イスラーム文化
 

【アラブ イスラーム文明の基礎】
 

アラブイスラーム文明には4つの基礎があります。

1 地上におけるアッラーの代理人
2 研究・実験・発明の精神
3 心が求めることと理性・肉体が求めることの間の調和
4 個人の必要とするものと社会・共同体が必要とするものの間の調和


1 人間は地上におけるアッラーの代理人である

クルアーンの多くの節は、信仰をもった人間が、この世にあるよいものから利益を得るための、アッラーの代理人であることを示しています。
至高のアッラーは次のように仰っています。

『彼こそはあなた方を地上の継承者となされた方である』(ファーティル39節)
そのほかにもアルアンアーム章165節、アルアアラーフ章69節、129節、ユーヌス章14節、アンナムル章162節、アンヌール章55節に同様のことが書かれています。

この代理人・継承者ということは条件付であり、アッラーによる導きに従うこと、アッラーに命じられた善い人格をもつこと、善行、また忍耐と継続性をもって、アッラーが満足されるかたちで人間を幸福にする目的達成のための活動を行うことが条件となっています。

また、それが精神的なことであれ、物質的なことであれ、文明崩壊や社会腐敗、悪をもちいないことが条件になります。


2 研究・実験・発明の精神

アッラーが定めた善行の範囲内での研究・実験・発明を奨励する精神は、1番目の項目で述べた地上における代理人という概念と結びついています。というのも、継承をもっともよいかたちで実現させ、世界の法則やアッラーがこの世に蒔いた善いもの・恵みを得るため自然の神秘を発見するためには、科学的な研究方法に頼らざるをえないからです。クルアーンの節の多くはこの世界・人間・生・生命・固形物を観察することを呼びかけています。

至高のアッラーは仰りました。
『人間は何から創られたかを考えさせなさい』(アッタ−リク章5節)
『信仰しないものたちはわからないのか。天と地は、一緒に合わさっていたが、われはそれを分けた。そして自ら一切の生きものを創ったのである。』(アルアンビヤ−章30節)


3 精神と肉体の調和

イスラームは人間の精神的欲求と肉体的欲求・理性的欲求を調和させました。そしてこれが、イスラーム文明が他の文明以上に人間の役に立った理由です。この調和は他のいかなる学派・信仰・文明にもみられませんでした。歴史家のリッキーは彼の著書「ヨーロッパの道徳の歴史」で、次のように書いています。『ヨーロッパは真実の宗教ではない、それどころか人間の本質と相反する厳しい修道士主義と、物質主義またはこれ以上落ちるところのない所まで落ちた腐敗との間に存在するようになりました。西欧の人間は今日、ただひとつの宗教を知っています。それは物質的な向上と肉体的な快楽です。この宗教の教会ともいえるべき場は、工場、仕事場、研究所だけにとどまりません。教会関係者たち自身がこの宗教にどっぷりとつかっているのです。』

イスラーム文明についていえば、精神的欲求と理性的・肉体的欲求との間の調和という基礎はイスラーム文明の様々な基礎の中でもっとも重要なものです。「アッラーへの信仰と彼への宗教的儀礼(イバーダート)、そして彼に心を向け、彼が定めた方法により行動する」という基礎なしには、そして「調和のとれた形で理性と肉体に関心を持つ」ということなしには文明は成立しません。たとえそれが成立したとしても、この調和の上に成り立たない文明はそれに追随するもの・組織・様々な分野において常にそれが崩壊する要因を抱え、長続きすることはないのです。

イスラーム文明とは、物質と精神、現世と宗教がともにある文明です。もしも、これらのうちどれか一つでもかけてしまえば、それがどんなに見事に築かれたようにみえても、崩壊してしまうでしょう。

興味深いことは、クルアーンの節のうち、物質生活に関し書かれた問題は必ずといっていいほど、「アッラーの信仰・アッラーをあたかも目の前に見ているように畏れること・善行」へと呼びかけています。このことはこの基礎の存在を如実に示し、また、地上で、文明が健全な成長を遂げるにはこの基礎が不可欠だということを示しています。

またこの基礎は精神と肉体の「完全な調和」を意味しています。どちらかに偏った状態を示してはいません。これは人間個人個人に関しても当てはまる基礎です。


4 個人と社会の共存

イスラームは個人の要求と社会の要求との調和をはかりました。ですから、イスラーム社会は個人的な要求のために社会の公共利益を損ねることもなく、また、逆に、社会が個人の必要を無視することもありません。これにより、そこに暮らすすべての人々が協力し、利益をえることができるわけです。

原文:マルワーン・シャイフー氏
翻訳:ファーティマ佐久間
アラブ・イスラーム学院翻訳・文化講座担当

 

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