アラブとの架け橋
 

ファイサル トゥラード新駐日大使に聞く
【駐日サウジ大使インタビュー】


 

Q1. 在日大使に着任されるまでの経歴についてお聞かせください。

A: まずはじめに、この機会を与えてくださったことに感謝いたします。この機会を通じて日本の皆様と対話できることを大変楽しみにしております。

さて、私は27年前、サウジアラビアのアブドゥルラジーズ国王大学の経済学科を卒業し、1982年から85年まではロンドンのサウジ大使館、85年から90年まではブリュッセルのサウジ大使館、そして92年から2001年までリヤドの外務省で働きました。その後、2001年から2004年までカイロのアラブ連盟においてサウジ大使として勤務した後、今年の8月20日に在日サウジ大使として日本にやってきました。9月7日には天皇陛下ともお会いしました。


Q2. 日本にいらっしゃる前は日本に対してどのようなイメージをお持ちでしたか?

A: 実は在日大使着任以前にも2回ほど日本を訪れたことがあります。92年と96年です。そのときは、技術・経済の分野における日本サウジ間の相互協力に関する会議に参加するために来日しました。そのためもあって、日本に対しては非常に良いイメージを持っています。また、日本は世界の政治・経済において非常に重要な役割を果たしているというイメージもあります。


Q3. 日本に来てどのような印象をお持ちになりましたか?それまでのイメージとはどのように違いましたか?率直なところをお聞かせください。

A: もちろん、数日間だけ訪れるのと生活するのとではかなり異なります。しかし私の場合、在日大使になれて非常に運が良かったと考えています。日本の皆様は大変まじめで時間に正確です。また、約束を守り、正直で忠誠心に満ちているなど、大変素晴らしい美点を持っています。これらの美点はイスラーム的価値観とも合致するのです。そのような方々と一緒に仕事ができて大変嬉しく思っています。そして、何よりも私の妻や子供たちが実際に日本での生活を楽しんでいるということが重要です。長女は日本の大学に通っているのですが、そこで多くの友達を作って楽しく過ごしているようです。


Q4. サウジアラビアのどんなところを最も誇りに思っていらっしゃいますか?

A: サウジアラビアはイスラーム国家であり、更にはイスラーム発祥の地でもあります。預言者ムハンマドはメッカで生まれ、そこから全世界へとイスラームを広めました。ですから、我々サウジアラビア人は、アッラーの言葉である聖クルアーンとスンナ(預言者ムハンマドの言行録)、そして我々のウンマ(イスラーム共同体)を最も誇りに思っています。


Q5. 日本とサウジアラビアは互いに異なる文明・文化背景を持っているわけですが、両国がより親密な関係を築くためにはどのようなことが必要だと思われますか?

A: 非常に良い質問だと思います。確かに日本サウジ間には文化背景の違いがありますが、両国の伝統文化の中には互いに通じるものが多く存在することも事実です。その中で最も重要なことは家族に対する価値観だと思います。また、互いを尊敬しあう心、忠誠心、正直さ、といったものが双方の文化の中で育まれてきました。

また、1975年には日本サウジ間で技術・経済の分野における協定が結ばれています。更には、1998年にアブドゥッラー皇太子が日本を訪問した際に、21世紀へ向けた相互協力についての協定も結ばれています。もちろん、その他にも多くのイベントやプログラムがあります。しかし、現在とりわけ重要なのが、アラブイスラーム学院の活動です。ご存知のように、アラブイスラーム学院は日本の皆様にサウジアラビアの文化を紹介するとともに、アラビア語の教育に尽力しています。学院では100名以上の学生が学んでいて、彼らは非常にきれいなアラビア語を話します。こういったアラブイスラーム学院の活動は非常に重要なものだと私は考えています。


Q6. グローバリゼーションについてどのような意見をお持ちですか?特にグローバリゼーションがサウジアラビアにもたらす影響はどのようなものなのでしょうか。

A: この質問もまた非常に重要です。お陰様で、サウジアラビアには世界最大のエネルギー埋蔵量があります。このことは、サウジアラビアにとって非常に重い責任であると考えています。安全かつ安定したエネルギー供給者としての責任があるのです。全世界、特に日本に対してエネルギーを供給する責任があります。また、現在、WTOに参加するための交渉が進んでおり、今年中にはサウジアラビアの加盟が決定される見込みです。。

サウジアラビアに対するグローバリゼーションの影響について言えば、最初のうちは経済のある部門において影響があるかもしれませんが、それは非常に限られたものにとどまると思います。


Q7. サウジアラビアはもちろん独立国家ですが、アラブ連盟に加入するアラブ国家でもあります。アラブ諸国の中でサウジアラビアはどのような役割を担うべきだと考えますか?

A: ご存知のように、アラブ連盟はEUよりも古い連合体であり、22カ国によって構成されています。我々には、将来的にこれら22カ国を強力な地域経済共同体へと成長させたいという大きな夢があります。サウジアラビアはこれら22カ国の中で最も経済的に強い国であるため、他のアラブ諸国の開発・復興のために努力しています。


Q8. サウジアラビアで選挙が開催されますが、女性には参政権がありません。そのことについてどのような意見をお持ちですか?

A: まず始めにサウジ女性について話す必要があります。サウジアラビアという国は建国74年のまだ若い国で、50年前まで国立の学校は存在しませんでした。しかし、現在は500万人以上の学生がいます。そして女性の100%が小学校で学んでおり、中学校への進学率も若干下がるもののほぼ同様です。そしてエンジニア、医師、教師といった様々な職業において女性が活躍しています。また、現在、ファハド国王をはじめサウジアラビア政府は政治改革を進めていて、そのことが女性の社会参加を更に促進することになると思います。そして何よりも、イスラームによって女性の権利は保障されています。それは仕事の場においても、社会における権利関係においても同様です。

例えば、数ヶ月前にジャーナリスト組合で選挙がありましたが、200名のサウジ女性が参加し、3名のサウジ女性が当選しました。また最近国内で設立された人権委員会には、5人のサウジ女性が参画しています。

重要なことは、今現在、女性に参政権があるかどうかということではなく、サウジアラビア国民が経験から学ぶことにあります。なぜならば、彼らはまだこういった問題の重要性についてまだ十分に認識していないからです。ですから、女性が選挙に参加するようになるのは時間の問題だと考えています。私たちも改革を望んでいます。しかし外圧による改革は拒否します。改革というのは、国内から自発的に行われるものだと考えるからです。サウジアラビアという国は非常に独特な国です。ですから、西欧のシステムをそのまま適用するのではなく、サウジアラビア独自のスタイルが求められると思います。サウジアラビアには確かに民主主義がありますが、それはイスラーム的な民主主義であり、それがサウジアラビアの考え方なのです。


Q9. 3ヶ月前、サウジアラビア初の女性大学教授が学院にいらっしゃいました。今後、サウジアラビアにおいて、このような高度な専門性を持ったキャリアウーマンがますます増えていくことと思いますが、その場合、女性も男性と同じように一人だけで国内・海外出張に出かけられるような自由が必要になるのではないでしょうか。その点についてどのようにお考えになりますか?

A: こういった質問にお答えすることによってサウジアラビアの現在の姿を伝えることは非常に重要なことだと思います。サウジアラビア女性は男性と同じ権利を持ち、大変な努力をしており、そのことはサウジ政府も十分に理解しています。私は先日、大使として日本で5人のサウジ女性と面会しました。5人とも医師で、JICAのプログラムで日本を訪れていました。5人とも日本へは自分たちだけで来ており、皆ヒジャーブを着ていました。彼女たちは仕事をしながらも、きちんとイスラームの伝統を守っています。3週間前、彼女たちはプログラム修了証を手にし、英語で立派なスピーチを行いました。つまり、ヒジャーブを着ているということは仕事ができないということではないのです。私は、サウジアラビアの将来のためにも、彼女たちの活躍に期待を寄せています。

実際、サウジ女性は世界で活躍しています。例えば、スレイヤ・アルーベール博士はアナン国連事務局長の秘書を務めています。また、サウジアラビア外務省では、40名のサウジ女性に外交的な仕事を任せることを決定しました。もしかしたら、女性のサウジ大使が日本にやってくる日も近いかもしれませんよ!


アラブ イスラーム学院 週刊アラブ・マガジンのサイトの読者皆様へ、最後のご挨拶
イスラームの国より、愛と平和のご挨拶をいたします。サウジアラビアでは、あなたに平安を、と言って挨拶しますが、それはこの世界の隅々にまで平和と安寧が広まるようにとの祈願でもあります。そこで、皆様に、良きご挨拶として、あなた方に平安を、と申し上げるのです。




インタビュアー:佐野光子
アラブ イスラーム学院HP取材担当

                

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