預言者略伝
 

【悪意の漫画】


 正義と不正の対峙する話の中に入るが、デンマークの新聞「ユランズ・ポステ ン」紙は、人とジンの双方のためにアッラーが遣わせられた預言者ムハンマド・ ビン・アブドッラーの全世界に対するその慈悲や指導性に関して、出来ることで はないのに、彼からそれらを剥奪しようとして悪意に満ちた漫画を掲載した。そ してそれにヨーロッパやアメリカなど西洋の新聞も倣った。

 この非文明的で非人間的な攻撃に対しては、全世界のムスリム団体や個人から 強い抗議の声が上げられた。新聞のこの醜い行いに対しては、公平で客観的な目 を持つ人であれば、誰でも感情を害するものであった。ましてや預言者ムハンマ ド(祝福あれ)に従うムスリムたちにとっては、尚更のことであった。かれらは 預言者のメッセージ、人々の導きとしてアッラーが降ろされた啓示、そして飛ぶ 鳥達の道しるべであり正しい道を求める人たちに暗闇の明かしとなる光を信じて いるのである。

 ムスリムたちはこの醜い罪のため、その怒りと強く傷つけられた感情を表明 し、その罪は余りに常軌を逸脱していると抗議した。預言者(祝福あれ)はアッ ラーの最善の被造物であり、最良の人生を過ごされ、人間的に最も完全な方で、 道徳的にも模範とすべき方である。こうしてこの破廉恥で無責任な行為は、ムス リムの感情を逆なでし、かれらとしては抗議しこのひどい攻撃を拒否するしかな かった。その攻撃は、イスラーム信仰の中心的な象徴に対するものであり、宗教 信仰の根本に関るものであったのだ。

 預言者(祝福あれ)がいかなるものであれあらゆる加害や悪意の責めにあわさ せられることは、あるまじきことなのである。そこで何回も彼らはその怒りやま たいかにひどく傷つけられたかについて、表明することとなった。加害や攻撃に 対しては、彼らは神経を尖らせている。怒りだけではなく、静かな抗議や、経済 的なボイコットなどもあり、あるいは知的にセミナーを開いたり、会議や会見で 加害の要素を整理検討したり、また文化的文明的な対話により預言者の人柄、素 晴らしい人生、人間性と慈悲心と指導性と犠牲心に満ちた啓蒙的な生き方につい て評価した。本件の持つ大きな影響や深刻さについても紹介された。

 こうして人間性が復活し、アッラーのお導きの下で幸せに暮らし、より正しい 人を導く主の示された道のりを歩むために、まずアッラーの言葉を聞いてみよ う。
「人々よ、われは一人の男と一人の女からあなた方を創り、種族と部族に分け た。これはあなた方を互いに知り合うようにさせるためである。アッラーの御許 で最も貴い者は、あなたがたのうち最も主を畏れる者である。」
(部屋章49:13)

 新聞は重い責任も荷なうものであり、それは説教台のようなものであることを 想起すると、今度の行為は真に破廉恥、恥知らずなものであった。本来は新聞は 人間文明の諸価値を表現し、その道徳的真髄を示し、責任あるその精神を表明す るものである。それが挑発的な表現の舞台となり、敵対心と人種主義に満ちたも のとなった。

 最悪なのは次のことだ。それは真実を曲げ、読者の権利を尊重せず侵し、それ でいてこのあくどい罪を犯した連中は、表現の自由を実践しているだけだと主張 している点である。彼らは誤った幻想を懐いているのだ。何の権利なのか? 何 の自由なのか? 宗教的信条を傷つけることが、権利で自由なのか。それは世界 中の15億人以上の信徒にとって、神聖なものなのである。

 それは破廉恥を隠蔽する論理だ。それは過ちのための作為的な論理だ。筋の通 らない自由の論理だ。他人の自由には何の重要性も見出さない自由だ。また他人 の信条には何も考慮を払わない。それは飛躍の論理で、それはムスリムより前に 非ムスリムが忌み嫌うものだ。それは脆弱な論理であり、口ごもるような主張と して、その誤謬を指摘されている。

 フランスのシラック大統領の言葉として、次のようなものがある。
「他人の信条、特に宗教上の信条を傷つける恐れがあるものは、避けなければな らない。そして表現の自由は責任感を持って駆使すべきだ。」
「深刻な感情煽動に至るような明らかな挑発を、私は排斥する。」(注1)

 ロシアのプーチン大統領はムスリムの感情を傷つける漫画について次のように 非難した。それは諸宗教間の亀裂を増すもので、信者を傷つけ、かれらの感情を 挑発している、と。(注2)

 中国については、この漫画は相互の尊敬と言う原則に抵触するもので、異なる 宗教や文明間の共存にも反していると、同国外務省報道官談話が出された。(注 3)

 日本はこの漫画掲載に憂慮を示した国の一つであった。外務省の発言で、「こ の漫画掲載のために傷つけられたムスリムの感情を完全に理解する」と発表し た。(注4)

 フランスの高名な思想家である、レジス・ドブリューは、この漫画はムスリム の感情を害して、かれらの信条に触れた、そして報道の自由は絶対的ではない、 それは自由と責任のバランスを保たねばならず、問題の漫画はイスラームに関す る西洋の無知を示していると述べた。

 確かに無知、あるいは知識不足で預言者ムハンマド(祝福を)に悪口を吐く人 たちは、彼がどんな人物かを少しずつでも学ぶべきである。彼は慈悲の子で、被 創造物の頭、そして最後の日の人々への執り成し人なのである。彼は全人類への 導きを頂き、優しく慈悲深く、偉大な人格の持ち主である。それはクルアーンも 創造された偉大で強力なアッラーが、説明しておられる通りである。

(注1)リヤード新聞13744号、2006年2月9日(ヒジュラ歴1427.1.10)
(注2)同上
(注3)同上
(注4)同上



筆者:ムハンマド・ハサン・アルジール
アラブ イスラーム学院長      

(2007年5月22日更新)

                

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