読者の声
 

【イスラーム圏へ旅行される皆様へ】
 

〜 旅行を楽しく安全なものにするためのアドバイス 〜


※このアドバイスは、在シリア日本人留学生の手で書かれていますが、大抵のアラブ イスラーム圏で役立つ筈です。

日本では、まだまだその真の姿が知られていないイスラーム圏へ旅する機会を、幸運にも得られた日本人旅行者の皆様に、イスラーム圏の人々と楽しく接し、誤解を招いたり、迷惑をかけたり、かけられたりしない様、イスラーム圏滞在歴の長い日本人留学生から、僭越ながらいくつかのアドバイスを書かせて頂きました。参考にして頂いて、旅をより安全で楽しいものにして頂ければと思います。


☆    ☆    ☆    ☆


日本から出て異文化に接するのですから誤解はつきもの。しかも、その情報があまり日本に入って来ない国にいたっては、いくつかの注意点を守るか守らないかで、あなたの旅を楽しいものにするか、それとも二度と行きたくないという苦い思い出にするかが決まります。

まず初めに、イスラーム文化の価値観は、伝統的な日本文化の価値観と非常に近いものがあるということを頭に入れてください。家族を大切にしたり、老人を敬ったり、近所づきあいを大切にしたり、集団の秩序を個人の自由に優先させる等々です。ですから、日本の伝統的な価値観に基づいて、常識的な行動を取れば、皆フレンドリーにもてなしてくれ、あなたを歓迎してくれるはずです。

怖がることはありません。イスラーム圏の治安は、概して、日本の治安よりも良いほうです。ただ、イスラーム文化は日本文化と全く同じではありませんから、いくつか特に注意を払うべき点があります。そのひとつが、服装及び、男女関係です。
 
旅行者の皆様の中には、「私は日本人なんだから、日本人として好きな服を着て何が悪い!」と思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、ちょっと考えてみてください。もし、あなたの近所に夜の職業についているような服装をした女性たちがたむろする様になったら、どうでしょうか?

やがてその女性たち目当ての男性たちがやって来て、ナンパをしたり、卑猥な言葉を投げかけたりして、また、酔っ払いなども増えれば、治安も悪化し、何もしていないあなたが、彼女たちのせいで間接的に被害を被るでしょうし、あなた自身でなくてもあなたの姉妹や娘さんたちが嫌な目にあうかもしれません。
 
これと同じ現象が、実際にイスラームの国で起きています。外国人女性が肌を露出した格好で男友達と歩くことが多く見られるようになった地域に、彼女たち目当ての若い男性たちがたむろし、その地域に住んでいる住民はもちろん、他の外国人たちもが被害を被っています。

☆イスラームの国では、外国人女性が半袖や、胸元の開いた服装をしているだけで、想像以上の悪影響があることを忘れないでください。ちょっかいを出す男性のほうが悪いと思うかもしれませんが、今まで守られていた秩序、風紀を乱してしまったのは、そういう女性達の影響なのです。


男女関係にしても、イスラームの国でも一部開放的になってきていますが、まだまだ女性が男性と結婚前に付き合うことは、まれな国がほとんどです。

女性は何より自分のため、そして将来の結婚相手のために自分を大切にします。信仰熱心な人に至っては、見知らぬ男女は話をしませんし、必要に迫られて話をするときには、お互いの目を見ず、視線を伏せて話をします。

ですから、日本では、男女が友人として肩を並べて話しながら歩くのが普通でも、イスラームの国では、人目を引く光景となり、“はしたない”、“ふたりは、関係がある”と思われてもおかしくありません。

女性の一人旅で、変な男性を避けるため、男性旅行者に付き添ってもらうのはよくあることですが、友達というよりは夫婦、婚約者、あるいは兄妹を装ったほうが、変な誤解を避けることができるかも知れません。現地の男性に"軽い女性だ"と思われない態度をとることが重要です。

自分が被害に遭うだけだからいいじゃない!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、一人の日本人の行動が現地の人々に“日本人はこうだ”という先入観を植え付け、後々の日本人旅行者に迷惑をかけることになりかねません。
自分勝手な行動をとることは、地球規模で行動するバックパッカーとして失格ではないでしょうか。

他人の文化に土足で入り込むのではなく、他人の文化の良さを自ら体験してみようという気持ちで旅をされれば、現地の方々もそんなあなたの心構えに敬意を払い、手厚くもてなしてくれるはずです。

というわけで、次回から具体的なアドバイスを記します。神経質になる必要は全くありませんが、他人の国にお邪魔して、その歴史・文化的遺産を見せていただいているという謙虚さを忘れず、現地の人々に迷惑をかけないよう、変な誤解が生じないよう行動しましょう。それが自分のためにもなるのです。


女性の服装に関する注意

もしあなたが、一人旅の女性、もしくは少人数の女性だけのグループでの旅をしているのなら、服装ひとつで、シリアの旅の印象が180度変わると言っても過言ではないでしょう。なぜなら、日本では普通のことである女性が肌を出しているということが、イスラームの国ではとてもはしたないことと思われているため、日本にいるときと同じような服装をイスラーム国でしていると、人々の目には、非常識な女性と映ってしまうからです。

イスラームでは、女性の手と顔以外は、家族や夫以外の男性に見せないことになっています。なぜなら、女性はとても大切な存在なので、必要以上に人の目にさらされて、傷つけられるのを防ぐためです。

例えば、海岸に転がっている小石と海の奥底深くに眠っている真珠を比べてみましょう。真珠はとても美しく貴重なものなので、固い貝殻に外側を覆われた上に、深い海の底に眠っています。それに比べて、海岸の小石は、誰にでも踏まれてしまい、角が割れたり傷ついたりします。そこを通る人誰も、その存在に敬意を払ったりしません。

イスラームにおいて、女性は真珠のような大切な存在ですから、きちんと自分の身を衣服やヒジャーブ(頭に被る髪を覆うスカーフ)で、保護します。きれいな腕や足首などを、家族以外の男性に見せて、むやみに男性の気を引くようなことをして、自分を傷つけない様にする為です。ですから、半袖のTシャツを着ていたり、足やおしりのラインが分かるようなジーンズをはいていたりすると、男性に敬意を払ってもらうような女性としては見られにくくなってしまいます。

もし、日本で外国人の女性が水着姿で街中を歩いていたらどうでしょうか。人々の目はその女性に釘付けになるでしょうし、その女性が、水着姿で歩いていて、変な男性に声をかけられたり、痴漢にあったといって、日本はとんでもない国だと怒っていたら、どう思いますか?「水着姿で街中を歩いていれば、嫌な目にあうに決まっているのに。非常識だなぁ。」とあなたは思うでしょう。

それと同じように、イスラーム国で、日本人女性が、ちびTシャツとぴったりしたジーンズ姿で街中を歩くことは、人々の目を釘付けにし、イスラーム国の人々に日本人女性が非常識だという印象を与えてしまいがちです。日本ではそれが普通の服装でも、イスラームの国では、その服装が日本で水着姿で歩いている外国人女性と同じくらい、挑発的で非常識な服装になってしまうからです。

その外国人女性も、あなたに言うかもしれません。「でもこの服は、私の国では皆着ているのよ!」って。彼女の理屈は通りますか?彼女が、変な男性に声をかけられることなく、日本できちんとした女性として見られるためには、彼女にブラウスとスカートを着る事を勧めますよね?それと同じように、イスラーム国に滞在している私達は、あなたに、長袖と、足首の隠れる長さのスカート、もしくはゆったりとしたパンツをはくことをお勧めします。

イスラーム国においても都市部では、クリスチャンや西欧化したムスリムが数多くいるため、夏には、露出度の高い服装をした女性を実際、街で見かけます。しかし、同じ感覚でいても、彼女たちはその街に、家族も親戚も大勢住んでいるため、地元の男性は彼女たちに何かした場合、彼女の父親や兄弟達からどんな目にあうかわかりませんし、親戚の数が多いため、その女性が実は親戚の友達だったというようなことにもなりかねません。

そのため、そういう服装をしていても、彼女たちは痴漢行為の対象になりにくく、反対に、その街に家族や知り合いのいない旅行者である上、外国人である日本人女性は目に付きやすく、痴漢行為の対象になりやすいのです。

私の友達がシリアに遊びに来た折、私は彼女に体の線の隠れる服を着て、髪の毛の隠れる帽子かスカーフを身につけるようアドバイスしています。これだけで、人々が、彼女をきちんとした女性として見て扱ってくれるという保障があるからです。
きちんとした服装をしていれば、土産物屋のおじさんのお釣りの渡し方まで違ってきます。女性の手に触れないよう、細心の注意を払ってお釣りを渡してくれます。

イスラームで女性がどんなに大切にされているかを、身をもって体験したければ、ぜひ滞在中だけでも、ヒジャーブをしてみてはいかがでしょうか。人々のあなたに対する態度が、まったく変わるのに驚かされることでしょう。

POINT:   

(1) なるべく女性一人で行動せず、仲間を作って一緒に外出する。
(2) 女性一人で行動することになってしまったら、男性と二人きりになるような状況を絶対に避ける。博物館やお店、ホテル内でも十分注意してください。
 

(痴漢被害例)

パルミラなど観光地で他に観光客があまりいない状況で、ラクダに女性一人で乗り、人気の無いところに連れて行かれ、被害に遭う。パルミラのラクダ引きの男性の中には、常習的に犯罪行為を繰り返していると見られる男性がいるので、十分注意してください。
夜タクシーの中で、女性一人だったため、後部座席にいたにもかかわらず、被害に遭う。
女性一人のホテルの部屋で、シャワーの具合を見に来たホテル従業員に被害に遭う。
老夫婦の経営するアットホームなホテルで、オーナーの老人とサロンで話していたら、奥さんがいなくなった途端に、卑猥な話をするなどセクハラ被害にあう。(ラタキアのホテルジャマール)
(3) 女性の一人旅だということを男性に絶対に言わない。
(4) バスや電車の中では、女性の隣に座る。きちんとした服装をしていれば、男性が席を譲って女性の隣に座るよう配慮してくれることも多いです。
(5) ドミトリーのホテルで、男性と同室にならない。同室の男性が友達で、問題がなくても、周りの人(ホテルの従業員など)には、そういう女性だと思われて、痴漢行為に遭う確率が高くなるからです。
(6) 夜遅く(10時以降、観光地など場所によっては9時以降)は、一人で外出しない。
(7) ヒジャーブを身につけたら、ホテル内などでも、男性の前ではいつもしておく。着けたりはずしたりしていると、いいかげんな女性だと思われて、逆効果になってしまいます。
(8) 男性と握手しない。握手を求められても女性は断るのが普通です。きちんとした服装をしていると、相手も握手を求めません。
(9) 男性と目をあわせたり、笑顔を向けたりしない。日本では普通のことですが、女性が男性の目を見たり、笑いかけたりすることが、誤解を招くので、注意してください。

( 日本人旅行者Yさんの体験記 )

2003年6月に10日間ほどシリアのダマスカスに滞在しました。
以前他のイスラーム圏の国に行ったときは、なんでアラブ人のおじさんってしつこいんだろう。お金を受け取るときもなぜか手を触られるし、いい年したオヤジなのに声かけてくるし、と思っていましたが、今回はアバーヤ(ロングコートのようなもの。ジュラバ)を着て、ヒジャーブ(髪を隠すスカーフ)もかぶり、改めて周りを見てみると、なるほどと納得しました。

体の線がちょっとでも出ている服(ちびTシャツ等体にぴったりしている服)を着ている女性は、まさに「歩くオヤジ磁石」です。必ず必ずオヤジに見られています。彼らにしてみれば、体の線を他の人に見せてもOKということは、まぁある程度何かしても許されるだろうと思ってしまうのかもしれません。
今回「なんちゃってイスラーム教徒」になってみて、ちゃんと一人前の女性として、周りが接しているのがよーく分かりました。バスでは男性がやむを得ず隣に座ることになっても、向こうがなるべく近づかないよう座りますし、他の席が空くと、さっさと席を移動してくれました。

とはいえ、相変わらずスリなど旅には欠かせないトラブルには注意が必要ですが、自ら「オヤジ磁石」になって、引き受けなくても良いトラブルを回避できたと思います。別に私が「なんちゃってイスラーム教徒」だからといって、石を投げられるなんてことも、もちろん(!!)なかったですし、体の線を出さない服装は彼らにしてみればほんとうに当たりのことなんですね。中身が何人であろうが。

服装については個人のポリシーだとか自由だとかありますが、旅って現地の普通の人たちと関わって初めてその国が少し見えるってことがあると思います。痴漢オヤジと関わっても、その国のことは見えてきません。そして、イスラームの国で、「オヤジ磁石」だと主張しながら歩いていては、普通の人からは避けられてしまいます。
 
私は、本当にイスラーム教のイの字も知りませんが、私がイスラーム教徒でないと分かっても、急にオヤジになれなれしくされるということもなかったです。イスラーム国の人は、信仰熱心な人は驚くほどみんなに親切なので、こちらが普通にしていれば、良い旅になることは間違いないと思います。


いざという時の役立つアラビア語:

○こんにちは アッサラームアレイクム(イスラーム教徒向け)
マルハバ(他教徒向け)
   
○いつ? マター?
○はい/いいえ ナアム/ラー
○どこ? アイナ?
○ありがとう シュクラン
○どうして? リマーザー?
○さようなら マアッサラーマ
○なに? マーザー?
○大丈夫 マアレイシュ
○何時ですか? カミッサーア?
○嫌だ ラーウリード
○どうやって行くの? カイファ アズハブ?
○あっちへ行け! イムシー!/ルーフ!
○いくらですか? ビカム?

−嫌な事をされそうになったとき−

○イッタキッラー (アッラー〔唯一神〕を畏れなさい)
○ナジダ ! (助けて ! )
○ハル アンタ ムスリム? (あなたはそれでもムスリムですか?)


ボラれないために:
 
外国人は往々にして、よいカモとなり、ボラれがちです。イスラーム圏、特にアラブ圏では、ものを買う前に値段交渉をするのが当然なので、相手の言い値で買わないことが重要です。

1. 店で:

欲しいものは、いくつかの店で、あらかじめ値段を聞いて回る。
売り手がなかなか値を下げないときは、「他の店を見る」といって出ると、後ろから引止めて、値を下げてくれる。後ろから追ってこなくても、他の店を見たあと、また戻って買えばいい。
時間があるなら、何日間も同じ店に通い、しつこくねばる。
まとめて数多く買うと、値段が下がる。
あらかじめ、この品なら、このくらい出すという上限を決めておく。

イスラーム圏の店ではボル人もいれば、逆に信じられない安値、又はただで品物をくれる店の人もいます。そういう人々には感謝を忘れず、他のお客さんもその店に紹介してあげましょう。店の人も、親切にしてよかった!とお互い幸せな気分になるはずです。

2. タクシーで:
メーターが動いているか、付いている車か乗る前に確認をする。
アラビア語で、「ユージャド・アッダード?(メーターは付いていますか?)」と聞く。

メーターが無い場合は、乗らない。
乗ってからメーターを働かせていないことがわかったら、「アッダード(メーター)」と、運転手に注意を促す。
お釣りがないと言われて大目に払わされてしまう場合が多いので、タクシーに乗る前には必ず小銭を用意しておく。

大体の運賃を知っている場合、その額又は少し大目の額を降りる寸前に手渡し、そのままタクシーから遠ざかり、運転手の文句には耳を傾けない。
(目安として、シリアのダマスカス市内では、10分タクシーに乗って、30リラ以下です。)
夜間は料金が上がる国もある。それでも倍にはなりません。(シリアなど)


イスラーム文庫 at 日本大使館 in シリア:

シリアの旅行者で、イスラーム文化への造詣を深めたい方は、新・日本大使館(2004年末完成予定)に、イスラーム関係の日本語書籍が充実することになっています。インシャアッラー。日本では、どこで手に入れれば良いかわからない本なども揃っていますので、ご興味のある方は、立ち寄ってみて下さい。大使館には、周辺国の治安情報などもありますのでお役に立つかと思います。

筆者:アミーナ

 

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