アラブ女性
 

【結婚への道】
 

前回、サウディ家族の主な特徴や習慣をご紹介しました。『千里の道も一歩から』という日本のことわざにもありますように、「家族」構成の最初の一歩は、若者が自分の両親に「結婚したい」ということを告げることです。この一言は彼の両親に喜びをもたらします。なぜなら息子を結婚させ、孫を目にすることができ、家族が大きくなることを思い描くことができるからです。今から2、30年前は若者は19歳か20歳になると結婚しました。また、前回紹介したように多くの者たちは結婚しても親元を離れませんでした。同様に教育に関しても現代と30年前では相違点が多々あり、当時は必要な勉強といえば読み書きができれば充分という程度で、当時の小学校の卒業生は現代の大卒に相当していました。そして小学校卒業という学歴によって働き、自分の未来を築いていくことができたのです。ところが現在は多くの若者は大学を卒業し、よい働き口を見つける時期に相当する25歳以降に結婚します。以前とは異なり、夫婦は両親との同居を望まないので20代で結婚する者は少なくなりました。また結婚後経済的に独立できるようになるまでの期間のみ同居し、その後実家を出る者も見られるようになりました。

結婚を望む男性は、まず家族に結婚したいという意志を伝え、この時に男性は自分の母親や姉妹に、自分がどのような女性を人生の伴侶として望んでいるのか、ということを伝えます。その後、彼の母親・姉妹・叔母(伯母)たちという親戚の女性たちが自分の息子が望んだような女性を探し始めるのです。母親は親類の女性たちにこのことを告げ、その女性たちは自分たちの友人たちの中から探し、叔母(伯母)たちは彼女たちの隣人たちや知り合いの中から花嫁候補を探し始めます。サウディ社会では多くの場合、このようにして結婚への道のりがスタートします。
ほとんどの場合、花嫁候補はまもなく見つかります。というのも、以前お話したようにサウディ社会では大家族の集まり・パーティーなどの機会が途切れることなくあり、これらの集まりには多くの女性が参加するからです。花嫁候補が見つかると、男性の母親は花嫁候補の家を訪れ、相手方の母親や親戚の女性たちに、自分の息子が相手方の家族の娘さんを花嫁として望んでいる旨を話します。そして花婿の母親は彼女たちに、自分の息子の名前・年齢・将来性・職業・社会経済状態などの情報を提供します。また時には息子の習慣・長所・短所なども伝え、後のことは相手方の家族に任せ、家に帰り、よい返事が来るのを待つのです。

この期間に、結婚を申し込まれた家族は結婚を申し込んだ男性の職場・学校・居住地でこの男性について、また彼の人柄について訊ねます。質問として特に重要視されるのは宗教的な面で、彼の礼拝・行動や振舞い・人格について質問されます。そして相手の家族は、この男性が自分たちの娘の夫として相応しい人物だとみなしてから当事者の娘に話を切り出し、完全なる彼女の自由な意思でこの男性を自分の婚約者として受け入れるかどうか訊ねます。女性側が第一段階として相手の男性のことを花婿候補として受け入れると、女性の家族はその返事を男性側の家族に伝え、二人が実際に面会し、最終的に結婚に同意するかどうかを決めるための約束の日取りを決めます。面会の日、男性側は優雅に着飾った格好で、そして女性は恥ずかしさでいっぱいでこの日を迎えます。そして彼女は自分の顔と髪の毛(男性が髪を見ることを条件とした場合)以外は隠した状態で男性の前に出るのです。この際何か欠点となるようなことがあればそれを隠してはいけません(例えば足が不自由なことを隠したり、やけどの跡があることを隠してはいけません)。

しばらく互いに話をした後、男性は相手にプレゼントを贈り、これが男性側のこの結婚への同意になります。そして男性は彼女の返事を待たずに家に帰ります。女性からの返事は何日もかかる場合があります。女性がこの結婚に同意しない場合は女性の家族が受け取ったプレゼントをもって男性の家を訪ね、品物を返し、心からその男性の成功を願う言葉をかけ、その話はなかったこととなります。男性側の家族と本人も女性の家族を心から歓迎します。というのもこの男性は結婚もアッラーの御意志によるものだと知っているからです。そしてもしこの結婚の話がまとまった時には次回の面会を約束し、その中でお互いの家族(大家族)にお互いを紹介し、結婚に関する細かいこと(結納金・家・女性側が男性側に条件として出すこと→勉強を続けることや仕事を続けること、など)を決めていきます。こうして最後に結婚の契約の日取りを取り決めます。

これが結婚への最初の段階である婚約までの期間となります。それから結婚契約の後に「ミルカ」と呼ばれる段階に入ります。この期間は結婚契約後披露宴までの期間となります。この期間は長くて2年くらいで、その間両者はそれぞれの実家に住み、性的な関係は一切持ちません。両者が会うときは必ず家族の者が同席し、相互理解を深めます。この期間に男性は結婚後の家の準備をし、女性は結婚後の生活の準備を始めます。この期間を経て、両者が決めた結婚披露宴の日に花婿は花嫁をつれて二人の家に行き、長い結婚生活の第一歩を歩み始めるのです。サウディ社会では家族により多少の違いがあるとはいえ、このようにして結婚が執り行われます。

サウディにおける結婚への過程を紹介しましたが、私と夫との結婚も同様の過程を経て行なわれました。結婚が決まった時、私も夫もともに学生でしたので私は結婚後彼の実家(大家族)に同居することになりました。私と夫それぞれの部屋が作られ、そのようにして始まった新婚生活はとても楽しいものでした。このように私は結婚前の実家の大家族から新しい他の家族(夫の実家の大家族)へと入り、一人で夫を待つというような大きな変化を体験することはありませんでした。そして夫の実家で私は勉強を続け、夫の家族の協力によって良い成績で卒業することが出来ました。

残念ながらサウディアラビア王国は大きな変化を遂げ、社会的習慣の中にもその変化は現われてきました。そしてそれらの多くは好ましくない変化でした。次回はこれらの現在顕著になりつつある社会問題について紹介していきたいと思います。


筆者:ラシャー アルマンスーリー
アブドルアジーズ国王大学 生物化学元研究科

                

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