預言者たち
 

【預言者イスマーイール】
 

イスマーイールは預言者イブラーヒームの長男です。彼は初めて乗馬を好んだ騎士でした。忍耐強く寛大で、一番最初に明確なアラビア語を話した者とも言われています。また約束を守り、家族に礼拝と喜捨を命じ、アッラーの崇拝と唯一性においてそれらを命じました。アッラーはクルアーンの中でイスマーイールの人生の三つの場面について述べています。すべての場面がイブラーヒームとイスマーイールそれぞれに対する試練で、その最初のものは、至高のアッラーがイブラーヒームにイスマーイールとハージャルを水も食べ物もない所に置き去りにするよう命じた時です。そしてイブラーヒームはただただアッラーの命令に答えるだけでした。これはイスラエルの民に伝わる話とは違っています。そこにはイブラーヒームが息子と彼の妻(ハージャル)をマッカに連れて行ったのは、最初の妻(サーラ)の激しい嫉妬によるものだったと書かれています。しかしイブラーヒームの伝記をよく学んだ者は、彼がアッラーの命令意外には聞かなかったことを発見するでしょう。これに関してはイブラーヒームのところで詳しく説明しましたので忘れた方、または知らない方はそちらへ戻ってください。

2番目の場面:

イスマーイールが成長すると、イブラーヒームの心はますます彼に傾きました。そしてその愛情ゆえに大きな試練が彼を襲いました。イブラーヒームは、夢で彼が一人息子のイスマーイールを屠るのを見ました。イブラーヒームは預言者たちの夢は啓示だと知っていました。アッラーがどのように彼のしもべを試すのか見てみてください。イブラーヒームの心は、地上でもっとも慈悲深かったのです。また彼の心はアッラーへの愛と彼が創造したものへの愛のために広がったのです。イブラーヒームはイスマーイールのことを思い、その後息子のもとへ行きました。

『かれは言った。「息子よ、わたしはあなたを犠牲に捧げる夢を見ました。さあ、あなたはどう考えるのですか。」』(整列者章102節)

彼が息子にどのように優しく事を伝えたのかご覧下さい。そしてアッラーからの命令ですからそれに答えるのは当然でありながら、自分の息子自らアッラーへ服従するように息子の言葉を待ち、イスマーイールは答えました。

『かれは(答えて)言った。「父よ、あなたが命じられたようにして下さい。もしアッラーが御望みならば、わたしが耐え忍ぶことが御分かりでしょう。」』(整列者章102節)

息子の返事をよく考えて下さい…自分が屠られるというのにアッラーの命令に従い、父親を「わたしが耐え忍ぶことが御分かりでしょう」と安心させるのです。こうして2人がアッラーの命令に服従した時、そしてナイフがアッラーの命令により振り下ろされようとしていた時、アッラーはイブラーヒームを呼び、その試練は終わりを告げたのです。そしてアッラーは、イスマーイールのかわりに偉大な犠牲で良しとしたのです。こうしてこの火がイード(犠牲祭)となったのです。この瞬間、その日がムスリムたちにとってのイードとなったのです。イブラーヒームとイスマーイールによる本当の意味でのアッラーへの服従という意味を思い出させるイードとなったのです。イスマーイールは青年になるまでアラビア半島で育ち、乗馬をたしなみました。またザムザムの泉はこの地域の住民たちや発展を助けました。幾つかの隊商隊がそこにとどまり、また幾つかの部族たちがそこに住むようになりました。イスマーイールは成長し、結婚しました。イブラーヒームは彼を訪ねましたが、イスマーイールに会う事はできず、彼の妻に会いました。イブラーヒームは彼女に彼らの生活ぶりを尋ねました。すると彼女は生活の厳しさを訴えました。

するとイブラーヒームは彼女に、もしあなたの夫が戻ったらドアの敷居を取り替えるように命じなさいと言いました。イスマーイールが戻ると、彼女は彼女のところに来た者の事を伝え、彼が言った事を伝え、その者の風貌を伝えました。するとイスマーイールは「それは父だ。彼は私にあなたとの別離を命じている。家族のもとへ行きなさい。」と言いました。そしてイスマーイールは2番目の妻と結婚しました。イブラーヒームがイスマーイールを再び訪れましたが、またしてもイスマーイールに会う事は出来ませんでした。そしてイスマーイールの新しい妻を見つけ、彼女に生活ぶりを尋ねると、彼女は彼らが恵まれていると言いました。そこでイブラーヒームは息子の妻に安堵しました。そして彼女に「もしあなたの夫が戻ったらドアの敷居をそのままにしておきなさいと命じなさい。」と言いました。

3番目の場面:

今、私たちは三つめの試練の前にいます。この試練はイブラーヒームとイスマーイールだけに降りかかった試練ではなく、審判の日まで彼らに続く多くの人たちに降りかかるものです。それは至高のアッラーがこの2人の預言者たちに任せた重大事、つまり、地上に「至高のアッラーの家(モスク)」を建設するという重要なことでした。イスマーイールは成長し、たくましく育ちました。そこへイブラーヒームがやって来て、息子に言いました。「イスマーイールよ、アッラーが私にあることを命じた。」イスマーイールは言いました。「あなたの主が命じたことをしてください。」イブラーヒームは言いました。「私を助けてくれるのか?」イスマーイールが「あなたを助けます。」と言うと、イブラーヒームは言いました。「アッラーは私に、ここに家(カアバ神殿)をたてることを命じた。」そうして彼の手でそこにあった低い礎を指差しました。

『それからイブラーヒームとイスマーイールが、その家の礎を定めた時のこと。(その時二人は言った。)「主よ、わたしたちから(この奉仕を)受け入れて下さい。本当にあなたは全聴にして全知であられる。 主よ、わたしたち両人を、あなたに服従、帰依する者〔ムスリム〕にして下さい。またわたしたちの子孫をも、あなたに服従、帰依する民〔ウンマ〕にして下さい。わたしたちに祭儀を示し、哀れみを与えて下さい。あなたは度々許される方、慈悲深い方であられる。主よ、かれらの間にあなたの印を読誦させ啓典と英知を教え、かれらを清める使徒をかれらの中から遣わして下さい。本当にあなたは偉大にして英明な方であられる。」』(雌牛章127−129節)

カアバ建立は幾世代にも渡る男たちの力が必要でしたが、預言者は2人だけで建設を終えました。もともとその場所の周りには近い場所、遠い場所に石がありました。彼らはそれらを運び、形を整え、カアバを建て、それを高くしたのでした。最後にイブラーヒームはそれがタワーフを始める目印になる、ほかとは区別される石が欲しいものだと思いました。そこで彼はイスマーイールに目印になるような他と区別できる石を持ってくるように命じました。イスマーイールは父親の命令に従い探しに行きました。イスマーイールが戻ると、イブラーヒームがすでに黒石を置いたところでした。イスマーイールが「誰がそれをあなたに運んできたのですか?」と問い掛けると、イブラーヒームは答えました。「ジブリール(彼に平安あれ)がそれをもって来たのだ。」

こうしてカアバの建設は終了し、唯一神信仰者たちとムスリムたちがその周りを回りはじめました。そしてイブラーヒームは上に書かれているのと同様のドゥアー(祈願)―人々の心がカアバへと傾くよう−をするために立ち上がりました。このドゥアーによってムスリムたちの心に、聖なるアッラーの家―カアバ−訪問に対する深い愛情が生まれました。そしてハラムモスクを訪れ、自分の祖国に帰る者たち全員が、そこを訪れたいと更に切望し、そこから離れれば離れるほどカアバへの愛情は深まるのです。そしてハッジの季節が毎年やって来るたびに心はカアバを見ることとザムザムの水を飲むことを切望するのです。

歴史上、カアバは幾度か崩壊しました。そしてそのたびに立て直されたのです。つまりカアバはイブラーヒ−ムの時代から今日まで残っているのです。そしてアッラーの使徒(ムハンマド)がイブラーヒ−ムのドゥアーの実現のために啓示を受けた時、彼はイブラーヒ−ムが掘ったように礎が掘られていないのを見つけました。それは大変な労力を必要とするからです。そして預言者ムハンマドはもしカアバを壊し、再築することによって人々が惑わされることを怖れなければそうしたかった、と言いました。彼はイブラーヒ−ムとイスマーイールが建てたのと同じようにカアバを立て直したかったのでした。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


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