声と像
 

【声と像 9】



 私の娘は新世代の他の若者たち同様、コンピューターやインターネットの活用 方法に長けており、どんな距離でも瞬時に縮め、知識や情報収集の扉が開かれて いるそれらの技術の新しさを追いかけます。

 外交官の仕事の性質について話した先日の夜、娘はとある記念に私が贈った日 本製のコンピューターを指して、こう切り出しました。

「この機器には―(と言いながら彼女はインターネットに接続したコンピュー ターを指差しました)―、物事を短縮し、外交官たちが他者に先んじる機会を奪 う力があるわ。

 この機器の力で、私たちは誰でも世界の新聞をあらゆる言語で読むことができ るのだし、特定の意見に同調したり、こんにちのさまざまなテーマについてコメ ントしたりもできるの。

 それにこの機器の力によって、私たちはあらゆる大学や研究所や政府機関にも アクセスが可能で、そこにある情報を一から得ることができるし、私たちの情報 をそこに送ることもできるのよ。

 そして特定の意見を持つ人々や、政治、経済、産業分野で意思決定権を持つ人 たちとの対話だって可能だし、外交官がめざす善と益ある結果にも到達すること ができるわ。

 要するに、この機器の存在によって―この機器は、豊富な機能と調査研究技能 を持っているわ―、外交官は、その国を訪問するVIPの滞在を快適なものにする サービスの提供以外の外交儀礼を、いずれ見出さなくなるのではないか、という ことなのよ。

 でも、客人のためのホテルや交通機関の予約の仕事に関しても、もはやコン ピューターを通した方がより迅速で、より広範囲なの。

 外交官たちには、接受国を訪れる自国民の保護のような、領事部の仕事もある じゃないか、という人もいるかもしれない。彼らのパスポート更新とか、自国を 訪問する接受国の人々への入国ビザ発行とかね。

 でもそれらの仕事もコンピューターで扱えるわ。私たちは『電子政府』と呼ば れるものがある時代に暮らしているの。電子政府は、銀行や金融機関だけではな くて、多くの省庁や市役所などの政府機関にもその支配を広げているのよ。

 そしてたぶん、コンピューターで国内からでも国外からでもパスポートの更新 ができるようになるだろうし、我が国の訪問を望む人もそれで入国ビザを手に入 れることができるようになるわ。

 パスポートを更新したい国民や、友好国の人々で我が国を訪問したい人が軽く ワンクリックすると、画面にその準備手続き情報が現れるの。そして数秒の間に 情報確認が済み、画面には認定の合否が出てくるわ。

 認定されれば、依頼者は次のクリックで、画面に出てくるクレジットカードで の手数料支払いを行うのよ―申請に手数料が要る場合にはね―。そしてカード発 行元の銀行が、依頼者の口座から政府機関の口座へ手数料の振込みを行うの。

 それからコンピューターはパスポートの有効期限更新や、申請者の目的に応じ た入国許可を示す証明書―パスポートに貼り付けるための―を発行して手続きは 完了するのよ。

 これは、コンピューター技術と電子政府の仕事が、外交官の足元から緑絨毯を 引き抜く(*つまり、外交官の仕事を奪う)ほんの一例にすぎないの。でも、政 治、経済、文化、メディア、総務専門の外交官の仕事にも適しているわ。

 また、電子政府の業務担当者は、各省庁や政府機関に、将来そう何人もいらな いんじゃないかしら。時間と費用の節約を実現しつつ任務を果たすためにね。」

 それから彼女は羞恥で顔を赤くし、この方面で自分の想像をたくましくさせ、 私が愛着を寄せる外交機関についてあれこれと意見を言ったことを申し訳なく思 う、と付け加えました。

 実は彼女も私と同様、私がその所属に誇りを持つ外交官の仕事に親しみを持っ ており、国外で我が国の大使館の前に立つたびに、誇りと喜びを感じているので す。

 大使館の建物の上には、「アッラー以外に神はなく、モハンマドはアッラーの 使徒である」というイスラームのメッセージが書かれたサウジアラビアの国旗が 空高くはためいているのですから。

 私は彼女の突然のテーマに、言うべき言葉が見つかりませんでした。何故な ら、私自身、時間と労力の節約のためだけではなく、電子技術の継続的な進歩の ために、そして、この分野を専門とする若者たちにたゆまぬ努力や新たな発明登 録を奨励するために、我が国における電子政府業務の輪を広げようと呼びかけて いる推奨者の一人だからです。

 この奨励は、アブドッラー・ビン・アブディルアズィーズ国王陛下の支援や、 多くの知識人や文化人の支援と評価を得ているものです。

 たとえばアブドゥ=ル=マクスード・ハウジャ師が、昨年のあるイスナイニーヤ (月曜会)で、ワーイル・マルザー・ブハーリー青年に対し、その学問的優秀と 科学技術分野での多くの発明特許登録を称えて恩典を授けたのも、その一例でし た。

 娘との会話では初めてのことでしたが、私はこの夜、自分の方から話の切り上 げを申し出ました。外交官の足元から緑絨毯を引き抜くであろう電子政府につい て、自分の考えを検討しておくことと、近いうちにその話の続きをすることとを 約束して。

 そこで私は、読者の皆様の中で、この件に関心がある方の助けを求めたいと思 うのです。皆様の情報によって力を得、この件に関して次回は私が優位に立てる ように。


祝福の地マディーナにて―ヒジュラ暦1427年ムハッラム月23日


筆者:モハンマド バシール クルディー
前駐日サウジアラビア大使       

(2007年11月6日更新)

                

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