Made In アラビア
 

【アッラーズィー】
 

1.出身と学問的背景:

アラビア医学と化学の碩学アッラーズィーを紹介しましょう。
彼の名はアブー・バクル・アッラーズィー、ラテン語ではラゼス、またはラーゼスと呼ばれています。西暦10世紀の初頭に活躍しました。ペルシャのテヘラン南部アッ=ラィに生まれ、当時バグダッドを治めていたの君主アドゥドッダウラ(西暦983年没)の治世に生きた人物です。この君主の議会は、科学者や知識人たちで組織されていました。バグダッドに病院を設立するにあたって、君主アドゥドッダウラはアッラーズィーの意見を取り入れ、バグダッドの学界において、彼の高度な知識と学問に相応しい地位を授けました。一説には彼はバグダッドの大学教授の地位にあり、またあまたの医師たちの中から選ばれて、バグダッドの病院の院長となったとも言われています。

2.学問的業績:

アッラーズィーは医学と化学の分野で知られ、様々な病気の治療に適した薬を作るにあたって、この2つの学問を集結させました。多くの歴史家たちが彼のことを、中世最大の医学者と目しており、当時の偉人たちについて記録したアラブの人物辞典には、彼についてこう書かれています;

「アッラーズィーは、同時代において比類なき存在だった。彼は先人たちの知識、特に医学の知識を結集した人物である。…」

アッラーズィーは大変多くの書を著述しました。有名なものの中には、「精神医療」、「秘密の書」、最も優れた医学書の一つとされる「医学全書」、長年ヨーロッパの学校で化学の参考書として用いられた「化学の秘密」などがあります。
そして「はしかと天然痘」の書には、この2つの病気の違いとそれぞれの症状が書かれており、「貧者たちの医学」の通称で知られる「医者が来てくれない者の書」では、医者にかかれない場合でも容易に手に入れることができる薬を列挙し、解説しています。

またアッラーズィーは食養生法に関する著書も遺しており、体に良い食べ物を紹介して、その医学的効能について解説しました。生豆を砕いて煮た煮汁を薬用にしたという、コーヒーに関する最古の記述によっても知られています。

化学者としてのアッラーズィーは、常に入念な化学実験と弛まぬ観察に励みました。ヨーロッパの学者たちの間でも、アッラーズィーこそが近代化学の基礎を築いた人物であるという意見は少なくありません。彼は化学実験で得た貴重な知識を、医学の分野に用いました。

アッラーズィーは、当時認識されていたすべての物質を、「鉱物」、「植物性物質」、「動物性物質」、「それらの物質の化合物」の4種に分類し、更に鉱物をその性質によって数種に分類したことでも知られています。そして現在でも使用されている方法によって、数種の酸を提示しました。また彼は著書の中で、「ザイトゥッザージュ」という名で初めて硫酸について記述した人物とも言われています。

アッラーズィーの遺した著書は220冊を超えると言われますが、長い歴史の中で起きた政治的混乱の数々によってその大部分は失われ、現在ではそのうちの僅かがヨーロッパの図書館に残っているだけです。


執筆: サルワ サラーマ

 

(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2004年 アラブ イスラーム学院