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【サウジ人は7月生まれが多い?】
 

僕が勉強しているアラビア語学学校に、サウジ中部のナジド地方出身の先生がいらっしゃる。ナジドと言えば、現在首都リヤドを擁する区域だが、昔からの「国際都市」マッカやマディーナ、ジェッダなどを抱える紅海沿岸寄りの地方とは違って、元来土着の遊牧民が多く、かつ宗教的にも文化的にも保守的な地域である。ちなみに、一般に厳格な学派として知られる「ワッハーブ宗」の創始者アブドルワッハーブはこのナジド地方の出身。この先生自身はアメリカ留学経験もあり、サウジ人には珍しく(?)異文化や外国語、世界の地理・歴史などにこの上ない興味と知識を持っていらっしゃる。その先生がある日授業の中でユニークなことを仰った。

 「今年齢が40歳以上のサウジ人は、大概自分の正確な生年月日など知らない。」

何でもその辺りの世代までは、正確な生年月日など公私共に必要もなければ気にもされなかったのだという。そして学校入学や身分証明書発行などの際には、適当に生まれ年を振り分けたらしい。その際の参考としては、生まれ年を知る親戚や知り合いの大体同い年と思われる者に合わせたり、あるいは「大雨が降った年」とか「大干ばつがあった日」とか特別なイベントがあった年に生まれていれば、それが生まれ年を決める大きな手掛かりとなったのだという。

具体的な生まれ年の「月日」まで求められるようになったのは、更に後のことだ、と先生は仰る。身分証明書に生年の上に月日まで義務付けられるようになったのは、言わばごく最近のこと。生まれ年までなら何とか手掛かりらしいものはつかめたが、さすがに誕生日まではどうにも見当がつかない。しかもこちらで使用されている太陰暦のヒジュラ暦は毎年誤差が生じるので、季節と月が常に一致するわけではなく、季節を当てにすることも出来ない(それに日本と違って、各季節に大きな差があるわけでもない)。そこで多くの人々が選んだのが、「7月1日(無論ヒジュラ暦で)」。つまり全く検討がつかないので、とりあえず1年を半分にしてその中間を取れば無難なんじゃないのか、ってことだ。それで、現在特に40歳以上のサウジ人には7月1日生まれがやけに多いのだという。

 「物事の最善は中道である。」

そう言って先生は、ご自身の身分証明書を学生たちにお披露目された。オォ、やっぱり7月1日! ちなみに先生のお年は50代初め、といったところだ。
40代以上のサウジ人に会ったら、皆さんも誕生日を伺ってみてはいかがだろう?


執筆:サイード佐藤
アラブ イスラーム学院 卒業生


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