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【第8章 戦利品】
(8:1〜8:8)
 

マディーナ啓示。 75、または76、または77節。

ただし、『また、信仰を否定する者たちがおまえに対し策謀した時のこと・・・』(第30節)から(第35節まで)の7節(ハスフ&アースィムの数え方では6節)はマッカ啓示。

彼らは戦利品についておまえに問う。言え、「戦利品はアッラーと使徒のものである。アッラーを畏れ、おまえたちの間のものを正し、アッラーと彼の使徒に従え。もしおまえたちが信仰者であれば」。(8:1)

ムスリムたちはバドルの戦いの戦利品について対立し、若者たちは、「それはわれらのものである。なぜなら、われらは戦闘に従事したからだ」と言い、一方、年配の者は、「われらは軍旗の下でおまえたちの応援をした。おまえたちは(攻撃に)晒され(敗走し)た時にはわれらの許に退却した。それゆえ、それ(戦利品)のことで自分たちだけで独占するな」と言った。それに対して啓示し給うた。

『戦利品について』 それが誰のものであるかについて。

『おまえに問う』 ムハンマドよ。

『言え』 彼らに。

『戦利品はアッラーと使徒のものである』 両者が望みのままに処理するものである。そこで、アッラーの御使いはそれを彼らの間で平等に分けられた。『アル=ムスタドゥラク』の中でアル=ハーキムがそう伝えている。

『おまえたちの間のものを正し』 つまり、おまえたちの間にあることの本質を、愛情によって、また争いを避けることによって正し。

「おまえたちの間にあること」とは、イスラームの絆である。

『もしおまえたちが信仰者であれば』 真に(信仰者であれば)。

信仰者とは、アッラーが言及されると心がおののき、彼の印が読み聞かされると信仰を増し、主に一任する者たち、(8:2)

『信仰者とは』 信仰を完成させた者とは。

『アッラーが言及されると』 彼の警告が。

『心がおののき』 恐れ。

一説によれば、これは違反行為を欲し、それを犯そうとした際に「アッラーを畏れよ」と言われ、彼の懲罰を畏れて身を守る者のことである。

『信仰を増し』 確信を。

この御言葉で信仰の増加が可能であることを示し給うている。なぜなら預言者たちの信仰が(ムスリムの中の)悪人たちの信仰と同じではありえないからである。そして増加が可能なものは減少も可能であり、この説(信仰が増減可能との説)はマーリクやアル=シャーフィイーやスンナ派の多数派が採っている(al=Sāwī,Hāshiyah al=Sāwī, vol.2, p.116)。

『主に一任する』 ほかの誰でもなく、彼に頼る。

これら3つは心の崇拝行為にかかわるものである。それから、(次節で)身体による崇拝行為と財産による崇拝行為の描滋が続く。

礼拝を守り、われらが彼らに糧と与えたものから費やす者たち、(8:3)

『礼拝を守り』 それ(礼拝)を、そのあるべき形で果たし。

それをその定刻内にいつも必ず行い、その有効条件を満たし、その作法を守る(al=Sāwī,Hāshiyah al=Sāwī, vol.2, pp.116-117)。

『われらが彼らに糧と与えたものから』 われらが彼らに与えたものから。

『費やす』 アッラーへの服従において。

それらの者、彼らこそ真に信仰者である。彼らには彼らの主の許にいくつも段階と御赦しと栄誉ある糧がある。(8:4)

『それらの者』 (前節において)既述のものによって形容される者たち。

『真に』 疑いなく、まさしく。

『いくつもの段階と』 楽園における住居と。

『栄誉ある糧がある』 楽園において。

おまえの主がおまえをおまえの家から真理と共に出陣させ給うたように。まことに、信仰者の一派は嫌う者たちであった。(8:5)

『真理と共に』 『出陣させ』にかかる。

真理が明らかになるために。つまりイスラームの言葉の宣揚とアッラーの敵たちへの勝利のために。

『・・・ように』 『・・・ように(kamā)』は省略された主部の述部(「おまえによる戦利品の分配はアッラーによって確固として定められたものであった。それはちょうど、おまえの主がおまえを真理と共に確固として出陣させ給うたのと同じである」との意)。つまり、彼らの嫌悪の中でのこの状態(戦利品はアッラーと使徒のものであるというアッラーの裁定と使徒による均等の分配)は、ちょうど、彼らの嫌悪の中でのおまえの出陣と同じであった。それは彼らにとって良いことであったが、今回も同様である。
アブー・スフヤーンはシリア地方から(商品を満載した)ラクダを進め、預言者と彼の教友たちはそれを捕獲するために出陣した(その隊商について、それが多くの財産を積み、供の者が40人あまりと少ないことをジブリールが彼に告げたのであった)。クライシュ族の者はこれ(ムスリム軍の出撃)を知り、アブー・ジャフルとマッカの戦士たちが軍隊となってその護衛のために出陣した(彼らの数は950人であった)。アブー・スフヤーンは隊商と共に(マディーナに向かう通常の道を逸れ)海辺の道を取り、(ムスリムたちから)逃れた。アブー・ジャフルは「(マッカに)戻れ」と(同伴する者たちから)言われたが、それを拒み、(ムハンマドたちとの戦闘のために)バドルの地に向かった。アッラーの使徒は教友と協議をし、言われた、「まことに、アッラーは私に2つの集団(財産を積んだ隊商とクライシュ族の軍隊)の一方を約束し給うた」。そこで、彼ら(教友)は軍隊と戦うことで彼に同意したが、なかにはそれを嫌った者があり、「われらはその準備ができていない」と言った。次の節で至高なる御方が仰せられた通りである。

アッラーの御使いがダクラーンの涸川の川床におられると、ジブリールが彼の許に下って隊商とクライシュ軍の2つのうちの1つを約束した。そこで彼が教友と協議されると、ある者たちは、「戦闘のことは言われていなかったから、その準備はできていません。われらが出陣したのは隊商のためです」と言った。それに答えて彼は言われた、「隊商は海辺に行ってしまった。アブー・ジャフルの方はやって来ているのだ」。すると、彼らは言った、「アッラーの御使いよ、あなたに課されているのは隊商です。敵のことは放っておいて下さい」。アッラーの御使いは立腹された。そこでアブー・バクルとウマルが良い発言をした。次いでサアド・ブン・ウバーダが立ち上がって言った、「あなたの使命を考え、それを執行してください。アッラーに誓って、もしアドンに行くのであっても、アンサールには一人としてあなたの後に続かない者はいません」。ミクダード・ブン・アムルは言った、「アッラーがあなたに命じ給うたことを執行して下さい。私はあなたの望むところに付いて行きます。われらは、イスラーイールの民がムーサーに言ったように『あなたとあなたの主で行って、戦え。われらはここで待っている』(クルアーン第5章24節)とあなたに言いはしません。むしろ、『あなたとあなたの主で行って、戦って下さい。われらもまたあなたと戦う者です』と言う」。すると、アッラーの御使いは微笑み、言われた、「人々よ、私に提言せよ」。彼はアンサールの人々のことを含意されたのであった。彼らはアカバで彼と誓約を交わした際、彼が彼らの居住地(マディーナ)に到着するまでは彼の安全保障の責任を負わない(マディーナに着いた後に彼を守護する)と条件づけていたので、敵(マッカのクライシュ族の多神教徒勢)がマディーナで彼を襲撃したのでない限り、彼に助勢しないのでは、と恐れた。すると、サアド・ブン・ムアーズが立ち上がって、言った、「われらのことを言っているのですか。アッラーの御使いよ」。彼は、「そうだ」と言われた。サアドは言った、「われらはあなたを信じ、あなたを真実と認め、あなたがもたらしたものが真実であることを証言しました。そして、そのことをわれらはあなたに誓い、あなたに聞き従うことを誓って約束しました。それゆえ、アッラーの御使いよ、あなたの望むことを果たしてください。真実をもってあなたを遣わし給うた御方に誓って、あなたがわれらにこの海を指し、それに潜るなら、われらもあなたと共に潜り、われらの誰一人としてあなたの後に続かない者はいません。われらはわれらの敵と対戦することを厭いはしません。われらは戦闘において忍耐し、対決において誠実です。そうすれば、きっとアッラーはあなたの目が喜ぶことをあなたに見せ給うでしょう。それゆえ、アッラーの祝福の下、われらと共に進んでください」。彼の言葉は彼を元気づけた。そして、彼は言われた、「アッラーの祝福の下に進み、喜べ。まことにアッラーは私に2つの集団のうち1つを約束し給うた。アッラーに誓って、私は民との決戦を目の当たりに見ているようである」。

『まことに・・・であった』『おまえを・・・出陣させ』 の『おまえ』の状態の副詞的修飾句。

『嫌う者たち』 出陣を。

彼らは、真実について、それが明らかになった後も、おまえと議論する。ちょうど見ている中で、死に追い立てられるかのように。(8:6)

『真実について』 戦闘について。

『それが明らかになった後も』 彼らにはっきりした後も。

『おまえと議論する』戦闘の準備ができていない、と言って。

『ちょうど見ている中で・・・』 彼らのそれを嫌う様は、それを目の当たりにしている中で・・・。

また、アッラーが二つの集団のうち一つを、それはおまえたちのものだと約束し給うた時のこと。おまえたちは武器を持たない方がおまえたちのものとなることを望んだ。だが、アッラーは彼の御言葉によって真理を真理となし、不信仰者を根絶することを望み給うた。(8:7)

『また、・・・時のこと』 思い起こせ。

『二つの集団のうち一つ』 隊商、または、軍隊。

『武器を持たない方が』 力と剣を(持たない方)。つまり、隊商が。

『おまえたちのものとなる・・・』 それ(隊商)は軍隊と違って数も軍備も少なかったからである。

『・・・ことを望んだ』 欲した。

『彼の御言葉によって』 イスラームの出現という(出来事に)先立つ御言葉によって。

『彼の御言葉によって』とは、この件に関して下された彼の節によって。あるいは、彼の天使たちへの「(信仰者たちを)増強せよ」という命令によって。あるいは、彼らを捕虜とし、殺害し、バドルの古井戸に投げ込むという彼が定め給うたことによって。

『真理を真理となし』 それを明示し。

『不信仰者を根絶することを望み給うた』 彼らを一人残らず根絶やしにすることを。それゆえ、おまえたちに軍との戦闘を命じ給うたのである。

真理を真理となし、虚偽を虚偽となし給うためである。たとえ、罪人たちが嫌おうとも。(8:8)

『真理を真理となし』これは繰り返しではない。なぜなら、前節のものは、この出来事において彼が約束し給うた、応援と敵に対する勝利を確定することであるが、後者は宗教を強化し、シャリーア(イスラームの教え)を勝たしめることだからである。バドルの日に起こった少数のムスリム軍による多勢の不信仰者軍に対する勝利は宗教の強化のきっかけとなったのである。また、それゆえに、ここでは『虚偽を虚偽となし』という言葉が対になっているのである。

『虚偽を虚偽となし』 不信仰を抹消し。

『たとえ、罪人たちが嫌おうとも』 多神教徒たちがそれを(嫌おうとも)。


転載:「ジャラーラインのクルアーン注釈」
中田香織 訳
中田 考 監訳
日本サウディアラビア協会出版

(2008年2月1日更新)



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