アラブの詩を楽しむ
 

【パレスティナの詩人】
 

今回の詩人は近代詩人、パレスティナ人のイブラーヒーム アブドゥルファッターフです。彼はベイルートのアメリカン大学を卒業し、その後、教育とラジオ放送に携わりました。彼の詩の特徴は描写の細かさ、思想の深さ、実際彼の祖国には自由が無かったにも拘らず、あたかも翼によって天高く上昇するかのような自由な想像力にあります。『イブラーヒーム詩集』という彼の名前がつけられた詩集があり、西暦1941年に彼は亡くなりました。

 今回は『楽観主義と希望』というテーマの中から彼の詩を選びました。

1− 涙を拭きなさい
号泣と悲嘆は役には立たないのだから
2− 立ちなさい
時代に不平を言うのは怠け者以外にないのだから
3− 強い意志でもって道を進み続け
どうやってこの道を進むのだろうか、と言うのはやめなさい
4− 希望をもって進む者は迷うことなく
その道しるべとなる叡智を日々探している
5− いや、高貴なものを目指す者は
失敗することはない
6− 可哀想な者よ
悲観と悲しみによってあなたの人生は失われてしまった
7− そして両手を縛られて座り
時代に翻弄されたと言う
8− もしあなたが困難に立ち向かわないのなら
一体誰がそれを行うのだろうか

詩の一行目で私たちはこの詩人が不平を言う、悲しみに暮れた、諦めている人間に語りかけているのを見つけます。そして忠告して言います。「泣くのを止めなさい、涙を拭きなさい。」そして「小声あるいは大声で泣く事はあなたにとって何の役にも立たない」と。

二行目では忠告して彼に命じます。「急いで立ち上がって、不幸を時代のせいにするのはやめなさい」と。つまり自分の仕事あるいは人生における自分の怠慢を時代と結びつけるのはやめなさいと「時代に不平を言うのは怠け者以外にないのだから」と言っています。この修辞学的表現方法は「限定法」と呼ばれ、否定詞と例外詞を用いて、「不平は怠慢な者からのみ起こりそれ以外のものからは起こらない」というように表されます。

三行目では更に忠告し、「どうやって?あるいは迷わされ立ち止まってどうすればいいのか」と言うのではなく、「強い意志をもって崇高なところへと続く数々の扉をたたき続けなさい」と言っています。

四行目に入ると、これを伝えるためにこの詩を詠んだ真実を、忠告を受ける者に対して提供します。それは希望をもつことで、「希望をもつ者は迷わない」あるいは「希望を持ち、人生の中で自分を導いてくれる道を常に探しつづけること」であり、自分に指示する道とは叡智であると言っています。そしてこれが正しいことであり、物事を正しく行うことになるのです。

それから五行目では意志が重要だということを「カッラー ワ ラー」という語を用いて強調しています。この二つの語は否定を表します。それから「いや、高貴なものを目指す者は失敗することはない」と言います。これはあたかも詩人が誰かに「高貴なものを目指す者が失敗することはありますか?」と問われたかのようです。ですからまた、人生における行動・研究・努力を強調し、私たちが見て取れるように、怠慢な諦めがちな者に対して、また怠慢と諦めに取り付かれたものに対し、嘲笑して「可哀想な者よ 悲観と悲しみによってあなたの人生は失われてしまった……そして両手を縛られて座り 時代に翻弄されたと言う」と言ったのです。

そして締めくくりに、非常に礼儀正しく、質問を通して、この叡智と、非難しながらではありますが忠告をするのです。そして主と祖国と自分に対する困難と責任を背負うことを奨励して彼に言うのです。「もしあなたが困難に立ち向かわないのなら いったい誰がそれに立ち向かうのだろうか」と。

執筆:ジャマール ザイトゥーン
アラブ イスラーム学院講師

                                          

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