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【第8章 戦利品】
(8:34〜8:45)
 

聖モスクから、その管理者でもないのに逸らす彼らをアッラーが罰し給わないとは、彼らはどうしたことか。まことに、その管理者は、畏れ身を守る者のほかにない。だが、彼らの大半は知らない。(8:34)

『聖モスクから』 そこでタワーフ(周回礼)をすることを。

『その管理者でもないのに』 彼らが主張しているような。

その件の管理に多神教徒の彼らはふさわしくない、ということである。これは、彼らが、「われらは館と聖地の管理者である。それゆえ、われらの望む者を妨げ、望む者を入れるのである」と言っていたことに対する返答である。

『逸らす』 預言者と信仰者を妨げる。

『彼らをアッラーが罰し給わない・・・』 剣によって。おまえと虐げられた者たちが脱出した後。

『・・・とは、彼らはどうしたことか』 第一の説によれば、これは前節(『彼らが赦しを乞うているのに彼らを罰し給う御方ではない』)を破棄するものであり、実際アッラーはバドルやその他で、彼らを罰し給うた。

これは、非難の疑問文で、否定の意味である。つまり、彼らに対するアッラーの懲罰を止めるものはない。特に、それを必然とすること(聖モスクの妨害)をなしたからには。
「第一の説」とは『彼ら』が不信仰者を指すとするもので、第二の説は「これは・・・信仰者たちのことだとも言われる」と言う前述の言葉が示す弱い信仰者を指すとするものである。

『まことに』 「‘ in」は否定詞「mā」の意。

『その管理者は、畏れ身を守る者のほかにない』そこ(聖モスク)でアッラー以外のものを崇拝せず、多神教から畏れ身を守る者のほかにはない。代名詞『その』はアッラーを指すとも言われる。

『彼らの大半は知らない』 それに対する管理権が彼らにないことを。

館における彼らの礼拝は、口笛と拍手のほかにない。それゆえ、おまえたちが拒んだものゆえに、懲罰を味わえ。(8:35)

『館における彼らの礼拝は・・・』前節『その管理者でもない・・・』の理由にあたる。

『口笛』 口笛を吹くこと。

彼らのひとりは、片方の手の指をもう一方の手の指に絡み合わせ、丸くし、そこに息を吹き込み、そこから音を出した。

『拍手』 手を叩くこと。

『・・・ほかにない』 それを、命じられた礼拝の代わりとした。

つまり、彼らが礼拝や崇拝とみなすものは口笛と拍手というこの二つの行為しかなかった。・・・
(別の説では)多神教徒たちは、アッラーの御使いが礼拝し、クルアーンを読むのを耳にすると、手を叩き、口笛を吹き、それを聞こうとする者の気を逸らし、読誦を放棄させようとした。

『懲罰を味わえ』 バドルの地において。

まことに、信仰を拒んだ者、彼らはアッラーの道から妨害するために財産を費やす。彼らはそれを費やすであろう。それから、それは彼らの遺憾となり、それから、彼らは打ち負かされる。信仰を拒んだ者は、火獄に集められるのである。(8:36)

『財産を費やす』 預言者との戦いにおいて。

『それは』 事の結末においては。

『それは』とは彼らが彼らの目的に到達できないことである。

『彼らの遺憾となり』 それ(財産)を失い、目的としたもの(ムハンマドに対する勝利)を失ったことに対する後悔となり。

『彼らは打ち負かされる』 現世において。

『信仰を否定した者』 彼らのうち。

『火獄に』 来世において。

『集められるのである』 連れて行かれるのである。

それは、アッラーが善良なものから邪悪なものを分け、邪悪なものを互いの上に重ね、一緒に積み上げ、火獄に入れ給うためである。それらの者、彼らこそ、損失者である。(8:37)

『それは・・・ためである』 前節『それは』につながる。

あるいは、『彼らは打ち負かされる』、または『集められるのである』にかかる。

『善良なものから』 信仰者から。

『邪悪なものを』 不信仰者を。

『分け』 つまり、区別し。『分け(・・・給うため)( li-yamīza)』は、原形で促音を伴わない読誦法(li-yamīza)と第2形で促音を伴う読誦法(li-yumayyiza)がある。

『邪悪なものを互いの上に重ね、一緒に積み上げ』 互いに積み上げて集め。

信仰を拒んだ者たちに言え。もし彼らが止めるなら、彼らにはすでに過ぎ去ったことは赦されるが、もし戻るなら、昔の者の先例はすでに起こっているのである。(8:38)

『信仰を拒んだ者』 アブー・スフヤーンとその仲間など。

『もし、彼らが止めるなら』 不信仰と預言者との戦いを。

『過ぎ去ったこと』 さまざまな行いで。

『戻るなら』 彼との戦闘に。

『昔の者の先例はすでに起こっている』 彼らの抹殺というわれらの慣わしは。それゆえ、われらは彼らに対しても同様になす。

そして、彼らと戦え。試練がなくなり、宗教がそっくりアッラーのものとなるまで。もし、彼らが止めるなら、まことにアッラーは彼らのなすことを見通し給う御方。(8:39)

『試練が』 多神教が。

『なくなり』 存在しなくなり。

『宗教がそっくりアッラーのものとなるまで』 彼お独りに捧げられ、彼以外のものが仕えられることがないようになるまで。

『もし、彼らが止めるなら』 不信仰を。

『まことにアッラーは彼らのなすことについて見通し給う御方』 そして、それに対し彼らに報い給う。

だが、もし彼らが背き去るなら、アッラーこそおまえたちの守護者と知れ。なんと良い守護者にして、良い援助者であらせられることか。(8:40)

『もし彼らが背き去るなら』 信仰から。

『アッラーこそおまえたちの守護者と知れ』 おまえたちの援助者であり、おまえたちの諸事を司る者であると。

『なんと良い守護者にして』 彼は。

『援助者』 おまえたちにとっての応援者。

おまえたちが獲得したどんなものも、その五分の一はアッラーと使徒と、近親者、孤児、貧困者、そして、旅の者のものであると知れ。もし、おまえたちがアッラーと、われらがわれらのしもべに分別の日、両軍の会戦の日に下したものを信じるのであれば。アッラーはすべてのことに全能なる御方。(8:41)

『おまえたちが獲得した』 不信仰者から力ずくで取り上げた。

『どんなものも、その五分の一はアッラーと』 それについては彼が御望みのままを命じ給う。

『近親者』 預言者の近親者のハーシム家とアル=ムッタリブ家。

『孤児』 父親が死亡した貧しいムスリムの子供たち。

『貧困者』 ムスリムのうち、困窮した者。

『旅の者』 旅の途で行き詰まった者。つまり、それ(戦利品)に対しては、預言者と(既述の)4種の者が、それぞれに5分の1の5分の1となるように分ける権利がある。そして残りの5分の4は、戦利品を獲得した戦士に与えられる。

アル=バイダーウィーによれば、預言者の死後は、彼に与えられたフムス(5分の1税)は、ムスリムの福祉のために当てられる、との説をアル=シャーフィイーは採用する。マーリクによれば、それはイマーム(カリフ)のものとなる。また、アブー・ハニーファによれば、彼と彼の近親への分配は彼の死去と共に消滅し、すべては残りの三者のものとなった。

『われらのしもべに』 ムハンマドに。

『分別の日』 つまり、真実と虚偽を分けたバドルの戦いの日。

『両軍の会戦の日に』 ムスリム軍と不信仰者軍の。

『下したものを』 『アッラーと』にかかる。天使たちと印(クルアーンの節)という。

『信じるのであれば』 そのことを知れ。

『アッラーはすべてのことに全能なる御方』 その中には、おまえたちの少なさと彼らの多さにもかかわらずおまえたちが勝利することも含まれる。

その時、おまえたちは近い岸に、また彼らは遠方の岸におり、隊商はおまえたちより低かった。おまえたちは約束を交わしたとしても、その約束に反したであろう。だが、それは、アッラーがなされたことを果たし給うためであり、それは滅びる者が明証に対して滅び、生きる者が明証に対して生きるためである。アッラーはまことに全聴にして全知なる御方。(8:42)

『その時』 (前節の)『日に』の言い換え。

『近い岸に』 マディーナに近い。『岸』とは、涸川の土手のことで、アインを母音「u」で読む読誦法(‘ udwah)と、「i」で読む読誦法(‘idwah)がある。

『遠方の』 そこから遠い。

『岸におり』 いて。

『隊商は』 キャラバンは。

『おまえたちより低かった』 低いところにいた。海の沿岸で。

『おまえたちが約束を交わしたとしても』 おまえたちと軍隊が戦闘について。

『その約束に反したであろう』つまり、おまえたちは出陣しなかったであろう。アブー・アル=スウードによると、これは、もし、おまえたちと彼らが戦闘の約束を交わしたとしても、その後、おまえたちが彼らと自分たちの状態(多勢に無勢)を知ったなら、おまえたちは彼らに怖気づき、彼らに勝利する望みを失って、約束を破ったであろう、ということである。

『だが』 彼はおまえたちを約束なしに集め給うた。

『なされたこと』 彼(アッラー)の知識において。それは、イスラームの勝利と不信仰者の殲滅である。

「なされることが必然であったこと(‘amr kāna wājib‘an yuf‘ala)」の省略(cf.,Samīn, al=Durr al=Masūn, vol.3, p.423)。

『明証に対して』 明白な証拠が明らかになった後で。それ(明証)とは、少数のムスリム軍が大軍に勝利することである。

『滅び』 信仰を拒み。

『生きる』 信仰する。

『・・・ためである』 そのようなことをなし給うたのは。

アッラーがおまえの夢の中で、彼らを少ないとおまえに見せ給うた時のこと。もし、彼らを多いとおまえに見せ給うていたら、おまえたちは怖気づき、決定に関して論争したであろう。だが、アッラーはおまえたちを守り給うた。まことに、彼は、胸中をよく知り給うた御方。(8:43)

『おまえの夢の中で』 おまえの睡眠中に。

『彼らを少ないとおまえに見せ給うた』 そこで、おまえはおまえの仲間にそのことを告げ、彼らは喜んだ。 

『・・・時のこと』 思い起こせ。

『おまえたちは怖気づき』 臆病になり。

『決定』 戦闘の決定。

『論争したであろう』 反目したであろう。

『アッラーはおまえたちを守り給うた』 臆病と論争から。

『胸中を』 心の中にあることを。

おまえたちが対決した時、おまえたちの目に彼らを少なく見せ給い、彼らの目にはおまえたちを少ないものとなし給う時のこと。それはアッラーがなされたことを果たし給うためである。そして、アッラーの許に諸事は戻されるのである。(8:44)

『おまえたちが』 ムスリムたちよ。

『おまえたちの目に彼らを少なく見せ給い』 (実際には)彼らは1000人いたにもかかわらず70か100人位と。それは、おまえたちを彼らに向かって進ませるためであった。

『彼らの目にはおまえたちを少ないものとなし』 彼らが前進し、戦闘から引き戻ることのないように。これは、混戦前のことである。混戦となった時には、彼は彼らに相手が自分たちの2倍であると見せ給うた。第3章[イムラーン家]13節にある通りである。

『戻されるのである』 行き着くのである。

信仰する者たちよ、軍勢に出会った時には確固とし、アッラーを多く唱念せよ。きっとおまえたちは成功しよう。(8:45)

『軍勢に』 不信仰者の一団に。

『確固とし』 彼らとの戦闘に。敗走してはならない。

『アッラーを多く唱念せよ』 彼に勝利を祈れ。

『きっとおまえたちは成功しよう』 勝利しよう。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版

(2008年2月22日更新)



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