預言者たち
 

【預言者イブラーヒーム その2】
 

今回の闘争は最も激しい形をとりました。彼の父親との闘争です。これは父親の職業であり、その地位の秘密であり、民の信仰でもあった大多数が従う崇拝行為(偶像崇拝)でした。

イブラーヒームは決意しました。当時川の向こう岸では、盛大な祝宴が行われ、そこにはほとんどの民が集まる事が知られていました。イブラーヒームはその祝宴を、また彼の民が町からいなくなるのを待っていました。

イブラーヒームは注意深く神殿を目指しました。神殿へと続く道にも、神殿の中にも誰もいませんでした。町の者たち全員がその祝宴に行っていたのです。イブラーヒームはよく研がれた斧を手にして神殿に入りました。そして石や木から作られた神々の偶像を眺めました。そしてお供え物として人々がそれらの前においた食べ物に目をやりました。イブラーヒームは偶像たちに近付き尋ねました。

『あなたがたは食べないのですか。』(整列章91節)

そう、イブラーヒームは偶像たちを嘲っていたのです。彼らが食べない事を知っていたのですから。そして続けて偶像たちに尋ねました。

『あなたがたは、どうしてものを言わないのですか。』(整列章92節)

それから斧を神々の偶像の上に振り下ろしました。こうして崇拝されていた神々はただの石と木の砕かれた小さな欠片に変わり果てました。イブラーヒームが次のように思い、放置した最も大きい偶像を除いては。

『こうしてかれは、必ずかれらがそこに返って来るであろうと(思って)、唯一体の巨像を除きそれらを叩き壊した。』(預言者たち章58節)

彼らはイブラーヒームに、どうしてこのような事が起こったのか、大きい偶像がいたにもかかわらず小さな神々を護らなかったのかと尋ね、恐らくその時彼らが今までの事全てを振り返り、真理へと導かれるだろうと。

しかしイブラーヒームの民は思考するための理性を働かせず、慣習が観察や理解のための思考力に枷を嵌めてしまったのです。そして自分自身に対し「もしこれらが神であるなら、いったいどうやって自分に降りかかった災難から身を護らず、このような事が起きたのか?!最大の偶像がどうしてまわりの偶像を護らなかったのか?!」と問い掛ける事なく、それどころか次のように言ったのでした。

『かれらは言った。「誰がわたしたちの神々をこうしたのでしょうか。本当にかれは不義な者です。」』(預言者たち章59節)

その時、彼らはイブラーヒームが彼の父と偶像崇拝を認めず、彼らが出て行った後に彼らの神々に策略を行うと言ったのを思い出しました。そこで彼らはイブラーヒームのもとへやって来て、彼に尋ねました。

『「イブラーヒームよ、あなたなのですか。わたしたちの神々に対しこのような事をしたのは。」』(預言者たち章62節)

するとイブラーヒームは彼らに答えました。

『「いや、いや、それらの中のこの大きい(偶像)がそれをしたのです。かれらが口が利けるものなら聞いてみなさい。」』(預言者たち章63節)

これは明らかなる嘲笑でした。イブラーヒームは彼らにこれらの偶像たちは自分たちを倒したのが私なのか動きもしない大きな偶像なのか知らないのです、と言いました。おそらくこの嘲笑が彼らの心を打ち、思考へと彼らを戻したのです。

『そこでかれらは、自ら(良心に)顧みて(心に)言った。「確かにあなたがた(自身)が悪いのです。」』(預言者たち章64節)

するとイブラーヒームは彼らに言いました。

『「それならあなたがたは、アッラー以外のものを崇拝するのですか。あなたがたを少しも益せずまた損わないものを。 ああ、情けない事です。あなたがたも、あなたがたがアッラーを差しおいて崇拝するものたちも。あなたがたは、なお悟らないのですか。」』(預言者たち章66−67節)

その時彼らを罪深さが捕らえました。そして多くの罪人たちが自分の理論の正当性の証拠となるものを失った時にとる方法、つまり力に任せるという方法を取りました。

『かれらは言った。「どうせやるなら、かれを焼きなさい。そしてあなたがたの神々を救いなさい。」』(預言者たち章68節)

そして実際にイブラーヒームを焼く準備が始まり、そのニュースは王国全土に広まりました。そして神への冒涜と悪行、神に仕える者を嘲笑した者の最期がどうなるのか一目見ようと村や山や町から人々がやって来ました。彼らは、薪と枝と木々で埋め尽くされた大きな穴を掘り、その中に火を点けました。そして彼を穴に放り投げるための道具をもってきて、両手両足を縛った後にイブラーヒームをその中に入れました。穴の中の火は天まで燃え上がり、人々は熱さを避けるために穴から離れたところに立っていました。そして最高の神官がイブラーヒームを火の中に投げ込む事を命じました。すると天使ジブリールがイブラーヒームの頭のところにやって来て尋ねました。「何か必要な事はありますか?」と。するとイブラーヒームは言いました。「あなたに対してはありません。しかしアッラーに対しては『私にはアッラーさえいれば万全です。彼はもっとも優れた管理者であられる。』」と。また『私たちにはアッラーさえいれば万全です。彼はもっとも優れた管理者であられる。』とアルブハーリーはイブン アッバースの伝える伝承で預言者のハディースを伝えています。

大砲はイブラーヒームを火の中に放り投げました。火は確かにそこにありましたが「燃やす」という働きをしませんでした。すでにアッラーが火に対し、イブラーヒームに対して冷たく安全であるように命じていたのです。火はイブラーヒームを縛っていたものだけを焼き、イブラーヒームは穴の中央にあたかも公園の真中に座り彼の主と栄光を称えているかのように座っていました。火はイブラーヒームに対し、安全で冷たく優しくあるように変化したのです。

神官たちや人々は遠くから火を眺めていました。火の熱は彼らが遠くにいたにもかかわらず彼らのもとへ届いていました。火は長時間燃えつづけ、不信仰者たちはその火が永遠に消えないだろうと思ったほどでした。火が消えた時、彼らは、光と崇高さによって顔が輝くイブラーヒームが入った時と同じような状態で穴の中から出てくるのを見つけました!!!そして彼の服は焼かれておらず、彼には煙ややけどの跡は何もなかったのでした。… その3に続く。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


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