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【イブン・アルバイタール】
 

1.出身と学問的背景:

アラビア医学者イブン・アルバイタールを紹介しましょう。
彼の名は、アブー・ムハンマド・ディヤーゥッディーン・アブドッラー・ビン・アフマド・ビン・アルバイタール。アンダルシアのマラガで生まれた13世紀の著名な医学者であり、また薬学者、植物学者でもありました。

イブン・アルバイタールは、当時各地で植物収集をし、分類していたアブー・アンナバーティー・アル・アンダルシアィーに師事しました。また自ら植物収集と研究のために多くの地域を旅して回り、アンダルシアではセビリヤ地方を、そしてマラケシュやアルジェリア、チュニジアといったマグリブ諸国を横断しました。またより多くの植物学者たちから学ぶために、ギリシャやローマの国々までも旅し、やがてエジプトに移住しました。当時エジプトを治めていたアイユーブ朝のスルタン、アルカーミル(西暦1180〜1238年)よって、植物学者たちの長の地位に任命されたからです。

2.学問的業績:

イブン・アルバイタールはその後、アルカーミルの息子でダマスカスを治めていたアッサーリフ・ナジュムッディーンの下で学究に務めました。そしてダマスカスからシャーム地方やトルコのアナトリア地方への旅に出かけ、各地を巡って植物や薬草を収集、研究したのです。

ダマスカスの医学者で「医学者たち」の著者イブン・アビー・ウサイビア(西暦1203〜1270年)が、初めてイブン・アルバイタールと出会ったのはこの頃でした。彼は当時生薬や薬草の成分に関して、イブン・アルバイタールの知識に頼っていました。イブン・アビー・ウサイビアは、イブン・アルバイタールと共に数多くの植物を観察し、また彼と共に、ディスクリトスの薬の解説書を研究の参考にしたのです。

イブン・アビー・ウサイビアは、著書の中で彼のことをこう評しました。
「私は彼の知識と認識から、大変多くのことを学んだ。彼はどんな薬について述べるときでも必ず、それがディスクリトスとガリノスの著書のどの箇所に書かれていたか、またどの巻に記されていたかを示したものである。…」

イブン・アルバイタールは西暦1248年にダマスカスで没し、多くの著書を遺しました。その中でも最も重要なものは、「薬と栄養全書」で、「イブン・アルバイタール全書」として知られています。それは自然から採られた生薬や簡易な治療方法の集大成で、様々な言語に翻訳され、出版されました。
またイブン・アルバイタールは「生薬全書」を著し、その書で体のすべての器官を一つ一つ説明し、生薬によるそれぞれの部分の治療法を述べています。
その他の著書には、「植物の知られざる効用と驚くべき特質」、「植物学における過去の誤謬」などがあります。

イブン・アビー・ウサイビアの記述によれば、イブン・アルバイタールは高徳と博学の士でした。そして以前書物で読んだことのある薬の種類を分類するにあたって、彼の優れた記憶力がその作業に大きく役立ったとも言われています。彼は自分の記憶にある多種多様な薬草や生薬のどんなものも決して忘れず、それらすべてに入念な研究や調査を施した後に、必ず記録したのでした。


執筆: サルワ サラーマ

 

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