クウェイトで考えた
 

【クウェイトの気候と風景】


5月から10月の昼間、クウェイトではその暑さのために外を出歩けない。ク ウェイトの夏の暑さは、もはや「熱さ」と表現してもよいのではないか。この 「熱さ」を体験したい人は、トースターを4分ほど温めてから開けてみればい い。ムワァーンとした熱気が顔に絡み付くと思う。そう、これこそがクウェイト の「熱さ」なのだ! とにかく、この時期はおとなしく部屋で勉強しているのが 身のためである。はい、今回はこれで終了。

…というわけにはいかない。クウェイトだって、ただ暑ければいいというもので はない。たまには肌寒いこともあるし、たまには雨だって降るし、風だって吹 く。あれは11月か12月こと。授業が終わって寮に戻ろうとしたら、いきなり 雨が降り始めた。珍しいこともあるものだと思っていると、雨は次第に嵐へと変 化していった。雨は日本でもめったにお目にかからないぐらい強いものだった し、風はなんとヤシの木がマンガのようにグニャーンと曲がるほどだった。しか し、このような雨は長続きしないのは自明の理、せいぜい1時間もすればやむだ ろうと思っていたら、やはり何事もなかったかのようにカラッと晴れた。「さ あ、寮に帰ろう」と学バスに乗ってボーッとしていたところ、乗客が同じ方向を 向いて何ともいえない悲鳴をあげ始めた。彼らの視線を追いかけると、そこには オシャレな赤いベンツ、いやベンツだったものがあった。というのは、そのベン ツの屋根になんと折れたヤシの木がめり込み、「熱帯地仕様」になっていたので ある。…このベンツの持ち主はヤシの生えた愛車を見つけたとき、どんなリアク ションをしたのだろうか。どうでもいいが、ベンツのような高級車だとなんとな く同情できないのが不思議である。

さて、街の風景である。クウェイトで生活していたことを人に話すと、たいてい 「クウェイトってどんな街?」と聞かれる。どうもシリアやエジプトだと、パル ミラやピラミッドのおかげでそれなりにイメージできるらしいが、湾岸の国では それができないようだ。たしかに、湾岸諸国の映像はニュースや新聞でもあまり 見かけない。まず、クウェイトは日本の地方もビックリの車社会である。道幅は 広く、交通量も多い上にみんな運転が荒い。だから、歩いているときに怖い思い をしたことは少なくなかった。道路の横断などは本当に命懸けである。道路を挟 んで両脇にならぶオフィスビルやマンションは、欧米に負けず劣らず近代的。 もっとも海水のためにコンクリートがもろく、建築物の耐久年数が長くないと か。スークだってきれいに整備されて、どこか「アラブっぽく」ない。マクドナ ルドやKFCなど日本でお馴染みのファーストフードは至るところにあるし、何 でもそろっているショッピングモールやスーパーもある。このような光景は、お そらく数十年前にできあがったものであろう。

では、クウェイトをクウェイトたらしめている風景は何であろう? それは外国 人だと思う。2003年の統計によると、クウェイトの人口は約250万人、そ のうち外国人がなんと158.6万人である。つまり、人口の過半数が外国人な のである。女子寮だけでも、アブラ(寮母さん)たちはエジプト人で、清掃員は スリランカ人やタンザニア人だったし、食堂の料理人たちはモロッコ人やエジプ ト人だった。バスに乗ると、ドライバーはインド人やバングラデシュ人だ。服を 買えば、お店のレバノン人のお姉さんが応対してくれる。旅行代理店では、やは りレバノン人かシリア人が格安航空券の相談に乗ってくれる。ともかくも、ク ウェイト人はいったいどこにいるのかと思うほど、外国人だらけだった。日本に も徐々に外国人が増え始めているが、クウェイトの外国人ように、彼らも日本の 風景の一部となるのだろうか。


<今週のはーみシュ>
・個人的な判断ですが、クウェイトでは夏服と春服で足ります。ただ、寒がりな 人はスプリングコートを持っていったほうがよいかも。
・室内は冷房がガンガンに効いています。冷房に弱い人は、どこに行くときでも 羽織るものを持っていくほうがよいでしょう。また、日差しが強いので日焼け防 止にもなります。また、他のアラブと同様、特に女性は服装に気をつけること。
・娯楽施設はほとんどありません。かろうじて、ディズニーランドをモデルに 作った遊園地(本当に「ディズニーランド」と呼んでいました)や、なかなか設 備の整っている水族館、動物園(暑さのためか、動物にやる気が感じられませ ん)がありました。


写真は「ファイラカ島」。フェリーで3時間ほどのところにある小さい島です。湾岸戦争のときに破壊されたまま残されています。砂浜には地雷がまだ埋まっているとか、埋まっていないとか。まあ、思いきり遊んじゃいましたけれどね。


執筆:門屋 由紀
アラブ イスラーム学院 研究員

                

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