預言者たち
 

【預言者イブラーヒーム】
 

イブラーヒームはサームの子孫で、イラク北部のバービルに生まれました。そこではすでに偶像崇拝がはびこり、彼の父親は偶像崇拝を作る職人の一人でした。また彼の民の中には惑星や星を崇拝する者たちもおり、また偶像を崇拝したり王たちを崇拝する者もいました。イブラーヒームは偶像崇拝をやめるよう民に厳しく呼びかけ始めました。こうしてイブラーヒームは民の前に進み、真理を求めるあまり厳しく怒れる口調で言いました。

『「あなたがたが崇拝するこれらの偶像は、何ものであるのか。」 かれらは言った。「わたしたちは、祖先がそれらを崇拝するのを見ました。」かれは言った。「あなたがたとあなたがたの祖先は、明らかに誤っていたのである。」 かれらは言った。「あなたは真理を齎したのですか。それとも戯れる者なのですか。」 かれは言った。「そうではない。あなたがたの主は、天と地の主。(無から)それら(天地)を創造された方である。そしてわたしはそれに対する証人の一人である。」』(預言者たち章52−56節)

こうして呼びかけは終わり、イブラーヒームと彼の民の間で抗争が始まりました。彼らのうち最も激しく当惑し怒ったのは彼の父親でした。虚無と共にある父とアッラーと共にある息子の間での小競り合いが起こりました。

イブラーヒームは父親にこう言いました。

『かれが父にこう言った時を思え。「父よ、あなたは何故聞きも、見もしないで、また僅かの益をも与えないもの(木石の偶像)を崇拝なさるのか。 父よ、あなたが授かっていない知識が、今、確かにわたしに下った。だからわたしに従いなさい。わたしはあなたを正しい道に導くでしょう。 父よ、悪魔に仕えてはなりません。本当に悪魔は慈悲深き御方に対する謀叛者です。父よ、本当にわたしは慈悲深き御方からの懲罰が、あなたに下ることを恐れます。それであなたが、悪魔の友になることを心配しています。」』(マルヤム章42−45節)

この争いは家からイブラーヒームを追放し、投石による殺害という脅迫に帰しました。にもかかわらずイブラーヒームの行いは孝行息子のそれで、また、預言者としてのそれでした。父親に向かって預言者たちの礼儀で語りかけ、父の卑下と中傷・追放と殺害という脅迫に次のように返しました。

『かれは言った。「あなたに平安あれ。わたしの主に、あなたのため御赦しを祈る。本当にかれは、わたしに対し慈悲深くあられます。 わたしはあなたがたから離れ、またアッラー以外にあなたがたが祈るものから離れて、わたしの主に祈ります。わたしの主に御祈りすれば、恐らく(主の)御恵みのないめにあわないでしょう。」』(マルヤム章47−48節)

そしてイブラーヒームは彼の家を出て、民と民がアッラー以外を拝して崇拝することから遠ざかりました。またイブラーヒームは彼の民のうち星を崇拝する者たちと向かい合うことを決め、夜に惑星の1つを誰かが見た時にこの惑星が自分の主だ、と公言しました。彼の民は彼に安堵したかのように見えました。そしてイブラーヒームが偶像崇拝を拒否し惑星の崇拝を望んでいると考えました。偶像崇拝の中で偶像・星・王の3種類の中から選択する自由がありました。ところがイブラーヒームは民たちに対して、朝に彼らを驚かせることを用意していたのでした。昨日の自分の宗教であった惑星は沈み、彼はこれを好みませんでした。そして翌日の晩、イブラーヒームは民のもとに戻り、月こそ私の主だ、と公言しました。イブラーヒームの民の者たちはあまり賢くなく、彼が民を優しく愛情をもって嘲っていることに気が付きませんでした。つまり、見えたり隠れたりするもの、沈んだり昇ったりするものをどうやって主として崇めるのかといいたかったのです。彼の民は一度では気がつきませんでした。彼は月を例にだしました。月も木星などと同じ空に昇ったり沈んだりする惑星の1つなのだと…。こうして月が沈んだ時にイブラーヒームは言いました。

『「わたしの主がわたしを導かれなかったら、わたしはきっと迷った民の仲間になったでしょう。」』(家畜章77節)

私たちはこの節からイブラーヒームが民と話した時に月の神聖を拒否していることを発見することが出来ます。つまりその信仰の正当性を否定しているのです。しかし彼らは気がつきません。イブラーヒームはさらに試みを続け、惑星を崇拝する民たちに対し、自分は太陽を主とする、と言います。これは太陽の方が他の惑星より巨大だからです。そして太陽が沈むと惑星崇拝からの無実を公言し、これらが全て創造物で沈むのだと告げます。こうしてイブラーヒームは星や惑星が含まれる天と地を創造した並ぶ者無きお方へと彼らの注意を向けました。イブラーヒームの論証は真理を表すことが出来、民との抗争が始まったのです。そう、星や惑星の崇拝者たちはイブラーヒームに対し黙ってはおらず、論争と脅迫が始まり、イブラーヒームは彼らに対し次のように返すのでした。

『わたしがどうして、あなたがたの崇拝するものを畏れようか。かれが何の権能も授けられないものを、あなたがたは恐れずにアッラーに並べて崇めているではないか。それで両群(一神教と多神教)のどちらが、もっと平安を得るに値するのか。あなたがたがもし知っているなら(答えなさい)。』(家畜章81節)

イブラーヒームは星や惑星を崇拝する者たちへの論証を明らかにした後、偶像崇拝者たちへの論証を明らかにする準備をしました。最初のグループの者たちへの論証をアッラーが彼に与えたのと同様、全ての回においてアッラーはイブラーヒームに論証を与えていくのです。… その2に続く。


執筆:ヌーラ アッダハマシ


(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2005年 アラブ イスラーム学院