預言者たち
 

【預言者イブラーヒーム その4】
 

イブラーヒーム(アッラーよ彼に平安を与えたまえ)はハージャルとイスマーイール(アッラーよ彼に平安を与えたまえ)をワーディーに残して旅立ちました。水と食料は底をつき、イスマーイールはのどの渇きから泣き出しました。母親は彼を置いて水を探しに行きました。ハージャルは急ぎ足でサファーという名の山に登り、井戸や人間や隊商隊を探しましたがそこには何もありませんでした。彼女は急いで山を降り、ワーディーを通過し、今度はマルワと呼ばれる山に急行しました。そしてその山に登り、前と同じように誰かいないか見ましたが誰も見つかりませんでした。母が子供のところへ戻ると、子供は泣き、渇きはさらなるものとなっていました。そこでハージャルは再びサファーに向かい、またマルワに向かい、これを7回繰り返しました。このため今でもハッジを行う者たちはサファーとマルワの間を、ムスリムたちの母とみなされるハージャルと彼らの預言者イスマーイールの思い出を甦らせるために7回行き来するのです。

ハージャルは7回目の後、泣き過ぎて喉の渇きで声を嗄らした息子のそばに座りました。すると彼女はイスマーイールのもとから音がするのを聞き、「黙りなさい、黙りなさい。」と言いました。ハージャルが目を向けると、イスマーイールの両足もとから水が湧き出ているではありませんか!!これは、天使ジブリールが両翼で大地を叩いたところから豊かな泉が湧き出てきたのでした。彼女は湧き水に喜び、その周りを囲い、「ザム、ザム(集まりなさい、集まりなさい)」と言いました。ここから「ザムザム」という名前になったのです。アッラーの使徒(彼に祝福と平安あれ)は言いました。「アッラーがイスマーイールの母親に慈悲を垂れますよう。もし彼女が急いで囲まなければ、ザムザムはこの世を水浸しにしただろう。」

こうして鳥たちは空中を舞い始めました。その時シャーム地方の方角にイエメンからの部族がやって来て、鳥たちが空を舞っているのを見つけ、そこに水があると知りました。彼らはその方角へ向かい、ハージャルと彼女の息子を見つけました。部族のものたちは水を飲む事に関してハージャルに許可を求めました。ハージャルはそれに対する賃金を受け取る事を条件とし、彼らはそれに同意しました。この部族はジュルフム族と呼ばれ、イスマーイールは彼らのもとで育ちました。こうしてイスマーイールは彼らの一員となり、この部族の女性と結婚しました。こうしてアラブ人たちはイスマーイールの子孫となったのです。イブラーヒームはハージャルとイスマーイールを1年に1、2回訪ねていました。ある日イブラーヒームは1人で座っていると、3人の天使たちジブリール・イスラーフィール・ミーカーイールが舞い降りました。彼らはとても美しい人間の姿をしており、彼らの使命はイブラーヒームのそばを通り過ぎ、彼に吉報を伝える事でした。それからルートの民を訪れ、彼らの罪に対して罰を与える事でした。

イブラーヒームは彼らをただの見かけない客人だと思い、彼らを快く迎えて家に招き入れました。そして彼らを座らせ、彼らが安らいだのを見て自分も安らいだのでした。それから彼らに許可をとり、家族のもとに行きました。彼が家に入ると年老いて白髪混じりになったサーラは立ち上がりました。そこでイブラーヒームは彼の妻に言いました。「3人の見かけない客人が私たちのもとを訪れたのだ。」そしてイブラーヒームは太った牛を選び、それを屠るよう命じました。彼らはアッラーの御名を唱え牛を屠りました。そして熱した石の上で牛を焼き始めました。食卓は準備され、イブラーヒームは客人を食事へと招き、アッラーの御名において食べ始めるよう手で合図しました。そして自ら、客人に勧めるために食べ始めました。イブラーヒームは食べ始め、彼らが食べているのを確かめるために客のほうを盗み見しました。そして彼らの誰1人として食事に手をつけず、それどころか近付かない事に気付きました。イブラーヒームは言いました。「食べないのですか?」そして食事へと戻り再び彼らのほうを見ても食べていませんでした。イブラーヒームは食事へと伸ばされない彼らの手を見ました。その時彼らに対する恐怖心がイブラーヒームの心に芽生えました。というのもイブラーヒームが生きていた砂漠の習慣で、客たちが食事を食べないという事は、彼らが家の主人に対してよからぬ事を企んでいる事を意味していたからです。するとイブラーヒームはこの客人たちに関して不思議なところが一つ以上ある事に気付きました。彼らはイブラーヒームのもとに突然現れ、また彼らがイブラーヒームの頭の所にくるまで全くこの客人たちに気付かなかったという事、そして彼らは乗り物用の家畜を連れておらず荷物も持っておらず、またイブラーヒームは全く彼らの顔を見た事がなかったという事でした。そして彼らは旅人であるにもかかわらず、彼らには道中の埃の痕がまったく見当たらないのです!!加えて彼らは食事に招待され、座ったのにもかかわらず食事をとろうとはしないのです。イブラーヒームの恐怖はますます大きくなりました。

すると天使たちの1人がイブラーヒームに言いました。「恐がる事はありません。私たちは天使で食事をとらないのです。そしてルートの民の下へ使わされたのです。」するとイブラーヒームの妻が笑いました。彼女は自分の夫と彼らの間で交わされる会話に耳を傾けるために立ち上がっていました。彼女は笑いました。すると天使たちは彼女にイスハークという子供が授かるだろうと吉報を彼女に伝えました。すると老婆は驚いて笑いました。

『かの女は言った。「ああ、情ない、わたしは老婦人であり、この夫も老人なのに(子が)産めましょうか。本当にこれは不思議な事です。」』(フード章72節)天使たちの1人が彼女にこう言い返しました。

『その時、かれ(イブラーヒーム)の妻が立っていて、笑ったので、われはかの女にイスハークの事、イスハークの後、ヤアコーブの(産れる)吉報を伝えた。』(フード章71節)

このようにアッラーは90歳だった彼女に、また彼女の夫に、子供が生まれるだけでなく、その子供に更に子供が授かり、彼女が生きている間にその子供を見るだろうという吉報を伝えられる事を望んだのでした。サーラは長い間耐え、その後あきらめ、すっかり忘れていたのでした。こうした中で今までの彼女の苦労を消すアッラーの報奨が突然やってきたのでした。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


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