預言者たち
 

【預言者ユースフ その2】
 

ユースフが17歳になると、彼の美しさは形容し難いほどになりました。ユースフは当時最も美しい男性で、また同時に正しい判断力を持ち、生活全般に関する知識と聞く者の心を傾けさせる会話術を身に付け、才能ある、また羞恥心を持ちとても人間性に優れた少年だったのです。

『かれが成年に達した頃、われは識見と知識とをかれに授けた。このようにわれは正しい行いをする者に報いる。』(ユースフ章22節)

そのためユースフは災難に見舞われました。

『かれの起居する家の夫人が、かれの心を惑わそうとして、戸を閉めて言った。「さあ、あなたおいでなさい。」かれは(祈って)言った。「アッラーよ、わたしを御守り下さい。本当にかれ(あなたの夫)は、主人です。わたしを気持よく住ませてくれます。本当に不義の徒は、成功いたしません。」確かにかの女は、かれに求めたのである。主の明証を見なかったならば、かれもかの女を求めたであろう。このようにしてわれは、かれから罪悪と醜行を遠ざけた。本当にかれは、謙虚で純真な(選ばれた)わがしもベの一人である。』(ユースフ章23−24節)

『心を惑わそうとして言った』とはつまり彼女がユースフに共に居ることと優しさを求め、「私はあなたの物です。」と言ったということです。そこでユースフはアッラーに助けを求め、どうして自分に我が家と財産を安心して任せてくれた人を裏切ることができようか、と言ったのでした。しかし彼女の心は決まっており、ユースフに固執したのでした。

ユースフはこれ以上ことがややこしくなる前にドアへと向かおうとしました。しかしアルアズィーズの妻は欲望に支配され、ユースフを捕まえるために追いかけました。こうして彼女はユースフのシャツを後ろから掴みました。すると彼女の手の中で服が破れ、こうした中で彼女の夫のアルアズィーズがドアを開けたのです!!すると彼女は急いで少年ユースフを非難して言いました。

『かの女は言った。「あなたの家族(妻)に悪事を行おうとした者には、投獄か痛ましい懲罰の外にどんな応報がありましょう。」』(ユースフ章25節)

この妻は、アルアズィーズが怒りのあまりユースフを殺してしまわないよう、急いでユースフへ与えられるべき安全な罰に関して提案したのでした。そしてアルアズィーズは投獄がユースフに相応しい罰だと考えました。ユースフは濡れ衣を着せられ、自分の無罪を証明すべく真実を述べました。

『かれは言った。「奥様こそ、わたしの意に反して、わたしを御求めになりました。」』(ユースフ章26節)

すると彼女の家の者が証言を証言しました。この証人とはアッラーがそのお力で話させた乳飲み子だったとも言われていますし、彼女のいとこだったとも言われており、真実はアッラーのみがご存知です。

『その時かの女の家族の中の一人が証言した。「もしかれの服が前から裂けていれば、奥様が真実で、かれは嘘つきです。だがかれの服が、もし後ろから裂けていれば、奥さまが嘘を御付きになったので、かれは真実であります。」主人は、ユースフの服が後ろから裂かれているのを見て、言った。「これはあなたがた(婦人)の悪企みだ。本当にあなたがたの悪企みは、激しいものである。」』(ユースフ章26−28節)

証人はシャツを見るよう求め、もし服が前から破けていればそれは彼女が自分のみを彼から守ろうとした証拠であり、彼は彼女を襲おうとし、彼女が真実を述べ、彼が嘘をついたことになり、もし後ろから破れていれば、それは彼女が彼に仕掛け、ドアまで彼を追いかけた証拠なのだと言いました。こうして夫はユースフの服が後ろから破れていたのを見た時に妻の裏切りを確信しました。しかし夫は妻の行為に対して血を煮えたぎらせるでもなく、怒鳴るでもなく、また怒りもしませんでした。そして妻が行ったことを女性たち特有の策謀だとし、その後でユースフに向かって言いました。

『「ユースフよ、これを気にしないでくれ。」』(ユースフ章29節)

このことを気にせず、私を責めず、このことに関して話をしないようにと言いました。こうして体面を取り繕い、それから不貞を働こうとし、ユースフのシャツを破いた妻に簡潔に諭すのでした。

『「それから(妻よ)、あなたの罪の赦しを願いなさい。本当にあなたは罪深い者である。」』(ユースフ章29節)

この話はすぐに広まり、この城から上流階級の者達の城にまで到達しました。そしてこの階層の女性たちはお喋り好きな者たちでした。

『町の婦人たちは(評判して)言った。「貴人の奥様が、青年の意に反し、誘惑したそうよ。きっと恋に狂ったのでしょう。わたしたちは、明らかに奥様の誤りだと思います。」』(ユースフ章30節)

こうしてニュースは口から口へ家から家へと伝わり、とうとうアルアズィーズの妻のところまで届きました。

上流階級の女性たちの噂話を聞いた時、アルアズィーズの妻は自分の城で盛大な食事会を開きました。招待客たちが寄りかかるためのひじ枕を用意し、様々な食べ物や飲み物を選び食べ物を切り分けるためのよく切れるナイフを用意したのでした。彼女たちが食事に夢中になっている時、突如アルアズィーズの妻はユースフを呼びました。

『それから彼女は(ユースフに)、「かの女たちの前に出て行きなさい。」と言った。かの女たちがかれ(ユースフ)を見ると驚歎し、(興奮して)その手を傷つけて言った。「アッラーの(造化の)完全無欠なことよ、これは人間ではない。これは貴い天使でなくて何でしょう。」』(ユースフ章31節)

この描写から彼女たちがどれだけユースフに心を奪われたかが伺えるでしょう。いったいユースフほど美しい者がいるでしょうか!アルアズィーズの妻は招待客たちの驚きを見て、彼女たちに勝ったと思いました。そして恥じらうことなく一度目は彼が自分を守ったけれど、二度目はそうは行かないだろう、自分に服従しなければ彼を卑下するために牢獄にいれてやると女性たちに言い放つのでした。

『かの女は婦人たちの悪意のある(陰ロ)を聞くと、使いを遣わし、かの女たちのために宴席を設け、一人一人にナイフを渡し、それから(ユースフに)、「かの女たちの前に出て行きなさい。」と言った。かの女たちがかれ(ユースフ)を見ると驚歎し、(興奮して)その手を傷つけて言った。「アッラーの(造化の)完全無欠なことよ、これは人間ではない。これは貴い天使でなくて何でしょう。」かの女は言った。「この人よ、あなたがたがわたしを謗るのは。確かにわたしが引っ張ってかれに求めたの。でもかれは貞節を守ったのよ。でも(今度)もしかれがあたしの命令を守らないなら、きっと投獄されて、汚名を被るでしょう。」』(ユースフ章31−32節)

こうして女性たちの全員がユースフのもとへ急ぎ、彼を自分の手に入れようとしました。この証拠となるものが2つあります。1つはユースフの言葉です。

『「主よ、わたしはかの女たちが誘惑するものよりも、牢獄が向いています。」』(ユースフ章33節)

ユースフは「彼女たちは」と言い、「彼女は」とは言っていません。もう1つの証拠は後に行われた王の彼らへの質問です。

『「あなたがたがユースフを誘惑した時、結局どうであったのか。」』(ユースフ章51節)

これらの女性たちの言葉・動作・目配せの前で、ユースフはいつか彼女たちの誘惑に負けてしまうのを恐れ、彼の主に助けを求めました。そしてユースフは人間の本能を知る一人の人間としての祈りを自分の力を過信することなくアッラーに更なる助けと自分に向けられる策謀と災難からの救済を祈りました。

『かれ(ユースフ)は言った。「主よ、わたしはかの女たちが誘惑するものよりも、牢獄が向いています。あなたがもしかの女たちの悪企みを、わたしから取り除いて下さらなければ、わたしは(若年の弱さで)かの女たちに傾いて、無道な者になるでしょう。」』(ユースフ章33節)

するとアッラーは彼女たちの企みを彼から遠ざけたのでした。

人々の間にいつのまにかユースフ自身が自分の女主人を求め、その罰は投獄が相応しいというニュースが広まりました。

『そこでかの女たちは(かれが潔白である)証拠を見ていながら、しばらくかれを投獄しよう(それがかの女たちのために良い)と思った。』(ユースフ章35節)

ユースフは落ち着いた心と静かな精神状態で牢獄に入りました。こうして彼はアルアズィーズの妻と彼女の友達たちの災難から逃れたのでした。彼にとって牢獄は静かなところで主について考えを巡らせるのに絶好の場所でした。そしてユースフは牢獄に入れられたという布教のためのチャンスを逃しませんでした。牢獄にいた人々の心をユースフに傾けさせたのは彼の人のよさと誠実さ、崇拝・唱念・振る舞いを誠意をもって行うことでした。

ある日、二人の囚人が夢判断を尋ねにユースフを訪れました。ユースフは快く彼らを迎え、彼らは夢の内容を話しました。するとユースフは、まず彼ら二人を安心させ、夢判断を始めました。アッラーはユースフと先祖がアッラーだけを崇拝したことへの報奨としてユースフに夢判断の知識を授けたのでした。そのためユースフは彼ら二人の夢判断への信頼を得て、また自分の宗教に関しての信頼も得ることができたのです。こうしてユースフは彼ら二人が今ある迷いの道を明らかにし、唯一神信仰への布教を始めたのでした。

その後彼ら二人に夢の説明をしました。ユースフは二人のうち一人は十字架にかけられ、頭から鳥に食われるだろうと、そしてもう一人は助かり王の宮殿で働くだろうと明らかにしました。ユースフの誤ちは後に王のもとで働くことになる者に自分のことを主人に話すようにと言ったことでした。この行為はあたかもアッラー以外にすがる行為であるかのようだったからです。そのためアッラーは仰せられました。

『それでかれは、なお数年間獄中に留まった。』(ユースフ章42節)

ユースフは7年間囚人であり続けたのでした。  (続く)


執筆:ヌーラ アッダハマシ


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