宗教は社会において次のように反映されます。
1、
すべての社会的結びつきは、宗教というフィルターを通して確立されました。なぜなら宗教は、社会における個人の結びつきを強くするからです。また、その教えの中で、すべての人がそれぞれの分野において責任を背負うことが大事だと示しているからです。
預言者ムハンマドも、私たちが「それぞれの分野、場所、立場のなかで責任を持ち、その責任を負う」ということを説いています。たとえば、礼拝を指導する者(イマーム)は彼のあとに礼拝に従う者たちに対して責任があり、男性はその家族に対して責任があり、また女性も家族に対して責任があるというような具合です。
社会的結びつきの中でもっとも重要なものは血縁・および家族間の関係です。
イスラームではそれがアッラーのもとから下された当初からこの『家族』を重要視してきました。たとえば、イスラームは夫あるいは妻を正しく選ぶことを奨励しています。また子供たちによい教育をあたえることも奨励しています。
さらにイスラームではムスリム(イスラーム教徒)同士の関係についても述べており、隣人たち、親戚たち、社会にいる人々とのコミュニケーションをよくすることを奨励しています。
また、ムスリムではない人々との関係についてもよくするように示しました。当然これらのことは善行を愛する心、よい人格、よい振る舞いを好む心を育て、その持ち主を現世と来世における幸福へと導き、アッラーの怒りから遠ざけ、その人を誠実なアッラーのしもべたちの一人とするのです。
ところが、人間が考えて定めた法律は、人々に対し、よい人格になるよう呼びかけてはいますが、実際にそれを実行し、修正を促すための十分な用意ができていないのが現状です。また、よい人格や価値観をもつことを否定し、それを基本理念とする物質主義的なことのみを求める組織も存在します。
つまり、宗教こそ人々の人格を正し、文明崩壊の原因である社会的腐敗を禁じることができるのです。
2、
宗教は社会的結束を固め、それを、善行のために協力し合うひとつの固まりにします。そのため、宗教はその価値観、基本理念にそぐわないすべてのことから社会を守るのです。
3、
宗教は支配者のようなものです。人々に社会の規則を守ることを義務付け、それらを侵害することを禁じます。
4、
宗教は個人と社会との調和・共存を実現させます。それこそ人間の理性を成長させ、精神を鍛え、肉体と精神の調和をもたらすのです。
原文:マルワーン・シャイフー氏
翻訳:ファーティマ佐久間
アラブ・イスラーム学院翻訳・文化講座担当 |
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