読者の声
 

【[新しい世界をめざして]への意見】
 

読者の声[新しい世界をめざして]の中で『クルアーンには「騒擾がすっかりなくなる時まで、宗教がまったくアッラー(唯一神)の宗教ただ一条になる時まで、彼らを相手に戦い抜け」とあるのだという。…(中略)…神のしもべであることを受け入れた彼らは、神の言葉に忠実に従うことを義務づけられた人々、誰であれ神に逆らう者、神を畏れぬ者たちと戦うことを義務づけられた人々であるということになる。』という意見が述べられています。

この部分が「新しい世界をめざして」の筆者の個人的な解釈・意見であるのか、「一神教文明からの問いかけ」(講談社)からの抜粋であるのかわかりませんが、おそらくこれはクルアーン第8章「戦利品章」38−39節の誤った解釈ではないかと思われます。

日本ムスリム協会出版の『日亜対訳:注解 聖クルアーン』には次のように記載されています。[不信心の者に言ってやるがいい。「あなたがたが(信者に対する迫害を)止めるならば、過去のことは赦されよう。」だがかれらがもし繰り返すなら、昔の先例が既にあるのだ。だから、迫害と奸計(かんけい=悪巧み)がなくなるまで、また(かれらの)教えがすべてアッラーを示すまで、かれらと戦え。だがかれらがもし(敵対を)止めるならば、本当にアッラーは、かれらの行うことを御存知であられる。]

この節はムスリムたちを迫害していたマッカの多神教徒たちに関して下った節であり、アッラーが戦いを命じた背景には彼らのムスリムたちへの迫害が大前提として挙げられます。また引用された部分の後に[だがかれらがもし(敵対を)止めるならば…]と続いていることからも一概に、「不信仰者=アッラーが戦いを許可した相手」という図式が成り立たないことが理解できます。

またクルアーン第60章「試問される女章」8−9節には次のようにあります。[アッラーは、宗教上のことであなたがたに戦いを仕掛けたり、またあなたがたを家から追放しなかった者たちに親切を尽くし、公正に待遇することを禁じられない。本当にアッラーは公正な者をお好みになられる。アッラーは只次のような者を、あなたがたに禁じられる。宗教上のことであなたがたと戦いを交えた者、またあなたがたを家から追放した者、あなたがたを追放するにあたり力を貸した者たちである。かれらに縁故を通じるのを(禁じられる)。誰でもかれらを親密な友とする者は不義を行う者である。]

掲載された記事が「ムスリム=好戦的な人々」というイスラームに対する誤解を生みかねないと思い、解説させて頂きました。

筆者:ファーティマ佐久間
アラブ・イスラーム学院翻訳・文化講座担当

 


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