預言者たち
 

【預言者イブラーヒーム その3】
 

王者崇拝者たちへの直面…

イブラーヒームは、星や惑星崇拝者たちに対して決定的な論証を打ち立てたのと同様、偶像崇拝者たちに対しても決定的な形で論証を打ち立てました。そして神格化された王とその崇拝者たちへの論証だけが残りました。それによって不信仰者たち全員に対する論証が完遂するのでした。イブラーヒームは、自分を神格化した王のところへ行きました。この王は「ナムルード」と呼ばれていたと言われています。彼はイラクのアラム人たちの王でした。イブラーヒームはこの暴君に論証を打ち立て、静かに語りかけました。

『「わたしの主は、生を授けまた死を賜う方だ。」』(雌牛章258節)

すると王は言いました。

『「わたしも、生を授けまた死を与える。」』(雌牛章258節)

彼は通りを歩く男を捕まえて殺す事が出来、また死刑を宣告された者を赦し死から救うという事で、人に生と死を与える事ができると言うのです。イブラーヒームは彼のあまりの単純さに論争を行ないませんでした。しかし彼はこの王に、彼が思い込んでいる能力とは思い過ごしに過ぎず、真の意味での能力ではないと確定させる事を望みました。そこでイブラーヒームは言いました。

『アッラーは、太陽を東から昇らせられる。それであなたは、それを西から昇らせなさい。」』(雌牛章258節)

王はイブラーヒームの挑戦を黙って聞いていましたが、預言者の言葉が終わると王は驚き、それが不可能だと感じ、答える事ができませんでした。イブラーヒームは王が嘘つきである事を確定させました。この世にはそれに相応しいアッラーが創造した規則と法則があり、いかなる創造物もそれを支配する事は出来ないのです。イブラーヒームはもしこの王が真実を述べているのであれば、その法則を変えて見せなさいといったのです。王は不可能だと感じ、イブラーヒームの挑戦は彼を黙らせたのでした。イブラーヒームは王の城を出ました。

イブラーヒームの噂は広まり、人々は彼の奇跡と火から逃れた事を話し、また彼が王に会い、彼を黙らせた事を話しました。イブラーヒームは至高のアッラーへの呼びかけを続け、彼の民を導くための努力を惜しみませんでした。イブラーヒームはあらゆる手段を尽くし民の説得しましたが、イブラーヒームの彼らに対する愛情にもかかわらず民は彼に対して怒りを抱き彼を遠ざけました。そして民の中で信仰を得たのはサーラという名の、後に彼の妻となった女性だけでした。そして男性の中では後に預言者となったルートだけでした。イブラーヒームは誰一人信仰しないのを見て、彼らのもとを去り移住する事を決意しました。最後に父親を信仰へと呼びかけましたが、父親がアッラーの敵であり、信仰を持つ事はない事を知ると縁を切りました。

『それでかれ(父)がアッラーの敵である事が明白になった時、かれ(父)との関係を断った。本当にイブラーヒームは、柔和で辛抱強い人物であった。』(悔悟章114節)

イブラーヒーム(アッラーよ彼に平安を与えたまえ)は彼の祖国を出て移住を始めました。彼はオーロと呼ばれる町、ハーラーンと呼ばれる町へと旅立ち、それから彼の妻とルートとともにパレスチナへと旅立ちました。その後エジプトへ行きました。この旅の間中イブラーヒームは人々をアッラーへの崇拝へと導きました。そしてアッラーのために戦い、弱者や貧者たちに尽くし、人々の間で公正であり、彼らを真理へと導きました。そしてエジプトの王のもとに、男と世界で一番美しい女性がエジプトに到着したという情報が入ると彼は彼女を欲し、アルブハーリーによるアブーフライラの伝承によると「イブラーヒームは三つの嘘以外に嘘をつかなかった:二つはアッラーに関して「私には子供が出来ないのです。」そして「これを行ったのは大きい偶像です。」という言葉です。もう一つはサーラに関してで、エジプト王の使いの者に「ここに男と最も美しい女性がいる、その女性は誰だ?」と尋ねられた時に「私の妹です。」と言った時です。そしてサーラに「サーラよ、地上には私とあなた以外には信者はいないのだ。そしてこの者が私に聞き、私はあなたが自分の妹だと伝えた。私の嘘がばれないように。」こうして彼は彼女を送りました。彼女が王のもとに行くと、彼は彼女の手をとって前に進みました。すると王は彼女の手を取りました。イブラーヒームは私のため、そして私があなたに害を与えないようにアッラーに祈りなさい、と言い、彼女はそうしました。そこで王は手を離しました。2回目には更に激しく手を取りましたが、イブラーヒームが同様に言い、彼女がそうすると手を離しました。すると側近の者たちを呼び、「お前たちは人を連れてきたのではなく、シャイターンを連れてきたのか!」と言い、サーラにハージャルを召使いとして与えました。サーラがイブラーヒームのもとに来ると、彼は礼拝して立ち上がっていました。するとイブラーヒームは手で「いったいどうしたのだ?」と合図すると彼女は「アッラーが不信仰者の陰謀を打ち返し、ハージャルを与えてくださいました。」

イブラーヒームは妻のサーラとハージャルを連れてパレスチナに戻りました。そしてルートが彼らに加わりました。イブラーヒームは商業を始め、彼のもとには多大な財産が出来ました。そしてアッラーの崇拝へと呼びかけました。彼が85歳になった時、サーラは自分に子供ができなかったためにハージャルを彼と結婚させたらいいと考え、イブラーヒームはハージャルと結婚し、ハージャルはイスマーイールを生みました。そしてサーラは嫉妬心から、イブラーヒームにハージャルを遠ざけるよう頼みました。それからイブラーヒームにアッラーの命令が下り、ハージャルと乳飲み子をマッカに連れて行くよう命じられました。

そしてイブラーヒームは二人を連れ、生き物も水も食べ物もなく、人間もいない枯れ川に送り届けました。そして彼らを山の間に彼らを置いていきました。ハージャルは驚いて彼の後を追いましたが、イブラーヒームは彼女を振り返りはしませんでした。彼女は彼に懇願しましたが彼は振り返りませんでした。こうして最後にサーラは彼に言いました。「アッラーがこのようにあなたに命じたのですか?」するとイブラーヒームは彼女を振り返り言いました。「そうだ。」信仰を持つ妻は言いました。「それでしたらアッラーは私たちをお見捨てにはならないでしょう。」彼ら2人を隠す山まで進むと、イブラーヒームは立ち止まり両手を天に掲げアッラーに祈り始めました。

『主よ、わたしは子孫のある者をあなたの聖なる館の側の耕せない谷間に住まわせました。主よ、かれらに礼拝の務めを守らせて下さい。そうすれば人びとの心をかれらに引き付けるでしょう。またかれらに果実を御授け下さい。きっとかれらは感謝するでしょう。』(イブラーヒーム章37節)… その4に続く。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2005年 アラブ イスラーム学院