アラブとの架け橋
 

空手の精神を求めて
【サーディク オスマン氏 インタビュー 2】


サーディク オスマン氏


 7歳で出会った空手を極めようと、スーダンから来日したサーディク オスマ ン氏。
 今回は本場の空手を通して氏が感じたことを中心に、お話を伺いました。


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Q4. 空手の本場日本にいらしてどのような感想を持たれましたか? “本場”という感じはありますか? 日本人の先生はいかがですか?
A:
 日本に来て驚いたことは、日本人は基本がきちんとしている、ということでし た。基本的な技術が正確でしっかり身についているのです。そして試験もとても 厳しい。基本をしっかり習得してから段位を徐々に上がっていきます。それは、 さまざまな技において準備が整っていることになります。

 ですから日本の先生は強い。外国人にも強い方は大勢いますが、そういった強 さを持つ方は少ないように思います。そこが、日本と他の国、アラブやヨーロッ パと大きく異なる点です。

 空手に対する“精神”も異なります。日本人は空手を単なるスポーツとは捉え ていません。“武道”として空手の“精神”を大事にしている。私はそういった 日本の空手が好きです。

 この違いは、見たり聞いたりした中で次第にわかってきました。
また、日本人は指導する時は厳しい。しかし国外では日本人指導者はそこまで厳 しく指導はしていません。私はアラブ圏で日本人指導者に習ったこともありまし たから、その差がわかるのですが、日本国外では、技の派手さ・エンターテイメ ント性が受けている面が大きいからかもしれません。

 ですから、私は日本に来た当初は、大変でした。なかなか上段に上がれません でした。技を学ぶのに今まで以上の時間がかかりました。

 日本にはすごい先生がいるのでもっともっと習得したいという気持ちはとても 強いです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

Q5. 生徒さんの違いはいかがですか?
A:
 私は来日前は、空手は日本が本場だから、道を歩いていても道着を着ている人 を見かけるものと思っていました。しかし、道場でも生徒数は多くはありません でした。これはアラブとちょうど反対です。日本では昔空手の生徒数は多かった のですが、現在は少なくなりました。アラブでは一昔前は少数でしたが、今は大 変多くの方が空手をしています。

 日本人の若者は考え方が変わったようです、最近は多くの若者はあまり空手に 興味を示していないようです。しかし、生徒さんの中にはとても真面目に熱心に 取り組み、いつもいつも空手のことを考えている方がたくさんいます。

 一方、アラブの人は空手に興味のある人は多く、生徒さんの半数くらいは真面 目です。あとの半分の方はそれほど熱心ではないように思います。このことは、 私だけが感じていることではなく、他の先生方ともよく話していることです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

Q6. 指導の際は日本語を使っているのでしょうか? 日本語の習得はどのよう にされていますか?
A:
 日本語は特に習っていません。会話の中で自然に覚えていくようにしていま す。指導の際は、用語は日本語ですがそれ以外は英語を交えています。


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Q7. 将来の夢をお聞かせ下さい。
A:
 私の夢は祖国スーダンに戻り、スーダンの人々に空手を教えることです。自分 の道場をもち、空手の素晴らしさを伝えたいと思っています。空手も初めのころ は理念もルールもしっかりはしていませんでした。それが時を経てきちんとした ものになってきたのです。ムアーラアフッラも空手の初期の段階のようなもので す。今後もっと多くの人が親しめるようなルールが出来てくるでしょう。

 アラブの人は早く勝つようになりたい、と思い“基本”にあまり熱心ではあり ません。しかし基本をしっかりきちんとやらないと空手をやっている意味がな い、と私は思っています。私は幸いなことに日本とアラブのこの違いを認識して います。ですから、実現には困難が伴うでしょうが、そのような指導をしていき たいと思います。

 今は週3日は指導や稽古に励み、スーダンに戻る日に向けさらに上を目指して がんばっています。




インタビュアー:中易誠子   
アラブ イスラーム学院 卒業生

(2008年5月13日更新)

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