預言者ムハンマド
 

【預言者の任務 — 伝教】



 預言者ムハンマド(アッラーの祝福と平安を)に託された唯一の任務は、同時 に彼に従う者たちの任務でもある。それはイスラームの教えを人に伝えるという ことである。それと聖クルアーンの魅力あり崇高な教えを広め、それに従うよう に唱導することである。そこには二つの世界において良好で正しい事柄が説かれ ている。二つの世界とは、この世とあの世である。

 天使ジブリールが預言者ムハンマドにもたらしたアッラーの言葉である聖クル アーンは言う。
「われは明瞭な印と啓典とを授けた。われがあなたにこの訓戒を下したのは、か つて人々に対して下れたものを、あなたに解明させるためである。」(蜜蜂章 44節)

 また、「われがあなたに啓典を下したのは、只彼等の争っていることについて 解明するためである。」(同章64節)また「われはあなたに、あなたが主の御 許しによって、人々を暗黒から光明に、偉大な讃美すべき方の道に導き出すため に啓典を下した。」(イブラーヒーム章1節)また「もしかれらが背き去って も、われはかれらへの見張り人として、あなたを遣わした訳ではない。」(相談 章48節)

 こうして預言者(平安を)は任務と使命を実行し始めた。それは言動を一致さ せ確信を伴っており、どのような艱難辛苦があっても背負う用意があった。かれ は事実様々な労苦をしのいでも伝教にひるむことはなかった。しかし人々は種々 阻止しようとし、また嘘つき呼ばわりしようとし、心身ともに阻害した。心配事 は重なり、アッラーがその肉体的苦労をまさる心労から救うこともあった。称賛 され高邁なアッラーは天使ジブリール(平安を)を介して、余りに強固に阻止し ようとする連中を懲罰するために、天使アルジバールを派遣したことを告げられ た。

 前回触れた話だが、もし預言者(平安を)が天使アルジバールに本当に望まれ たならば、人々に山を二つ押さえつけて懲罰することになっていただろう。しか し預言者(平安を)は彼等に親切で、慈悲深く寛大だった。信仰が光を与え心は 洗れており平静で、神の永久のメッセージを伝えるにふさわしかった。彼の反応 も情熱に満ち、他方繊細であり情け深いもので、「何も神に並置することなく、 唯一の神を礼拝する人を選んで抽出して下さい」というものであった。

 始めはひそかに、そして後には公にアッラーだけを崇めるように人々に訴え た。それは知恵と優れた覚醒により、聖クルアーンでアッラーが言われたよう に、より良い方へ人を導くべく論争した。天からのアッラーの導きに人はすがり たがるようになり、人には心の平静と安寧と信者が心の中で感じる幸福を与え た。そこには心配事や戸惑いや落ち込みはなく、信仰の甘美さと確信を享受する のであった。

 好機を忍耐強く待ち、唱導に応じる人を待ち、そうして彼らに情け、親切さ、 知恵でもって真実を説明した。その手法を様々に選んで、読み物、知恵、諺、物 語などを使った。こうして実際的で動的な姿で人に伝え、人の生活や人生にも影 響する原則や価値をはっきり示されたのであった。

 預言者(平安を)は人々の心に精神生活を送り届けたいと願っていた。人の心 に思考を目覚めさせたいと願っていた。物語は生活の諸側面を描き、道徳、思想 精神的な方向性などに優れ、聞いたり読んだりする人に心を開き、善良な性格の 人に反響をもたらすようになった。また人々はその善良な言動になびき、他方で 悪行とその不正と暗黒からは遠ざけられた。

 こうしてその持てる時間と能力と手法をもって真実を人に伝えた。個人、集 団、近くの部族、諸部族、アラブ人、と広がり、更に遠くの諸国の王や指導者達 へは書簡でこの教えを伝えた。それは以前に、アッラーは数々の預言者を遣わせ られ、伝教されてきたようなものであった。

 預言者(平安を)は、忍耐強くかつ思慮深くこれらを継続した。そして安寧を 伝え使命を果たしたが、アッラーはその教えを完成され、預言者(平安を)の最 後の巡礼において最後の聖句が降ろされた。「今日われはあなたがたのために、 あなたがたの宗教を完成し、またあなた方に対する恩恵を全うし、あなたがたの 教えとして、イスラームを選んだのである。」(食卓章3節)とアッラーは言わ れた。

 最後の巡礼の際の説教では、預言者(平安を)は人々に教えを諭され言われ た。「神よ、伝えられましたか?」人々は答えて言った。「神よ、われわれは (預言者(平安を)が)伝えられたことを証します。」預言者(平安を)はそれ から数ヶ月して亡くなられた。

筆者:ムハンマド・ハサン・アルジール
アラブ イスラーム学院長

                

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