解決のために眠りへと逃避する人々もいて、それは誰しも 経験したことがある単純な方法です。悩みのない通常の状態でも、眠りはそれ自 体が身体の休息ですが、問題を抱えるときには眠りはより一層の休息となり、時 に、問題の解決や考え方の角度を変えるために役立ちます。

 リラックスは、より平静な状態で物事を考えるためのエネルギーを与え、問題 に見舞われた後には、眠りに逃避する自分を見出すことがあります。そして眠り からさめると、以前より冷静で、集中して考えることができる自分を見出すこと ができるのです。また、ある学者が言ったように、眠りは洞察力を強めるもので もあります。

 ですから、眠りはリラックスのためだけに有効なのではなく、問題解決のため にも有益であり、効果的に学ぶためにも不可欠なものなのです。

 しかし、自分の意に反して眠りに逃げ込む場合には、睡眠薬や精神安定剤を使 わなければならなくなります。それだけではなく、眠りを求めるあまり、睡眠薬 を常用することにもなります。

 不眠に襲われる人々は、若年でもそうでなくても多く存在し、彼らは医師に相 談することなく、また、それが身体的なものから来ているのか、それとも精神的 なものから来ているのか、不眠の原因を知ることもなく、睡眠薬を使うのです。

 彼らの中には、元々不安や緊張を抱える人たちや、また、眠らなければならな いとあせっている人々もいます。眠りに向かうために適切な雰囲気を準備するこ ともなく。

 そして、眠りを熱望するがためにそれは逃げていき、眠りをもたらすために睡 眠薬を飲まなければならなくなるのです。しかし、多くの場合、それは健康的な 眠りではありません。

 不眠というのは本当に苦しいものです。人々がぐっすり寝入っている中で、眠 れない夜のつらさを過ごしたことのある人にとっては、たった一夜が幾晩にも感 じられるものです。特に、いつもと違う時間に寝ようとする時や、寝る時間がま ちまちである場合―毎晩違うスケジュールで時間を過ごすとか―、自分が眠れな いのではないかと内心心配になります。

 そしてこの潜在意識こそが、元々何かしら問題を抱える状況下で不眠を作り出 すのです。眠らない夜への愛に浸る先の詩片に反し、それは命を縮めることにな ります。何故なら、私たちの祖母たちがいつもこう言ってくれるように、自然な 眠りこそ癒しだからです。「眠りなさい。そして元気になりなさい。」と。

 ちゃんと眠れば眠るほど美しさや若さは増し、眠りは美容のためのリラックス にもなってくれます。時にしっかり眠ると太ることもありますが、逆に寝不足で 太ることもあります。なぜなら、寝不足は食欲の扉を開けるからです。

 夜の機能やそこで見る夢の豊かさを気に留めず、不眠は寿命を縮めるという考 えに関心を払わず、健康的な生活の扉を閉じる人々の中には、4〜5時間、ある いは2時間ほどの睡眠で人や人の仕事には充分であると考える人々もいます。

 若い頃には大変美しく、鉄の女と呼ばれ、自国の時代の象徴ともなったマーガ レット・サッチャー元英国首相も、少女期から首相の座を離れるまで、5時間も 眠らなかったそうです。その後、彼女がどれだけ眠っているのかは知るよしもな いけれど……。




筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年7月17日更新)

                

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