アラビア書籍と日本
 

【政治と国際問題 その1】
 

日本の国際政治に関してデータを重視した具体的な問題提示と考察のアラビア語書籍をご紹介します。

・ 日本と湾岸諸国、その外交戦略と発展事業
・ 対東アジア日本外交に関する実践的研究
・ 政策比較:アメリカ、ヨーロッパ、日本における社会政策の選択
・ 日本の記事

★アラブ イスラーム学院図書室で閲覧できます。


*本のタイトル:

日本と湾岸諸国、その外交戦略と発展事業

اليابان والخليج، استراتيجيية العلاقات والمشروع النهضوي

تأليف: نصرة عبد الله البستكي

アラブ イスラーム学院図書室で閲覧できます。


*本書の紹介:
この研究者が、アラブと日本の関係及び、アラブ世界―殊に湾岸諸国への日本外交を重要視した要因は数多くあります。おそらくその筆頭に上げられるのは、日本の重要性でしょう。今日の世界の中で、日本は単なる列強に数えあげられるのみならず、さまざまな数字の上でも、また科学技術においても、経済力においても、最強国の地位に近付きつつあります。

またこのような研究にとっては、特にこの時期、「必要」こそ多くの視点を生みだす宝であり、その中でも、そのプラス面もマイナス面も含めて、日本の近代化試行を解明することは、大変重要なことです。それは、アラブ世界に必要な進化を実現し、同時に自らのアイデンティティーや文化的要素を保持することができる統合的発展計画を求める研究者たちを導く灯台となるかもしれません。

アメリカの覇権一極化が見られる今日の世界情勢からも、この研究の重要性が生まれています。列強諸国がアメリカの傍らに控える中、権力の多極化を特徴とする新しい国際社会において、日本はその大きな力に見合う役割を果たすべく望まれているのです。そうなれば、アメリカは湾岸地域において唯一の覇権者ではなくなり、同地域での権力競争に加わる他の国際勢力が現われることになります。ですから、日本と湾岸世界との関係の戦略的観点にスポットを当てることは、大変重要なことなのです。

この研究者が同分野の研究へ加わろうと思った要因の中には、日本と湾岸世界との関係に関する研究が大変少ないという事実もあります。日本のアジア諸国との関係や、アメリカや他の列強との関係に関する分析には、長大な頁が割かれているというのに。いずれにせよ、現代社会の特徴である目まぐるしい変化や急速な発展は、21世紀初頭の国際舞台にも多大な影響を与えずにはおきませんでした。特に2001年9月11日の事件以後、現代世界の歴史に残る数々の影響の中で最も重要なものは、アメリカ主導の覇権一極化の出現でした。

もちろんこのような変動によって、日本も、政治的方向や思惑、そして現代世界の各勢力との関係見直しを迫られることになります。その中でも我々にとって重要なのは、日本とアラブ湾岸諸国との関係です。
祖国への想いから出立した日本の近代化試行についての深遠を、その外面も内面も、またその根幹も未来も含めて深く研究しない限り、日本の外交手段やアラブ―特に湾岸地域に関する政策を理解することはできません。一国の外交政策は、その国の歴史的、文化的特徴に起因する現実の反映であり、また延長であるに違いないのですから。

日本外交と、中東―特に湾岸地域に対する外交政策の真髄を把握するには、第2次世界大戦後の国際政治とその発展の枠組みの中で理解する必要があります。日本外交の方向性を決める枠組みと、1945年にアメリカの手によって敗戦後の政治的限界や境界にスポットを当てることこそ、必要不可欠なのです。
そしてその際には、植民地主義への大いなる渇望によって、現在に至るまで近隣諸国との関係にしこりを残しているかつての日本の歴史的側面も、決してなおざりにしてはなりません。

それに加えて、本書は日本外交において政策決定を制御するさまざまな要素を特定しました。そしてその枠組みを示した後、研究対象となった期間におけるアラブ湾岸諸国への経済政策および文化政策に関する論議と分析がなされました。そしてその論議と分析を通して、さまざまな疑問が投げかけられました。

アラブ地域、及びアラブ湾岸協力会議(GCC: Gulf Cooperation Council for Arab Sta tes)諸国に対して、日本外交を形成する役割を持つ基本的枠組みとは何か?それに関して日本の政治家たちが用いる要素とは何か?アラブ湾岸諸国への外交政策を形成し、実践するための日本の枠組みの限界とは何か?
そしてその政策の方向性へと向かわせる要因は何か?湾岸地域のアラブ世界に関して望まれる目的とは何か?それは単に経済的目的であり要因にすぎないのか?あるいはそれを超えて、両者の関係が文化、社会、政治、経済方面にわたる段階がやってくるのか?
日本外交政策は未だにアメリカ外交政策の枠を抜け出せず、またアラブ湾岸諸国の幾つかの国々もアメリカ支配から抜け出していないのにもかかわらず、両者の関係を特に政治戦略と表すことができるのだろうか?それならアラブ湾岸地域の問題についての日本外交の役割とは一体どのような大きさなのだろうか?そしてアラブ湾岸地域の問題に関する国際組織における決議決定への日本の票は、一体どんな要因になるのだろうか?そして日本のその立場は、年数を経てどれほど、またどのように変わっていくのだろうか?

答えの出ない疑問はまだ続きます。
その巨大な経済力や科学技術力と、近隣諸国や国際社会における政治的役割との間の溝を、巨人たる日本は一体どうやって橋渡しするのだろうか?

日本はこのまま、巨大な経済力と、微弱な軍事力、国際社会における微弱な政治力との矛盾の中で生き続けるのだろうか?それとも遅かれ早かれ、最強国とは言わないまでも、列強国としてみずからの大きさと可能性に見合う役割を果たすべく、アメリカとの関係を見直すのであろうか?

もし仮にそうだとすれば、次のような疑問が投げかけられます。
果たして日本は、明日の世界における新しい日本の未来を描く中で、国際関係の形成や、アラブ湾岸諸国を含めた世界の各勢力に対する外交政策の方向性を見直すための方法論を持っているのだろうか?

本書には、その一つ一つが序であると同時に結論であるような、完全なる鎖の輪にも似た特殊な研究があります。この研究の各章を通し、天然資源や地理的戦略的要因をほとんど所有していない国が遂げた、継続的で独自の発展とその謎の分析がなされました。それには、日本の歴史的ルーツや不明瞭さ、そして志といった同国の近代化試行の根本に関する深い研究が必要です。その最初として日本憲法の規定に照らし合わせ、日本外交の手段と目的、そして政治、経済、文化の方向性や軍事力について知らなければなりません。
日本とアメリカ、及び日本とアジア近隣諸国との関係の特徴もさることながら、あれだけ強大な力を持つ国が、一体何故、自国の治安維持をアメリカに頼り、朝鮮の脅威やピョンヤンの攻撃に際し、有事には自らに代わってアメリカに助けを求めるような卑屈な立場に満足しているのか?

本書は、日本とアラブ湾岸諸国が互いに近づいたり遠ざかったりする変化についての研究を示します。そして日本とイスラエルの関係や、アラブとシオニストの闘争に関し、国際機関において日本が統計的にどのような票を投じてきたかという観察調査を含むアラブ・中東への外交を通して、全般的な日本外交の観察と分析を提示します。
またこの研究は、日本と湾岸諸国―特にアラブ湾岸協力会議(GCC)諸国との関係の性質を観察し、研究対象期間(1945−2003)を含めたさまざまな時期の日本の立場や方向性を、文化、経済関係と共に観察しています。


*本のタイトル:

対東アジア日本外交に関する実践的研究

السياسة الخارجية اليابانية دراسة تطبيقية على شرق آسيا

تأليف: علي سيد فؤاد النقر

アラブ イスラーム学院図書室で閲覧できます。


*本書の紹介:
本書は、日本外交事情とその要因、またそれを構成する環境についての研究を取り扱います。その中には、日本の地理的環境や歴史的経験、外交への経済的影響、外交政策決定機関、地域的・国際的要因も含まれています。
また東アジア外交問題における日本の立場や、その地域の国々への経済政策―商業や投資、援助―についても取り上げています。
本書は、1945年から2000年の期間について同テーマを論じます。それは東アジアに対する日本外交において新しい方向性が現われた時期であり、またその方向性はその間、ずっと日本外交政策の基本的方向の中にあり続けたのです。

日本外交を研究するに当たって、著者が対東アジア地域を選んだのは、日本を含めたその地域のすべての国々―中国、台湾、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、香港、韓国、そして北朝鮮など―の重要性に起因します。日本をそれらの国々と集結させる歴史的、文化的、経済的絆に加え、その地理的近さからも、日本はそれらの国々との深い絆を享受しているのです。

著者が本書の中で答えようとする最も顕著な疑問は、「同地域への日本外交における最も大きな要因にはどのようなものが挙げられるか?」、「それらの要因の強さの比率は?」、そして「その地域における日本の役割の拡大を阻んでいる要因は何か?」という点です。


*本のタイトル:

政策比較:アメリカ、ヨーロッパ、日本における社会政策の選択

السياسات العامة المقارنة سياسات الخيار الاجتماعي في أمريكا وأوروبا واليابان

أمريكا وأوروبا واليابان

アラブ イスラーム学院図書室で閲覧できます。


*本書の紹介:
広い政策比較は、より良い政策を構築するためのガイドとなります。他国の政策を評価するとき、我々は自分たちの現状にとってより良い考え方を導き出すことができるからです。
また政策比較は、各政府の実務方法や政策をより深く理解するためのものでもあり、多くの困難な問題に治療を施します。概して政策比較とは、各政府が物事の是非を特定するにあたっての方法と理由と目的を研究するものであると言えるでしょう。

この定義には、概念的で重要な特質が数多く含まれています。政策比較とそれによる政策選択ができるだけ自国の現実に即したものであるように望む限り、政策比較を国際レベルに広げることによって、我々がさまざまな考え方を持つ社会から多くの利益を得ることは間違いありません。我々は比較によってより良い方法で考えることを学ぶのです。

そこに焦点を当て、本書の著者たちは、日本、アメリカ、オーストラリアといったさまざまな先進諸国の試みを示すことに重点を置きました。そしてその調査の中で彼らは、先進国における都市計画や環境政策、政策の多様性に加え、選択的社会政策、教育政策、保健政策、住宅政策、経済政策、税金政策についても取り上げます。


*本のタイトル:

日本の記事

المقالات اليابانية

تأليف: محمد حسنين هيكل

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*本書の紹介:
本書は、モハンマド・ハサナイン・ハイカルが日本の新聞に書いた記事をまとめたもので、情報においても分析においても大変価値あるものです。

*著者の言葉:
かつて私が経験した国際舞台で仕事はヨーロッパに限られており、それはヨーロッパ、特に英語とフランス語圏の域を超えることはありませんでした。

ですから1990年代初頭のある日、日本の読売新聞とロサンゼルスタイムズから、「Insight into the World」という定期欄への執筆参加を依頼されるまで、東アジアについてはスタートラインに立っているようなものでした。
その時、読売新聞の編集長は手紙に2つのリストを同封してくれていました。
1つは、同欄の出版権を得ている東南アジアとアメリカ西部の240余りの新聞社名でした。そしてもう1つは、定期的に同欄の執筆に参加している人物の名簿でした。
彼らは思想世界や政治世界のスターたちであり、その中には、ヘンリー・キッシンジャー、マーガレット・サッチャー、ミハエル・ゴルバチョフなどもいたのです。

私はその時ためらいながら考えました。
その新たな仕事は、時には本来の私の活動に影響してしまうであろうし、諸条件が限定されがちなその重大な仕事に時間を取られ、どんな形であれ、今計画している活動スケジュールの流れが邪魔されてしまうように思われたのです。

そしてまた今日の世界一元化以前には、古代の知恵の名残りなのか、東京は遥か遠くて、どんな話題もその伝わり方は、エジプト人がよくたとえ話に使う「マルタ島のアザーン(訳者注*)」のようなものだろうと私には思えていたのかもしれません。

*「マルタ島のアザーン」:遠すぎるために、どんなにいいことを言っても誰にも届かないことのたとえ




週刊アラブマガジン編集部


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