巡礼物語
 

【留礼(ウクーフ)】



 巡礼月9日の正午から日暮れまでは、アラファの丘で半日の祈りを捧げます。 これをウクーフといいます。これこそは、巡礼中最大、最強の柱です。

 その様に言われる理由としては、ウクーフが柱であることについては全法学派 が最初から合意していること、また巡礼者全員が同じ時、同じ場所で一緒にする 唯一の儀礼だからです。

 これは信者が悔悟し、悔い改め、祈願・嘆願する儀礼です。しかし何をするか は、クルアーンを読誦したり祈りの言葉を上げたりあるいは何か読書したり、自 分で決めることになります。このような信者の様子を、アッラーは直接にご覧に なっているとされます。

 ウクーフは時間が限定されており、どんなに遅れても10日の明け方までには アラファの丘に立っていなければなりません。そうでなければ、巡礼全体は無効 となり、さらには家畜を犠牲にするなどの罰則も適用されます。

 以上のような個々人の祈りに入る前には、アラファの南方にあるナミラ・モス クでの説教があります。預言者ムハンマドは、アラファでは有名な「別離の説 教」をおこないました。そして2006年12月、筆者自身もこの日に、全体の 説教が終わった後にある、各国語の説教の部分で要請により説教をする事となり ました。日本人巡礼者としては、初めてになるかと思われますので、全文をここ に記載しておきます。

-アラファの日の説教(日本語テキスト)-
ヒジュラ暦1427年巡礼月9日(金)、西暦2006年12月29日(金)
アラファの丘にてアラビア語、日本語、英語で実施
 皆様に平安とアッラーの祝福を、そして我々の預言者ムハンマド(アッラーの 祝福と平安を)とその家族ならびに教友たち全員に、祝福と平安を祈念します。 本日のこの説教は、この祝福された日に行われる日本語として、初めての説教に なるでしょう。

 同胞の皆様、
 今日このアラファの日に行うウクーフ(留礼)の儀礼は、巡礼の諸儀礼の中で も最高峰のものであることをまず再確認しましょう。聖クルアーンに明確な根拠 があり、また巡礼者全員が同じ場所・同じ時間に行うという唯一のものであるか らです。

 預言者伝承にも、「巡礼はアラファだ」とあります。ですから、ウクーフは巡 礼の頂点であり、諸儀礼中それが欠けると巡礼が成立しないという幾つかの巡礼 の柱の中でも、最大かつ最強の柱であることを再確認しましょう。

 第二には、この日はアッラーが直覧される日(アルヤウム・アルマシュフー ド)だということを再確認しましょう。皆様の一瞬、一瞬の動きは凡て見て取ら れています。われわれはアッラーを称賛し、この大切な日にここに居られること (カイヌーナ)が出来たことをアッラーに感謝するものです。

 今年は特に、この日が金曜日になったという意味で、祝福は二重になりその恵 みは何倍にもなっているのです。

 第三に再確認したいことは、われわれの預言者ムハンマド(アッラーの祝福と 平安を)はこの日に有名な「別離の説教」(フトバト・ルワダーイ)をされたこ とです。

 これはイスラーム共同体の憲法にも相当するもので、重要な多くの原理・原則 を定めています。それらの凡てをここで述べるのは無理ですが、その要点は次の 通りです。

1. アッラーはあなた方のために、教えを完成された。
こう説教された時に、次の啓示が降りました。
「今日われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成し、またあなたがた に対するわれの恩恵を全うし、あなたがたのための教えとして、イスラームを選 んだのである。」
(食卓章5:3)
2. 人間は平等であり、その間には赤も黒も違いはない。
3. アッラーの下で最善の人は、信仰の篤い人である。

 第四に再確認したいことは、この説教の後にも皆様と一緒に多くの祈りの言葉 を述べることにしますが、その中で特にこのアラファの日に用いられるのは次の ものであると言うことです。

「最善の祈りはアラファの日の祈りである。そしてわたしも言ったしまた私より 以前の預言者たちも言った言葉で、最善のものは次のものだ。つまり、アッラー 以外に神はなく、アッラーは唯一で並ぶものはない。かれに大権があり称賛もか れのためである。生かすも死なせるも思いのままで、実にアッラーは万能であ る。」

 最後に、偉大なアッラーに与えられた多くの恵みに再び感謝し、特にこの日こ の時と言う祝福された場所に居られることに付き感謝したいと思います。そして 皆様に平安をお祈りします。

 以上の言葉を述べつつ、わたくし、皆様方、そして全ムスリムのあらゆる罪を お赦しくださるようにわたくしはアッラーに対してお願いするものですが、一方 で皆様方もアッラーにお赦しを乞われるようにして下さい。
 実にアッラーは、よくお赦しになり、また慈悲深いお方です。


筆者:アミーン 水谷
アラブ イスラーム学院研究者

(2007年9月4日更新)

                

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