アラブとの架け橋
 

イブティサーム・ハルワーニ教授講演会
【サウジアラビアの女性の現状】


 

2004年7月12日、アラブイスラーム学院においてイブティサーム・アブドゥッラハマーン・ハルワーニ教授による特別講演が行われました。タイトルは『サウジアラビアの女性の現状』。サウジアラビア女性である教授による、自国の女性についての興味深い講演に、多数の出席者から様々な質問が寄せられました。
           
1)かつての女性の状況

現在の女性の状況を語るには、まずかつての状況を語らなくてはなりません。古代ギリシア時代には、女性はただ子供を生むための道具とみなされていました。ローマ時代においても女性は父、夫、または兄弟に支配され、何の権利も持っていませんでした。インドでは妻は夫に従う者として、常に一歩下がって歩き、食事も夫の後に摂り、夫の死に際してはそれに殉ずるものとされたほどです。ユダヤ・キリスト世界においては、女性は原罪の原因であり卑しい存在とされ、イギリスでは売買賃借の対象であり、また領主は領内の女性を自由にする権利を有していました。イスラーム以前のアラブ世界においても、女児の出生は歓迎されず、生まれた女児を生き埋めにする悪習がはびこっていました。

2)現在の女性の状況

現在のイスラーム世界では女性の権利がきちんと保障されています。ハディースに言及されているように、女性、特に母親の地位は高いものがあります。女性と男性はその権利、義務、そしてアッラーの報奨において完全に平等な存在です。不平等に見えるとしても、それは女性と男性の本質の違いから生じるものであって、女性の性質を重視したそれは大概女性にとって利点となるものです。
結婚においては、何よりも当人の意思が尊重され、女性の意向を無視した結婚が強制される事はありません。またマハル(婚資)は女性の値段として誤解されがちですが、夫から妻になる女性への贈り物であり、夫の経済状況に即したものです。結婚によって女性の姓が変わることはありません。男女一組であることが自然体であると見なされるので結婚は奨励され、理由のない中絶は禁止されています。また姦通などの危険を回避するため女性は肌をさらしません。
サウジアラビアでは、妻は夫に従順であり、家を守り子供をきちんと教育する責任があります。そして夫には妻に優しく接し、その望みをかなえ、妻子を養う義務があるのです。妻子を養わない夫は法的にも罰せられます。一方女性には扶養義務はありません。離婚は妻の側からも可能です。また女性は選挙権も物を売買する権利も法的に認められています。

3)サウジアラビアの教育現状

サウジアラビアには1960年まで公的な教育機関はなく、私的あるいは家庭での教育に限られていました。女性教育は一部で「教育は女性の人格を損ねる」という偏見があったことと、社会的状況が女性の通学に適したものではなかったために遅れましたが、今では女性の教育も進み、男子校、女子校に分かれて各々勉学に励んでいます。サウジアラビアには現在6つの総合大学があります。市立の大学もありイスラーム、外国語、教育、医学、薬学などについて学ぶ事が出来ます。学費は無料であるばかりか、奨学金が政府から支給されています。

4)女性の就業現状

女性が就く職業としては医師と教師が挙げられます。かつてこれらは外国人によって占められた職種でしたが、今は特に小、中、高の教師の95%を女性が占めています。女性の就業の場は限られていますが、その一方で病院やマスコミ関係を別にして、女性だけが働く場もあります。女性の就業者の社会的保障は男性と全く平等である上、当然産休などの権利も認められています。また作家として詩人として、また国際的な会議の場でも女性は活躍しています。しかし働く女性はまた、育児・家事との両立、交通手段などの問題も抱えています。

5)サウジアラビア女性の一般的状況

サウジアラビアでは、男性も女性も結婚するまで家族と同居します。かつては結婚後も一緒に住む大家族が主流でした。今は核家族化が進んでいますが、家族、親族は固い絆で結ばれています。通常3人から6人の子供がおり、家が広いうえ、客を招くことが多いので家事は大変です。そのため通常一人から二人のメイドを雇います。またサウジアラビアの女性は単独での外出には問題があるのですが、運転手を雇う事でこの問題を解決しています。

6)おわりに

サウジアラビアにも他の国々と同様、様々な社会問題がありますが、それらはイスラームが原因で生ずる問題というより、むしろイスラームに従わないために発生する問題、もしくはイスラームとは無関係のサウジアラビアの慣習から生ずる問題です。西洋社会において女性が自由に振舞い、その事が原因で深刻な問題を抱え込むのに対し、イスラーム社会では女性は保護され、その権利を認められ、協力することが奨励されているのです。

インタビュアー:片桐早織
アラブ イスラーム学院卒業生

                

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