アラブを見つめて
 

【反予算同盟】


 新聞は、貧しい国民の困窮ぶりを定期的に伝えています。たとえば、家賃が溜 まってしまい、家から追い出されそうになっている人のことなど。しかし、家主 に罪は全くないのです。家主はその家賃が差し迫って必要で、他に収入がないこ ともありますし、借家人の方は、家を借りる際に、自分に家賃を払っていく力が ないことをわかっていながら、法律によって借家人を追い出せないことになって いる家主に被害を与えようとすることだってあるのです。

 そのような場合、どんな解決法があるでしょうか? たとえば、家主が当然の 権利として自分の所有物を享有するために、この貧乏な借家人は路上生活をすれ ば良いのでしょうか? あるいは、借家人はいずれ解決を見出すことを願い、そ こに住み続ければよいのでしょうか? それとも、家主は未払いの家賃に目をつ ぶり、借家人が出て行くように交渉すれば良いのでしょうか? 時に、このやり 口はまかり通り、借家人はそのやり方で未払いの家賃を支払わないまま借家から 借家へと移っていくのです。自分は貧乏で金がないが、他の者たちと同様に居住 権があるのだとして。

 一方で、収入の半分を家賃にあてて生活している借家人の苦労もよそに、この ような問題を新聞に書き送る人々もいます。

―ある男の給料は1200リヤルで、居住のためではないローンを800リヤル も抱えている、あるいは、親戚から10万リヤルの借金をしているが、どうやっ て払えばよいのかわからない……。

―1800リヤルの給料の男が借金して結婚し、その借金を抱えたまま子供が生 まれた。そしてやがて妻を子供と共に彼女の実家に送り返さなければならなくな り、家も家主に返し、借金を抱えたまま、同じく負債を抱えた貧しい実家へと帰 り、一体どうやって自分の借金を返していいのかわからない……。

―12年前に結婚したある女性は、結婚生活と4人の子供たちに恵まれた結果と して、25万リヤルを超える借金を抱えている。彼女たちは何か問題があるとす ぐに金を借り、今、彼女の夫はそのために刑務所に入らなければならない事態に 脅かされていて、彼女は、どうやってできたかわからないその借金を返済する方 法を探している……。


 さて、新聞がこのような人々に何ができ、どんな援助を提供できるというので しょうか? このような問題を伝える記者たちに、何ができるでしょうか? 記 者は記事を載せるだけで、残りは読者に託されているのです。

 自分の生活力と需要を充分に知りながら、豪華な肉料理や、高級レストランで の食事で満腹するような暮らし……。今尚、階級間の摩擦は続いており、今尚、 満足を知らない人々は存在し、「あなたの布団の大きさに応じて、足を伸ばしな さい。」という言葉を受け入れようとはしません。彼らは、自分に返済能力がな いのに―個人からであり、銀行からであれ、車の購入のためであれ―、わけなく かさんだ負債を抱え、その負債で、親戚や知人を窮地に落としいれ、刑務所行き まで余儀なくさせることもあるのです。

 給料が3000リヤルを超えない者が、ローンで車を買い、その毎回の支払い が1500リヤル。それにより、両親と妻子に残るのは1500リヤル。その上 に、家賃、電話代、交通費、食費、衣服代、電気代、ガソリン代、それから、毎 月のようにあるお祝い事や社交のための費用……。これで、彼は一体どうやって 借金を返済できるのでしょうか?
 残りの給料で、借金返済と生活とのバランスを保っていくことなどできるで しょうか? そのような生活で、彼は平常心で暮らし、息をつき、微笑むことな どできるでしょうか? わけなく腹を立てたり、興奮したりしないで?

 当初彼は、その車がすべての問題を解決する助けになるのではないか、と考え たのです。いざとなればその車を売り、未払いの家賃や電気代や止められた電話 代を支払い、長い間放置してある車の修理をするのだ、と。そしてこのようなや り方で、たとえつかの間でも、窓を開けて新鮮な空気を取り入れようとしたので す。

 しかし問題は、その考えが、その時々の状況にだけ結び付けられていることで あり、明日の状況とは結び付けられていないことです。今後も家賃や電気代や電 話代をきちんと納めていくためには、再び負債はたまっていくのですから。
 まさに、先のことに気を配らない刹那的なやり方なのです。もともとその原因 を作ったのは一体誰なのかを考えもせずに。


筆者:ナジュワ ハーシム
サウジアラビア女性作家 

(2007年5月22日更新)

                

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