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第11章
【ウンムハビーバ―その1】
 

ムハージルーンの帰還

 ハイバルを征服し、ナディール部族の貴婦人を妻に迎え、ユダヤ教徒からの戦利品をおみやげに、勝利の英雄は預言者の町に帰ってきた。

 凱旋軍を迎える準備に沸いているマディーナの町では、もう一つのすばらしい出来事がそこで英雄を待っていた。

 預言者が、ハイバルの遠征に出かけている間に、マディーナではハバシャに難を逃れていたムハージルーンが、アムル・イブン・ウマイヤ・アッダムリーに付き添われて帰還したのだった。アムルは、初期のムハージルーンで、その地に残留している人びとを連れて戻るよう命を受けてナジャーシー(ハバシャの王)のもとに送られた預言者の特使であった。

 アムルは、二隻の船を用意して彼らを運び、親類縁者やアンサールの人びとが待つマディーナに、ハイバル戦の興奮激発のさなかにあるマディーナに到着したのであった。

 彼らの帰還に、ハイバル征服の吉報が重なった。マディーナの人びとは、凱旋軍を迎えに出てワーディーの一帯はいっぱいの群衆と、その呼び合う歓声で賑わった。

 人びとの歓迎に応え、喜びの声をかわし合った預言者は、彼らのなかに、迫害の時代にマッカを逃れて行った教友たちの姿をみとめた。異国の地でイスラームのため、神(アッラー)のた、財産を捨て、家を捨て、マッカを去っていったあの日が、ムハンマドと彼らの最期の日になるであろうと別れを告げた人びとであった。あの世での再会を誓った仲間たちであった。それが、ここにもう一度、しかもハイバルの戦勝を祝う日に、そしてすでにイスラームの名声が全アラビア半島に高まった今日、めぐり会えたのである。

 ムハンマドはラクダの上から飛び降りると、従兄弟(いとこ)のジャアファル・イブン・アブーターリブを抱きかかえて、喜びに浸ってこう言った。「ハイバルの勝利か、ジャアファルの帰還か、どっちがよりうれしいのかわからない。とにかくうれしい」

 それから預言者は、残りのムハージルーンの教友たちの姿を捜し求めた。イブン・イスハークによると、16人の教友たちがそのなかにいたという。

 そしてこの帰還した人びとのなかに、ウンムハビーバすなわちアブースフヤーンの娘ラムラがいて、彼女を家に連れていくはずの夫預言者を待っていた。それは彼女がハバシャにいたときに、預言者はすでに彼女と結婚していたからであった。

 この結婚の話は、ムハンマドが使者を送ったときにさかのぼる。

転載: 宗教法人日本ムスリム協会 「預言者の妻たち」
アーイシャ・アブドッラハマーン 著
徳増 輝子 訳

(2007年11月9日更新)














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2007年 アラブ イスラーム学院