アラブとの30年
 

【商人道を極める】
 

アラブ社会では商人の地位は高く、商人は尊敬を受けています。多くの人は若いときから独立心が旺盛です。これは預言者ムハンマドに習っての伝統です。預言者ムハンマドが実直な商人であったことが大きな理由です。

人々は1400年前の預言者ムハンマドを毎日、毎日思いおこしているので、遠くのおじさんよりも身近に預言者ムハンマドを実感しています。商売は正しい道で行いなさい。そして得た利益は、惜しげなく、必要としている人たちに与えなさい。と聖クルアーンは教えます。成功している商人は、商業活動は正直で公正な態度の結果、神から授けられたご褒美と思い、成功をもたらせてくれた神、つまりアッラーに感謝する為に喜捨をするのです。

見つかると役人に罰せられるから、とか新聞に叩かれるとかの理由から、法律や、規制を遵守しているのではありません。つまり正直を装っているのではありません。正直は自らに課した義務なのです。それは自発的な行為です。商人は不当表示や、升目をごまかさない、ことなど、イスラームの教えを忠実に実行出来た事が至福であるわけです。そして稼いだお金を惜しげもなく投資し、または自分の意図するところに喜捨します。

喜捨は神に対する義務の実行でありますから、喜捨を受けた人も、喜捨した人にへりくだってお礼を言うことはないのです。ほとんどの人は喜捨の経験を持ちます。喜捨した人は、自分が喜捨できる立場に神が助けてくださった事に感謝します。ですから、神からのご褒美以外は何も期待しません。これが社会の通念でもあるわけです。

お金があるから喜捨する、と言う人がいますが、それは、見当はずれです。ある時、日本人が、「一所懸命日本が恵んでやったにもかかわらず、あの連中はお礼の言葉を言わないのは怪しからん」と怒っていました。「アラブ人は誇り高いから礼は言わないのだ」と言うのも聴きました。これもはなはだしい見当違いです。

執筆:片山 廣
アラブ イスラーム学院顧問

 

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