遠くの近い国
 

【シリアの秩序・無秩序 その1】


シリアという国を私達の「秩序」で括ることはできない。この国がたちまち「無秩序」の塊に変わってしまうからだ。もちろんその「無秩序」が自分の身に降りかかった時は外国人であれシリア人であれ、これ程気分を害することはない。しかし、後でよくよく考えるとその型破りな常識に笑えてしまう。ましてや私達外国人が外と比べてどうこう言ったところでシリアはそれでも機能しているのだから、彼らには彼らなりの「秩序」が存在するのだろう。

其の一 「交通にまつわる話」

十年前に衝撃を受けたカイロの風景と同じだが、ここには「車線」というものが無い。実際には薄っすらと残っている場所もあるが、車はクラクションによって自分の存在を主張した上で、割り込みも追い越しもしていい(だから町中はクラクションの大合唱)。車と車はすれすれのところで走り、事故が無いのが不思議なくらい。更にここシリアでは、実質的に本線も無い。前方車を追い越すために反対車線に堂々とはみ出して走行する。アラブ初心者は手に汗握る。

首都であっても信号の数が異常に少ない。ある所でも交差する信号が黄色になったら「進め」の意味。他の事は適当なシリア人でも、運転に関しては殊の外せっかちである。でもよく観察すると皆がそうしているから事故が起きないのか、と変に納得してしまう。車も我先にと狭い隙間に入り込んでくるが、外国人には到底分からない「順番」みたいなものもありそうだ。

もう一つ、シリアでは車優先。歩行者が車に気をつけ車を避ける。仮に車が人を掠っても日本のように賠償金だの保険だのと騒いだりしない。バックしてくる車に関しても同じ。果たしてここには「後方不注意」という概念はあるのだろうか?

其の二 「脳のカビ」

これは笑えないが不思議な話である。友人の知り合い(地元人)が歯医者で抜歯をしたら、そこから菌が入り脳にカビが生えた。もともと糖尿病体質で体温も高かったその人の頭の中は菌が繁殖する環境に適していたのか、カビは見る見るうちに広がり、危篤状態になってしまった。こういったケースはシリアでも珍しいらしいが、それでも年間4〜5人が同様にして亡くなるそうだ。何の菌がどういった環境で繁殖するのかは知らないが、医者が患者の健康状態を把握し、抜歯時と抜歯後の対応に気を付ければ救われる命なのではと思うのは私だけだろうか。


執筆:白石美紗緒
アラブ イスラーム学院卒業生


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