アラブ青年の日記
 

【ホームスティは怖くない!】
 

2000年の夏に、サウディアラビアの最も優秀な高校生から成るサウディ・サイエンス・クラブが日本の研究所や工場の見学を行いました。そのプログラムに企画の段階から参加させて頂きましたが、ホームスティを巡って日本とサウディの間で意見の相違が生じました。

学生がホームスティをすることは、日本文化を知る貴重な機会になると日本側が主張しました。一方、当時サイエンス・クラブの主な目的が他国の最新技術を紹介することに留まり、文化交流などはほとんど考えられませんでした。担当者にとって、サウディの高校生達が、自分の目から離れて、日本の家庭に泊まることは怖かったようです。

それはなぜかというと、サウディにはこのような学生による外国訪問に反対しているグループがいるからです。私も1994年にフランスへのサイエンス・クラブの訪問に参加しましたが、当時ある新聞でサイエンス・クラブが強く批判を浴びました。

日本の機関とサイエンス・クラブ間に立たされた私が、双方の立場を説明しながら、交渉を進めました。最終的に、学生がホームスティをせずに、日本の家庭を訪問することになりました。実はそれでも行きたくない学生が数人いました。

しかし、結果は大成功でした。暖かく迎えて頂いた日本の家族に、サウディの高校生は大変びっくりしました。日本料理を食べたり、写真を撮ったりしました。

実は、人工知能機能を持つロボットよりも、原子力発電よりも、日本の家庭訪問がそのプログラムの中で一番よかったと言う学生が沢山いました。サウディの高校生にとって、日本の家族と一緒に過ごした時間が一生忘れられない思い出となりました。いくら時間が経っても、その体験について自分たちの家族や友人に語り続けるでしょう。そして、将来彼らが第一線で活躍する人材になってからも、日本に対する好感がきっと変わらないと信じています。
その出来事が2002年に行われた日本−サウディ学生代表によるテレビ会議のきっかけとなって、その後日本学生がサウディに招待されました。

西欧社会と同じく、アラブ社会の中でも文化の衝突が避けられないものだと考える人はいますが、アラブ文化と日本文化を考えた場合、親孝行やお客のおもてなしなどと言った多くの共通点が存在しています。お互いの違いだけではなく、お互いの共通点にもっと注目すべきではないでしょうか。

最後に、日本や外国から最新技術以外にも、イスラームの教えに反せずに学べる良いことが沢山あると考える人が増えれば、アラブ社会でも文化の対話への期待が高まるに違いないと思います。

執筆:ブカーリ イサム
早稲田大学 大学院理工学研究科
アラブ・イスラーム学院文化・広報担当

 

 

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