アラブとの30年 その2
 

【良い挨拶は二倍にして返す】
 

Aさん、いよいよ青年海外協力隊でアラブに赴任ですね。

砂漠型の気候は朝晩の気温差や、夏冬の寒暖の差が激しいので、着るものに神経を使いましょう。現地の人はいつも長袖を着ています。男女を問わず、人前では肌を出さないことはモラールの上でも、また健康の面でも大切な風習です。下着は天然素材を選びましょう。冬は乾燥し寒いので、ウールの素材が最適です。夏でも一般にクーラーを利かせすぎている事務所がたくさんあります。外出には、日射が強いのでサングラスは欠かせません。持病があるなら、薬を処方箋と共に日本から持っていきましょう。

それから交通事故には気をつけてください。自分で運転しないようにしてください。多くの日本人が事故にあったのを見ています。遠出するときや、砂漠にキャンプに行くときは必ずアラブの友人と一緒に行くのが良いでしょう。砂漠で車がパンクしたとき、道に迷ったとき、砂に潜ったとき途方にくれます。特に交通事故に遭遇したときは、自分一人の力で解決しようとあせらず、アラブの友人のアドバイスを聞きましょう。

病気、心配事、そんな時は土地の人はどんな難しい問題でも解決する方法を知っています。早く友人を作って、アドバイスを聞きましょう。貴重品は自己管理しましょう。自分自身を、貴重品のように大切に扱ってください。現地の人にそぐわない服装や態度は避けましょう。政治体制、宗教についての議論は避けましよう。そして何よりアラビア語を学びましょう。

Q1. 仏教徒ですが大丈夫ですか
A1. 大丈夫です。アラブ人は信仰を持っている人を尊敬します。日本人の中には、無宗教、無信仰だと、言う人がいます。これはアラブでは不審に思われます。多分滞在許可も下りないでしょう。信仰を持っている人は一生懸命努力しても、なかなか神の求めるレベルに達しないことを知っています。だから謙虚に生きようと、努力します。無宗教、無信仰は神を恐れない不遜な人との印象を与えます。

アラブの人は、世界の40%の人に精神的影響を与えている原点、中心に生きています。精神と肉体が一体化したものが人間であり、そのために精神的価値、物質的な価値をバランスよく生きること、現世も、来世も一つの世界の中にある事を信じ、それを実感して生きています。ですから宗教の違いや民族の違いを超えて、人間の価値を認める世界がアラブです。あなたが信じている宗教が何であれ、人を殺さず、盗まず、強姦せず、嘘の証言をせず、悪口を言わず、言葉正しく、思いやりと相手の嫌がることをしなければ、あなたは安全に過ごせるでしょう。

Q2. アラブ人との付き合い方は。
A2. アラブ人は人と付き合うのが大好きな国民です。先ず友好から始まるといいます。初対面でも丁寧に挨拶を交わし、違和感なく楽しい話題を選んで相手を退屈させません。

アッサラーム アライクム(貴方に平安がありますように。おはようございます。こんにちは。こんばんは。)のほかに、出来るだけたくさんのアラビア語も習いましょう。アラビア語を知っていると自分の身を守ることが出来ます。

自分が上司であっても部下や他人を叱ったり、中傷したり、大勢の前で不名誉と受け取られるような言葉使い、態度をしないように気をつけましょう。また上司に対し、卑屈になってはなりません。正々堂々と付き合いましょう。人の噂は避けましょう。お土産なども、不公平にならないように皆のことを考えましょう。謙虚で、相手を尊敬する気持ちが大切です。

「親切には親切を2倍に」の諺があります。もし貴方が不親切で、傲慢であったら、と思ってください。中東はIBMの国で、約束は守らないのが当たり前だ。インシャア アッラー、(神がお望みならば)、ボコラ(未来、明日)、マーレッシ(気にしないで)だから、と茶化す人がいます。インシャア アッラー、(神がお望みならば)はどんなに自分が望んでも、未来のことは何が起きるか人間の力ではどうにもならない。神の望みがなければ約束は叶えることは出来ない。友達との約束の後も必ずインシャア アッラーがつきます。約束を果たす意思がないので最初からインシャア アッラーと言い訳を言っている。怪しからんと怒る日本人がいます。全く見当はずれです。(次回(7)「喜捨の心」を忘れずに、に続く)


執筆:片山 廣
アラブ イスラーム学院顧問

 

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