クルアーン道
 

【信頼】
 

至高のアッラーはアルアハザーブ章72節で仰りました。
『本当にわれは、諸天と大地と山々に信託を申しつけた。だがそれらはそれを、担うことを辞退し、且つそれに就いて恐れた。人間はそれを担った。本当に(人間は)不義でありかつ無知である。』

信託を担い、その責任を果たすためにはその信託を背負えるだけの力が必要となります。その力とは理性と意志の自由です。

アッティルミズィーの伝承によると預言者は言いました。「至高のアッラーはアーダムに仰った。『アーダムよ、我は信託を諸天と大地に課したが、それらは信託を担うことは出来なかった。だからあなたはそれを背負いなさい。』するとアーダムは言った。『つまり何を背負えばよいのですか?』アッラーは仰った。『もしそれに耐えれば報奨を与えられ、耐えられなければ罰を受けるだろう。』そこでアーダムは信託を背負った。だが夜明け前の礼拝から午後の礼拝までの期間しかアーダムは天国にいることができなかった。というのもシャイターン(悪魔)がアーダムをそそのかし、天国から追放されたからである。」

この信託を課され、その重荷を背負ったのは人間だけでした。アッラーの創造物のうち人間以外はこの重荷を背負うことが出来ませんでした。人間とそれ以外の違いは、理性を与えられたことによって自由をもっているということです。そしてその理性を使って正しい選択をしていれば永遠の天国に入り、間違った選択をすれば地獄に入ることになります。ですから人間は自分が任された信託の重要性と責任の重さを理解し、それを背負うことによっておこる困難に立ち向かうため自分の欲望を押さえ、また自分を過信し、果たされた責任を放り出し自分とアッラーを裏切り滅亡への道を進まないようにするため、悪魔の囁きに耳をかさないようにしなければならないのです。

ここにおける信託とは、人間が「その人生の中で自分の歩む道を選ぶ」ことにおいて背負っている責任であり、その選んだ道によって得られる結果を背負うという責任でもあります。そこには二つの選択が残されています。一つはアッラーの命令に服従し、信託の重荷を背負うための行動を起こすことです。もう一つは自分の欲望に負け、アッラーの命令に背くことです。この二つの選択肢によって人間を二グループに分類することができます。
信託された責任を果たすことを怠り、アッラーから課された試練に負ける人々と、信託された責任を強い意志を持って背負い、アッラーから与えられる深い知識に到達し、正しい道へと導かれ、完全なる意志でもってアッラーに完全に服従する人々です。そしてこのようにアッラーに完全に服従する人々が信者たちなのです。

至高のアッラーはアルイスラー章70節で仰りました。
『われはアーダムの子孫を重んじて海陸にかれらを運び、また種々の良い(暮し向きのための)ものを支給し、またわれが創造した多くの優れたものの上に、彼らを優越させたのである。』

そして最も重要な信託とはアッラーただ唯一の御方のみを信仰することです。唯一神信仰は人間の信仰の一番大切な部分で、すべての宗教義務はこの信仰の上に成り立っています。そしてこの信託の下に知識に関する信託があります。知識を得ることと伝えることは人間にとってアッラーから課された信託であり、もしそれを怠ればアッラーから非難されることになります。私たちは全てのことを審判の日に問われます。

アッラーはアルイスラー章36節で仰りました。
『本当に聴覚・視覚・また心の働きの凡てが(審判の日において)尋問されるであろう。』

私たちの肉体もアッラーから与えられた信託の一つですからイスラームで合法とされる善い食べ物などによって栄養を与えなければなりません。

アッラーはアルアアラーフ章31節で次のように仰りました。
『…そして食べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない。本当にかれは浪費する者をお好みにならない。』

父親たち母親たちは彼らの家族に対して扶養し庇護する義務があり、また家族を構成するものたちにイスラームにのっとった教育を施さなければなりません。また私が行なう行為や仕事に関していえば、アッラーは私たちが行なうこと全てに関して尋問するわけですから、これらの行為を自分のできる範囲で最高の状態で仕上げなければなりません。

また他人から与えられた物に関しても、それをきちんと相手に返したかどうかアッラーに問われます。夫婦間においてもこの信託は存在し、お互いに相手に敬意を持って接し、人に知られたくないと思うことを暴露したりしてはいけません。

これらの「信託」に相反することは「裏切り」であり、イスラームの中で最も重大な裏切りとされていることは「アッラーとその使徒への裏切り」です。「信託」と「裏切り」とは全く相容れないものですから「裏切りの」資質を持っている限り「信託」の責任を完全に果たすことは出来ないでしょう。

信託の義務を果たすということとは、アッラーの教えを聞き、理解したものが身につけている性質です。ですからその者たちはアッラーから送られてきたメッセージの責任を背負い、シャイターンや悪を命じる心の囁きに耳を貸すことなくそれらを撃退することができるのです。

執筆:ヌーラ アッダハマシ

                

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