預言者たち
 

【預言者ルート】
 

ルートはイブラーヒ−ムの兄弟の息子で、父親を彼が幼少の頃なくし、イブラーヒ−ムの家で成長しました。イブラーヒ−ムはルートを大変気に入っていました。また、ルートはイブラーヒ−ムに火の奇跡が起こった時にはただ一人彼を信じていました。そしてイブラーヒームとともにパレスティナに移住し、死海にあるサドゥームに定住しました。

ルートは民を唯一無二のアッラーの崇拝へと呼びかけ、悪事による収入を得ることや悪徳を彼らに禁じました。預言者ルートが彼らのもとに遣わされた民は幾つもの醜悪な犯罪を犯していました。彼らは追いはぎをし、人々を恐がらせ、人々に悪を禁じるどころか悪を勧め、こうして彼らは世界中で類をみないほどの悪事を重ねていきました。また彼らは女性ではなく男性に対して欲望を持っていました。

ルートは多大な努力を費やしました。そして彼らに対して論証を示し、数年が過ぎました。ルートは誰一人として彼を信じなかったにもかかわらず布教を続けました。ルートの家族だけが信仰しましたが、彼の家族に関しても全員が信仰したわけではありませんでした。ルートの妻は不信仰者でしたし、彼らは終いにはルートの啓典に対しても嘲笑するほどになりました。彼らは次のように言いました。

「あなたが真実を言うのなら、わたしたちにアッラーの懲罰をもたらしてみなさい。」(蜘蛛章29節)

そこでルートはあきらめ、アッラーに彼の勝利と堕落した者たちを滅ぼすことを祈ったのでした。

天使たちはイブラーヒームに息子に関する吉報を伝えた後、ルートの村を目指して彼のもとを出ました。彼らがサドゥームの柵のところまで辿り着くとルートの娘が川の水を水がめに満たすために立っていました。彼女は顔を上げ、彼らを見ました。そこで天使たちの一人が「女よ、泊まる所はあるかね?」と聞くと、彼女は「そこでお待ちください。父に告げ、私が戻るまで中に入らないで下さい。」と言いました。ルートの娘は父の下へ急ぎ、見たことについて彼に告げると、ルートは見かけぬ者たちのところへ急ぎ走りました。そして彼らを見るか見ないかのうちに彼らに不吉なものを感じ、嫌な気分を感じるのでした。そしてルートは言いました。「今日は危急存亡の日だ。」ルートは彼らに彼らが何処から来たのか、何故ここに来たのかを尋ねましたが、彼らは質問に対して黙っていたのです。彼らはルートに自分たちを持て成してくれるかと尋ね、ルートは彼らに帰ってほしかったのですが、彼らに対して恥ずかしいと思い、また自分のことをケチだと思われるのを怖れ、彼らに対して優しく警告して言いました。「私はこの土地の民以上にひどい人たちを地上では知りません。」

町に夜が帳を下ろすと、ルートは町の誰一人として客たちを見なかった状態で客たちを自分の家へと連れて行きました。しかしながら彼の妻だけはルートに気付かれないうちに外へ出て客たちを見たのです。そして彼女は民の所へ急ぎ、見たことを彼らに伝えました。そのニュースは火の粉が燃え移るようにあっという間に広がりました。そして村の人々はルートのところへ急いでやってきました。ルートは自分自身に「いったい誰が彼らに事を伝えたのか。」と問うのでした。彼らは家の門のところに立ちました。ルートは希望を持って彼らに説教し始めました。クルアーンには次のように書かれています。

人びと(ルートの民)は急いでかれの許に来た。これまでかれらは、汚らわしい行い(男色行為)をしていたので、かれは言った。「わたしの人びとよ、ここにわたしの娘たちがいる。あなたがたにとっては(娘たちと結婚することが)最も清浄である。アッラーを畏れなさい。わたしの賓客に関して、わたしに恥をかかせないでくれ。あなたがたの中に、正しい心の者が一人もいないのか。」(フード章78節)

しかしルート(アッラーよ彼に平安を与えたまえ)の言葉は彼の民にはまったく効果が無かったのでした。

ルートは民の間で自分がよそ者のようであり、弱い存在で、自分を守る者がいない遠方からの移民者で自分を擁護する息子たちを持たない者のように感じました。ルートは怒って家に入り、家の扉を閉めました。すると彼が持て成したよそ者たちは静かに沈黙して座っているではありませんか。ルートは彼らの静けさに驚きました。村の人々の扉を叩く音はますます激しくなりました。そしてそのあきらめの瞬間ルートは叫びました。

『かれは(祈って)言った。「わたしに、あなたがたを押える力がありますよう。もしくは力強い支持にあずかることが出来ますように。」』(フード章80節)

そう、ルートは客に対して村の人々を妨げる力が自分に授かることを望んだのです。そして力強い支持にあずかることを望んだのです。ルートはあまりの悲しみのため預言者たちがそれを願えば必ず叶えられること、つまりアッラーに縋ることを忘れたのです。預言者ムハンマドはアルブハーリーの伝える伝承によるとこのクルアーンの一節を読むと言いました。「ルートにアッラーの慈悲があらんことを。彼は力強い支持に預かることに救いを求めた。」

ルートの苦悩が頂点に達し、預言者がその言葉を口にした時、彼の客たちは動き、突然立ち上がりました。彼らは彼が力強い支持にあずかることを理解させ、ルートに心配することも恐れることもない、私たちは天使たちで、これらの人々はあなたには到達しないと説明しました。それから天使ジブリールが翼で彼らを撃つと人々は視力を失いました。天使たちはルートを振り返り、夜の間に彼の家族を連れ、ここからでるよう命じました。というのも彼らが山々をも揺るがすような恐ろしい音を聞くだろう、そして民に降りかかることが降りかからないように、誰一人として彼らを振り向いてはならないと命じたのです。

この罰とはいったいどのようなものだったのでしょうか?この罰とはそれを見ただけで災難がそのものに降りかかる罰だったのです。そして彼らはルートに彼の妻は不信仰者で町のその他の人々と同様であること、彼女は後ろを振り返り、人々を襲ったことが彼女に降りかかることを教えました。するとルートは天使たちに尋ねました。「アッラーは今彼らに罰を下されるのでしょうか?」天使たちはルートに彼らの罰の約束は朝であることを伝えました。

ルートは彼の娘たちと妻を連れて出ました。そして夜の道を進み始めました。朝が近付きましたがすでにルートは家族を連れて遠ざかっていました。それから至高のアッラーの命令がくだったのです。学者たちによると天使ジブリールは彼の翼の端で彼らの7つの町を根こそぎにし、それらをすべて天へ上げ、そのため天使たちは町の人々の雄鶏の鳴き声や犬の吠える声を聞いたほどでした。そして7つの町はひっくり返り、地上に落ちました。落ちて行く途中、天は彼らに地獄の燃え盛る石つぶてを降らせ続けルートの民は完全に滅亡し、それらの町も完全に消されてしまったのです。ルートは恐ろしい音を聞き、また家族に後ろを振り返らないよう警告するのでした。しかし彼の妻はその音を聞いた時に後ろを振り返り、彼女の肉体は滅び粉々になり、アッラーの約束は実現されたのです。

学者たちは現在わたしたちが「死海」として言っているパレスチナにある湖をルートの民の町の滅んだ跡だと言っています。

ルートは預言者イブラーヒームのもとを訪れ、自分の民に起こった出来事をイブラーヒームに話しました。そしてイブラーヒームがすでにそのことを知っていたということは彼を驚かせました。

ルートはイブラーヒームがそうしたように、アッラー信仰を呼びかけてまわりました。そして二人は地上でイスラームを広めたのでした。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


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