正統カリフ伝
 

【正統なカリフ ウマル】
 

ウマルは民衆の様子を見回り、何も問題が無いと安心するまで眠ることはありませんでした。ある晩、ウマルがいつものようにマディーナの町を見廻っていたとき、子どもたちの泣き声を耳にしました。泣き声のする家に行き、ドアを叩き、「何があったのか?」と尋ねると、家にいた女性は、彼女の子どもがお腹をすかせて泣いているのだが何も食べ物が無いとウマルに言いました。しかし、家の中ではなべを火にかけていたのでウマルは「なべの中には何が入っているのか?」と尋ねました。彼女はこう答えました。
「水です。これが沸騰するまでに子どもたちが眠気に負け、眠ってしまうのを待っているのです。」
ウマルは彼女のために小麦粉と油を持ってこようと思い、家を出ました。そして小姓に言いました。
「私の背に荷物を載せなさい。」
すると小姓は
「信徒たちの長よ、あなたに代わって私が運ぶのか、それともあなたに運ばせるのですか?」
と尋ねました。
ウマルは自分の背に載せるよう命じ、再度小姓が同じ質問を繰り返すと、次のように言いました。
「審判の日に私に代わって私の罪を背負ってくれるのか?」

そしてウマルは彼女のもとに戻り、食事の用意をし、彼らに食べさせました。するとその女性は「ウマルよりもあなたのほうがカリフにふさわしい。」と言いました。
ウマルが彼女にウマルのことを知っているのかと問うと彼女は知らないと答えました。そこでウマルは彼女に「明日ウマルのところへ行きなさい。あなたはそこで私を見つけるでしょう。」と言いました。翌日女性がウマルを尋ねるとウマルは自分の正体を明かし、彼女と子どもたちのために必要なものを与えました。

またウマルは民衆に関する責任をアッラーから問われることを恐れるあまり、次のように言いました。
「イラクでロバが道に迷ったならば、私はそれに関してアッラーが私をお咎めになるのが怖い。」

また、ある晩ウマルが見回りをしながら市場にたどり着くと、そこには眠ってしまった人々がいました。ウマルは急いで友人のアブドッラフマーン イブン アウフの処へ行きました。丁度その時アブドッラフマーンは礼拝中だったので、礼拝が終わるまで待ちました。礼拝を終えたアブドッラフマーンが「信徒たちの長よ、こんな夜更けにやってくるとはいったい何が起こったのですか?」と尋ねると、「市場に来た人々が眠りこけているのだ。私は彼らが泥棒に遭うのではないかと心配でならない。私と一緒にきて彼らの番をしてくれ。」と答えました。2人は市場へと戻り一晩中人々の番をし、朝になるとそれぞれの家へ帰りました。

ウマルは協議を非常に重んじていました。そして「物事で、協議すること無く行われたものには良いものがない。」と言い、先ず民衆に意見を聞き、その後サハーバたちに意見を聞いたのでした。

そしてウマルは自分の意見を述べた後で、他の者が正しい意見を述べた場合には、素直に自分の間違いを認めました。
 
ある時期結納金の高額化が問題になり結納金の上限を定めようとした時、民衆の中から1人の女性が立ち上がり、「アッラーがアルクルアーンのなかで『彼女たちに与えた財産を取り戻すことの無いように。』と仰っているのに、ウマルよ、あなたは私たちに銀貨を得ることを禁ずるのですか!」と問いかけました。
それを聞いたウマルは、「女性が正しい答えを言い、ウマルが間違えた。」と自分の間違いを認めました。

またウマルは民衆を愛し、彼らのためになる事を好み、害になる事を嫌いました。そして民衆を貧富の差や社会的地位によって差別することなく、平等に扱いました。そのため権力のある強い者も自分の権利以上に財産を得ようとすること無く、また弱い者は自分の権利が不当に奪われることを恐れることはありませんでした。そして英知をもって物事に対処し、必要に応じて厳しさと優しさを使い分けました。

ウマルに関する物語はたくさんありますが、第4回と第5回ではそれらのうち最も有名な出来事を要約して紹介しました。

次回はウマルの偉大な功績についてみなさんに紹介していましょう。お楽しみに…(続く)


筆者:リハーブ ザハラーン
アラブ イスラーム学院講師

                

(→バックナンバー
(→週刊アラブマガジンのトップ


 
↑UP↑

前に戻る


アラブマガジンへもどる

 

アラビア語カフェ | アラブ イスラーム学院 | サイトマップ | ヘルプ



2004年 アラブ イスラーム学院